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屋内シアターにランウェイを作った「エッグンロール・イースター Blast」

サンリオピューロランドのピューロイースターは、2021年から、これまで知恵の木で行われていたショーをエンターテイメントホールのステージに移して公演しています。
ステージ版2年目のエッグンロール・イースター Blastでは、ランウェイが登場しました。
ランウェイを見ると全てクラブディズニーに見えてきますが、屋内のキャラクターショーでランウェイがあるのは初めて見たと思います。本来のランウェイって基本屋内だけれど、テーマパークだとみんな屋外でやってきたんですね。そもそも屋外ランウェイも東京ディズニーランドとシーとハーモニーランドの3つしか思い浮かばないけれど。
というわけで、エッグンロール・イースター Blastかなり実験的でチャレンジングなショーだったと思います。実験の記録として思い浮かんだことをまとめもせず書いていきますが、もし批判っぽくなってもそれは批判ではなく実験の過程であり、コロナからの過渡期にこのシステムを試していること自体を評価しています。

ランウェイの利点は、客席に飛び出しているので、キャラクターが近くまで来てくれることにあります。また、ランウェイ部分はどうしても道幅が狭くなるため、キャラクターは端に近い場所に立つことになります。ステージでここまで端に近い場所に立ったら不自然でしょうから、ステージ最前のゲストよりもランウェイ横のゲストの方がキャラクターとの距離が近くなります。これはキャラクターとゲストが触れ合えず客降りができないコロナ禍、キャラクターとの物理的な距離だけで気持ちが上がる状況下において大きな利点です。
一方、単純にランウェイの分、キャパが減ります。これがキャパ制限のあるコロナ禍と相性が悪い。痛し痒しです。
また、ランウェイが中央にあるため、ステージ中央いわゆるドセンの鑑賞人数が減ります。ステージ上で決めるシーンになると、ステージ上の中央にいるキティを正面から見ようとすると、ランウェイのはるか先にいることになります。
ランウェイの長さの倍以上は鑑賞スペースの奥行きがないと厳しいのかなと思いました。
そして、鑑賞エリアが減る分、ステージ部分の面積が増えます。コロナ禍で出演者数が制限されている中、スカスカ感が際立ってしまうのも難点です。今回は、昨年のエッグンロール・イースターに比べて、マイメロディとクロミを増やすことで対応していました。2021年では無理で2022年だからできたランウェイだったとも言えます。
それでもランウェイにキャラクターを寄せるとステージに誰もいなくなるといったシーンが発生してしまいます。うまく出演者を配置すれば、ステージ最前、ランウェイ横と、表面積が増えるので鑑賞しやすい場所が増えると受け取ることもできますが、構成をうまく作らないと「ミッキーのジョリースノータイム」のようにどの場所も全部見ずらいという元も子もない状態になります。
屋内ショーでランウェイを導入する初のショーにしては、うまい構成が作れていたと思います。キティとダニエルが会うシーンは、ステージとランウェイに2人を配置することで、2人の距離も出せるし、鑑賞場所によって2人を同時に見たり、2人に挟まれて見たり、いろいろな表情が見られるシーンになっていました。昨年からあるシーンですし、知恵の木周りでもキティとダニエルが探し回って出会うなんて何度も何度もやっている中で、新たなランウェイをしっかり活用できているのはさすがです。
一方、撮影シーンではカーテンコール的にキャラクターが順番にランウェイの先にやってくるものの、両隣にダンサーを配置するため、せっかくの撮影タイムなのにダンサーがキャラクターの前に被るという状態でした。真後ろ以外270°くらい周りのゲストが見えるのがランウェイなんだから、撮影対象は1人ずつにしないと誰も幸せになれないだろうに。


撮影OKのダンスシーン。この位置でも横並びで撮れるのはランウェイの利点。
基本撮影禁止で最後に撮影タイム設ける方式に慣れてきて、クロミがカメラを忘れたというストーリーまで織り込めるようになっていた。

マイメロとクロミが加わったことでキャラクターが4人になり、キャラクター目線での構成上の空白感は薄まりましたが、シーンの配置に無理矢理感が否めません。イースタープロムを決めるという設定ながら、キティの歌唱シーンしかなく、キティがプロムに選ばれるというそりゃキティ以外選ばれないだろ展開は今年も変わらず。
なぜかプロムが選ばれた後に、今年の新曲であるクロミとマイメロの歌が入ります。普通に考えたらキティの歌の後、プロムを選ぶ前に配置するはず。さらにこの曲で参加ダンスが行われ、次のシーンでも元々あった参加ダンスコーナーがあるため、参加ダンスが連続します。しかもクロミとマイメロの歌の間、キティとダニエルがはけているのですが、ただいないならまだしも映像で登場。コロナ休園明けの「Go for it!」でのスクリーン上のテレビ電話での参加演出は良かったのですが、2年間も何度も何度も擦り続けるような演出ではないでしょう。何よりさっきまでステージ上にいたキャラクターが電話で参加し直す意味がよくわかりません。コロナで出演者数が減る状況を逆手に取った演出が、キャラクターを出さずにやった感を醸し出せる演出に成り下がっています。タイミングも演出もキティを休ませたいんだなという、ストーリーとは関係ないご都合主義が透けて見えます。
参加ダンスも、クロミのダンスが難しいのは良いと思うのですが、事前レクチャーなしで難しいダンスは踊れる人と踊れない人が極端に分かれます。要は通っている人は完璧に踊れるし、一見では全く踊れない。しかもこのショーは撮影禁止。撮影可なら通っている人もカメラを構えてダンスに参加しない人が多いですが、通っている人がみんなダンスに参加するので、そこそこの割合が難しい踊りを完璧にできる、一見では付いていけない状態になります。
まあ数年単位で通っている人だけが踊り残りは手拍子を促され無意味に疎外感だけ与える某シーのシャイニング・ウィズ・ユーと比べたら大した問題ではありません。

屋内でのランウェイショーはコロナ禍でのメリットを感じましたが、構造的に解決できるのか難しいデメリットも感じました。ピューロなら今後もっと上手く活用したショーに進化させられるのではと思いますが、もうエンターテイメントホールでのイベントショーはやめるみたいですし、コロナから通常に戻る過渡期に生まれたレアケースとして忘れられていくのかな、だとしたらもったいない事例だなと感じています。
全編撮影日もありましたが、全編ネットにあげるのは禁止だし、誰か何かうまいこと記録として残してくれればいいなと急な投げやりで終わります。