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「プー横丁にたった家」と石井桃子との出会い 文藝春秋社「文筆婦人会」のエピソード

『クマのプーさん』との出会いは女子限定の社内編プロで。石井桃子が女にだらしない菊池寛に優しかった理由
文藝春秋「CREA」が、石井桃子がプーと出会った当時のエピソードを紹介しています。

石井桃子は1933年のクリスマスイヴに、犬養毅宅で蔵書の整理をしていたところ、当時子供だった道子(犬養毅の孫)にせがまれ、蔵書にあった「プー横丁にたった家」の原語版をその場で訳しながら読み聞かせていきました。
このことがきっかけで、後に「クマのプーさん」「プー横丁にたった家」の日本語版を出版することになります。

石井桃子は、1928年に日本女子大学を卒業。在学中から手伝いをしていた菊池寛の伝手で、彼が創業し社長を務めていた文藝春秋社に入社します。1933年に退社しているので、「プー横丁にたった家」に出会ったクリスマス・イヴにはもう退社していたものと考えられます。
道子の親、犬養健と家族ぐるみの付き合いをしていた石井桃子がクリスマスイヴにも訪れたというのがよく語られているエピソードですが、さらにその背景を、門井慶喜さんが菊池寛の人物像を通じて明かしています。

菊池は「文筆婦人会」を社内に設立しており、そこに犬養家が蔵書の整理を依頼し、石井が出入りするようになりました。
「文筆婦人会」は、菊池が1929年に発足した”女性たちによる編集プロダクションのようなもの”。「口述筆記、編集校正、タイプライティング、翻訳、原書代読、パンフレット等の編集」といった業務を担っていました。
女性の社会進出が進んでおらず知的業務に就くことがまずなかった時代に、時代を先取りした組織でした。

“当時の「文藝春秋」の広告文にはこう書かれていますね。
「私達は、女性と云うハンディキャップなしに充分働くつもりです。私達の過半は女子の最高教育を受けて居りますので、思操能力の点で充分皆さまの期待に副(そ)うことが出来ると思います。どうか、どんな仕事でも結構ですから、御用命をねがいます」”

このような時代の中で、女学校を出て英語にも明るい石井が犬養家に派遣されたのでした。
“日本の出版史に多大な影響を与えたことは間違いありません”という文筆婦人会に所属した石井は、自身も「クマのプーさん」翻訳だけでなく、岩波少年文庫の立ち上げ、現在の東京子ども図書館の設立など、日本の文学界に大きな歴史を残しました。

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東京ディズニーリゾート40周年スタート感想

東京ディズニーリゾート40周年“ドリームゴーラウンド”がスタートしました。
最初に観たのはパレード「ディズニー・ハーモニー・イン・カラー」でした。あまりしっくりこなくて、これが5年続くのか…と思ったのですが、4/15にオープニングセレモニーを見て、だいぶ40周年が理解できるようになりました。

オープニングセレモニーはまさかのボブ・アイガーとジョシュ・ダマロが来日。2人の話を聞く限りファンタジースプリングスの視察の側面が強そうですが、アイガーが高橋政知とカード・ウォーカーの話から始めたりとさすが話が上手いなと思いました。
3人巨塔が話した後に登場した吉田社長ですが、40周年のテーマという意味では、吉田その話は非常にわかりやすかったです。
吉田社長は、コロナ禍を経て復活してきている中で、今だからこそ大切にしたいこととして「繋がり」を挙げ、この言葉を胸に準備を進めてきたと語りました。40周年のアイコンであるガーランドのように、一人一人に色とりどりの夢があり、キャストにもディズニーの仲間たちにも夢がある。それぞれの夢が繋がる場所が東京ディズニーリゾートです。40周年はその繋がりがさらに深まる年で、東京ディズニーリゾートは夢が繋がり続ける場所であり続けるよう努力を続けていくという話でした。
ドリームガーランドはキャラクターのデザインではなく、カラフルな20種以上の展開なのが特徴です。そして、テーマソングは「リビング・イン・カラー」、パレードは「ディズニー・ハーモニー・イン・カラー」。カラーの意味がよくわかるようになりました。テーマソングで「なないろ」と特徴的に挿入されているように、虹のカラーが強調されていましたが、虹=多様性を直接的に示すのではなく、1人1人が持つ夢の違いという形で見せるのは良くも悪くも東京ディズニーリゾートらしい見せ方だと思います。

ただ、パレードを見ても、それがいまいち伝わってきませんでした。
オープニングにパレードロゴがあるとか、ラプンツェルのアクションが「ドリーミング・アップ!」のピーター・パン以上に迫力が増していたとか、そういう個々の良いポイントはありました。
ただ全体としてばらけている印象で、何か花びらのようなものがずっと続いていましたが、結局それが何なのかよくわかりませんし、それぞれのユニットがバラバラなテーマで、インクレディブル〜シュガー・ラッシュのあたりはもはやどことどこがユニットなのかもピンときません。
そしてフロートが小さい。ダンサーが帰ってきたところはいいことですが、全体的に地面を歩いているキャラクターやダンサーが多く、フロートに乗っていません。今まで東京ディズニーランドのパレードは、遠くからでも見られる高さのあるフロートが特徴的でしたが、フロートが小さくて徒歩の出演者が増えたのは、コロナ以降の混雑しないパークを目指す方向性をも感じさせました。

「クラブマウスビート」もセレモニー前に観たのですが、パークの中でこのショーが1番アニバーサリー感があったと思います。「クラブマウスビート」はコロナ以降に始まった上で、最初からディスタンスを保った構成になっています。今回はフィナーレだけ変更され40周年バージョンになったため、前半のスカスカ感が否めません。それに対して新しいフィナーレは、どこにそんな数のダンサーがいたんだという位びっちりいて、キャラクターも横一列に並びます。やっぱりコロナ以前の体勢とコロナ禍でのショーの作り方は全く違うんだと感じさせましたし、コロナバージョンに慣れてきていたのを気づかされました。やはり密とは豪華さに影響与えるなと思いました。

そして40周年で圧倒的に1番良かったのが花火です。様々な色とりどりのそれぞれの夢というのが最もよく表れていましたし「スカイ・フル・オブ・カラーズ」というタイトルの意味もよく分かりました。ミッキーのアナウンスで始まるのは「ハピネス・オン・ハイ」もでしたが、まさかミッキー以外も喋ってくるとは驚きです。花火の途中にもミッキーのセリフがあるのは本当に驚きました。
曲のセレクトや繋ぎも良かったですが、何より様々な色が空に舞い上がる姿が、40周年を象徴しているようでした。

パーク全体としては、やっぱりガーランドの装飾が寂しげ。それぞれのカラーで彩ったガーランドが繋がる様子をもっと体現して欲しかったです。お祭りなら普通の街中の方がもっとガーランド飾るでしょう。
グッズとしてのドリームガーランドを売るのは高級カスタムアイテムより楽しいし、色とりどりで繋がるという意味も言われればすごく伝わってきます。ホテルやガイドツアーで専用ガーランドを出すのもマニア向けで良い。その上で配布もあるのは面白いです。

曲も流れないので、花火前のイントロで流れた「リビング・イン・カラー」でそれまで1日聴いていないパートがありました。ドリームゴーラウンドタイムもジャンボリミッキー踊っているし。花火エンドソングの「リビング・イン・カラー」バラードバージョンも、それまでのただテンポを落としたバラードバージョンではなく、かなり歌え形を変えてきて新しいアレンジだなと思いました。

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「アソーカ」予告編公開 デイヴ・フィローニ監督作など映画3作品を発表

スター・ウォーズ・セレブレーションで色々と発表されました。

まずは待望の「アソーカ」予告編。
8月配信
アソーカだけ日本語字幕版が出ました。

サビーヌ、ヘラ、チョッパー、そしてスローン大提督が実写で登場。
スローン大提督は「反乱者たち」声優のラース・ミケルセンが実写も演じます。
吹き替え版はおそらく他キャラも含めて「反乱者たち」キャストが続投でしょうから、吹き替えも楽しみです。吹き替え版予告編も作ってくれ。
「アソーカ」は、「マンダロリアン」の時代を描き、アソーカの実写初登場時の発言を踏まえると、帝国崩壊後に暗躍するスローン大提督を探す話になりそうです。
「反乱者たち」メンバーの実写化は、直近で「マンダロリアン」でゼブが出てきており、いよいよ残るはエズラのみ。
そもそも「反乱者たち」のラストで、アソーカはサビーヌと共にエズラを探しに行ったはずで、エズラがいないのに2人が分かれて動いていることが謎です。
「マンダロリアン」や「ボバ・フェット」が「クローン・ウォーズ」キャラの実写化シリーズになってきたように、「アソーカ」も「反乱者たち」実写化になりそう。
8月配信ということで「マンダロリアン」から4ヶ月で配信される計算。
「マンダロリアン」シーズン3は残り2話で、次週はサプライズがあると予告され、「アソーカ」への布石を打ってくる予感がします。
サビーヌもマンダロリアンの一員でダークセーバーを所持していたこともあったため、マンダロリアン再興を描いているシーズン3と絡んできてもおかしくありません。

そして、「マンダロリアン」と関連シリーズの物語も、いよいよフィナーレが見えてきました。
締めくくりとなりそうな長編映画が発表。
「クローン・ウォーズ」「反乱者たち」を手掛け、「マンダロリアン」のアソーカ登場回など自分のキャラクターを大切にする回は監督をしているデイヴ・フィローニが、いよいよ長編映画を撮ります。

さらに他2作の長編が発表。
1作は、ジェダイの始まりを描く作品、もう1作はレイが再登場し新たなジェダイ・オーダーを作る物語。
時系列で一番最初と一番最後を描きます。
やっと時代設定がわかる長編映画が発表されました。
他にも色々と新三部作が予定されているはずですが、今回発表された3作が先に公開されるのでしょう。
ディズニープラスのドラマでは、エピソード1の100年前を描く、「アコライト」も2024年に配信予定で、フォースとジェダイの始まりが描かれる関連作になりそうです。

スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジも早くEP8〜9の設定諦めて「マンダロリアン」の時代設定にしてくれ。

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第95回アカデミー賞 ディズニー勢は22ノミネート 最多は『イニシェリン島の精霊』

2023年1月24日、第95回アカデミー賞のノミネート作品が発表されました。
ウォルト・ディズニー・カンパニーが、ノミネートリストを公開しました。
ディズニー勢のノミネートは合計22。

作品賞は2作品『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』と『イニシェリン島の精霊』の2作品がノミネートされました。
アバターまじかよ。
『イニシェリン島の精霊』は、サーチライト・ピクチャーズ製作で1/27公開予定。今年最多の8部門9ノミネートされました。

全ノミネートリスト

イニシェリン島の精霊

サーチライト・ピクチャーズ
1月27日(金)劇場公開
8部門9ノミネート
作品賞 – グレアム・ブロードベント、ピート・チャーニン、マーティン・マクドナー(プロデューサー)
監督賞 – マーティン・マクドナー
主演男優賞 – コリン・ファレル
助演男優賞 – ブレンダン・グリーソン
助演男優賞 – バリー・コーガン
助演女優賞 – ケリー・コンドン
オリジナル脚本賞 – マーティン・マクドナー
映画編集賞 – ミッケル・E・G・ニールセン
音楽賞(オリジナルスコア) – カーター・バーウェル

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー

マーベル・スタジオ
5部門ノミネート
助演女優賞 – アンジェラ・バセット
衣装デザイン賞 – ルース・E・カーター
歌曲賞 – 「Lift Me Up」 テムズ、ルドウィグ・ゴランソン、リアーナ、ライアン・クーグラー
メイクアップ&ヘアスタイリング賞 – カミーユ・フレンド、ジョエル・ハーロウ
視覚効果賞 – ジェフリー・バウマン、クレイグ・ハマック、R・クリストファー・ホワイト、ダン・スディック

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』

20 世紀スタジオ
4部門ノミネート
作品賞 – ジェームズ・キャメロン、ジョン・ランドー(プロデューサー)
音響賞 – ジュリアン・ハワース、グウェンドリン・イェーツ・ウィトル、ディック・バーンスタイン、クリストファー・ボイズ、
ゲイリー・サマーズ、マイケル・ヘッジス
美術賞 – ディラン・コール、ベン・プロクター;セットデコレーション ヴァネッサ・コール
視覚効果賞 – ジョー・レッテリ、リチャード・バネハム、エリック・セインドン、ダニエル・バレット

エンパイア・オブ・ライト

サーチライト・ピクチャーズ
2月23日(木・祝)劇場公開
1部門ノミネート
撮影賞 – ロジャー・ディーキンス

ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦

ナショナル ジオグラフィック ドキュメンタリー フィルムズ
1部門ノミネート
長編ドキュメンタリー映画賞 – セーラ・ドーサ、シェーン・ボリス、アイナ・フィッチマン

無垢の瞳

ディズニー・ブランデッド・テレビジョン
1部門ノミネート
短編実写映画賞 – アリーチェ・ロルヴァケル、アルフォンソ・キュアロン

私ときどきレッサーパンダ

ピクサー・アニメーション・スタジオ
1部門ノミネート
長編アニメーション賞 – ドミー・シー、リンジー・コリンズ

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MCUフェーズ4の感想を一気に15作分

フェーズ4は2021年の頭からスタートし、丸2年にわたって展開されました。たまに感想書こうと思って少し書いたところでやめてを繰り返していたら2年たっていました。書き残しを寄せ集めて一気に振り返ります。

ワンダヴィジョン

映画のみで展開されてきた(というかドラマがなかったことにされた)MCU初のディズニープラスオリジナルドラマ。
コロナがなければ順番は違ったみたいですが、結果的にワンダヴィジョンが最初のドラマとなったことで、映画ではないドラマという媒体だからこその魅力を見せつけてくる形となりました。
シットコム形式で、1話毎にシットコムの年代が進んでいくという、映画では表現できない技法。よくフルハウスを見ていたので、1話と2話のただのシットコムをあと20話くらい続けてくれてもよかったです。
段々と謎解きのように話が進んでいき、1週毎に配信されるシステムとも相性がよかったです。
謎解きは最後やや肩透かし感がありましたが、その中に紛れていたヒントを使ってワンダが頭脳で勝利したのもよかったです。
スカーレットウィッチの衣装も良い感じにMCUっぽくてかっこいい。
ダーシーを中心にみんな良いキャラに感じられて良いストーリーの運び方でした。
ヴィジョン問題はテセウスの船をファイアボールとゲボイデ=ボイデでしっかり予習していたのでよくわかりました。ドロッセルも白いロボットだね。
そして曲が最高。さすがロペス夫妻。ところで、各ヒーローのテーマなどは現実世界の我々が勝手につけている音楽ですが、ワンダヴィジョンのテーマはMCU内で流れているものでワンダが生み出したものという設定になるはず。ワンダのセンス良過ぎないか。

ファルコン&ウィンターソルジャー

エンドゲームでのシールド引き継ぎをもっと深堀りし向き合う物語で、MCU全体のストーリーラインだけを見ればあってもなくても変わらない話。ディズニープラスまで観ている人はMCUを深く楽しめ、劇場作品だけの人も問題ない、配信限定らしい題材でした(プラス枠はそんなものだと当時は思っていました)。
内容は面白かったですが、6話は長かったかなという印象。ドラマにするために枝葉が多くて、映画で2時間くらいにまとめてもらった方が綺麗に収められたんじゃないかなと思います。MCUもプラスオリジナルの映画を作るようなレパートリーを持ってほしいです。

ロキ

5話までは面白かった。とても面白かった印象があります。でもその面白さは最後の展開への期待であって、最終話で全て帳消しになりました。何が面白かったのかも忘れました。
知らないおじさんが言葉で説明して終わりという酷い最終話。
MCUの情報を追いかけている人なら彼が誰の変異体を表しているのかわかりますが、あくまで在り続ける者だと言っているし、普通に与えられている情報だけで見れば、知らないおじさんです。
そして知らないおじさんが延々と言葉で説明。模型と言葉で説明。
説明だけして退場。
そんなにマルチバースの説明がしたいなら、ケヴィン・ファイギがコミコンでパワポ使って説明すればいいんじゃないの?
最初に聞いていた、ロキが色々な歴史上の出来事の場面に行ってみたいな話が見たかったです。「謎解きタイムトラベルスリラー」と宣伝していましたが、結局そんな要素全然なかったし、誇大広告にならないですかね。

ブラック・ウィドウ

本来の公開予定だったエンドゲーム1年後のタイミングだったら、ナターシャがあの選択をするまでの想いにもっと迫れた気がしたのですが、2年経って既にユニバースが進んでいる中ではもう心の整理がついて遠い出来事になってしまった感があります。
悪役は本当に気持ち悪い人で、こんなにただ嫌いな悪役も珍しいかも。スパイを世界中で操り歴史を動かす力がある一方でアベンジャーズの制御が最後のピースだと言います。ただ、アベンジャーズが結成されたのは宇宙から侵略されたからで、もう宇宙規模の話なんだから制御したところで安泰ではないでしょう。
色々な場面での戦いは良かったけれど、せっかくの映画なのにタスクマスターがそんなに戦わないのが残念でした。ナターシャ対アベンジャーズの合わせ技とか、レッドガーディアン対擬似キャプテンアメリカとか見られればフェーズ3終了直後の今だけの楽しみになっただろうにな。
最後、彼女の人生の大半を壊しておいて謝るだけかよ。謝罪しつつ死を看取ったのかと思ったら死んでないっぽいし、ナターシャも次の戦闘などあるわけではなく、すぐ離れる必要ないし。ドレイコフの最後もブタペストの件があったからヘリ爆破で死ぬとは思えないし。
ブラック・ウィドウとロキ最終話が連続したせいで、あれ?MCUどうした?と不安な気持ちが襲ってきました。

ホワット・イフ

つまらなかった。
今までマルチバースの何でもあり感にワクワクしていましたが、ロキとホワット・イフがめちゃくちゃやりすぎて、「何でもあり」が「どうでもいい」に変化していきました。命も世界も粗末に扱われている感じ。

シャン・チー

よく考えたら僕はMCUに対してアクションを求めているわけではない、正確にはアクションが100点ならオールオッケーというわけではないんだなと改めて気付きました。

エターナルズ

いつになったら面白くなるのかなと思っているうちに終わりました。まさか欠員いるままの戦いが最後の戦いだとは思わなかった。
各々が何をして生きていたのかがいまいち面白くない上にやたら長いので、寝そうになりました。
ここまで5作連続ダメで、スパイダーマンが控えていなかったらMCU視聴やめるところでした。

ホークアイ

実に半年ぶりに楽しく観られたMCU。
クリスマスのノリに合わせて軽快に作られていて、気持ちよく観られました。
ホークアイが引退しなかったのは意外でしたが、彼の負の側面に向き合う話でありながら、重くない終わり方としては良かったです。
ローニンの贖罪それでいいの感はあるけれど。
何よりブラック・ウィドウ最大の功績であるエレーナがより活きてきていて素晴らしいです。
キングピンは死んでいないと思うけれど弱くない?スパイダーマン前にデアデビル思い出そうと教えてくれるのも親切。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

初見はめちゃくちゃ盛り上がるけれど、後からだんだん、これどうなんだ?と考えてしまいました。
アイアンマンを失ってから既に2作目。新たなメンターを求めてきたピーター・パーカーが、2人のピーター・パーカーと出会い、つまり自分自身を見つけ、孤独なヒーローのスパイダーマンとしてついにオリジンを迎えた作品。1作目で定番のオリジンを割愛していましたが、割愛したのではなく、まだオリジンを迎えていなかったのだとようやくわかりました。
一方で、ピーターらしい行動とされた、悪役を救うことがどうにも腑に落ちません。グリーン・ゴブリンやドクター・オクトパスを洗脳から解くのはわかります。偶然パワーを持ったサンドマンやエレクトロを治療するのはどうなのか。本人のパワーを悪ではなく善に使えるよう導くのがヒーローなのではないのでしょうか。パワーは消すのが正解なら自分のスパイダーパワーも消すのが正解になるんじゃないですかね。
マルチバース上にも自分がいるから、この世界の自分だって1人じゃないというのは、マルチバースが与えてくれる大きな希望で良いテーマですが、これまでのMCUがマルチバースを雑に扱ってきたのでその気持ちも薄れています。
スパイダーバースより先に観ていたらもっと良かったのかもしれませんが、結局スパイダーバースに勝てなかった。

ドクター・ストレンジ:マルチバース・オブ・マッドネス

あまり予告も観ないようにしていたので、えヴィランそうくるの?と驚きました。ワンダヴィジョンの最後でウェストビューの住民に何も言わずに立ち去ったので償いなしにヒーロー復帰は難しいだろうと思っていて、あまり解釈違いとかにはなりませんでした。サンクタム戦で人を殺した時点でもう悲しい終わりが見えていました。
あとはただただ強いワンダを鑑賞する会みたいになっていて、むしろ勝っちゃえという気持ちもある分楽しかったです。
イルミナティ戦も、ただ力でねじ伏せるのではなく、相手それぞれの特性に合わせた殺し方をしていて、悪役として素晴らしい戦い方です。
シットコムを観て育ったワンダが、別バースでは白雪姫やオズワルドを観せていて、やっぱりワンダはセンスが抜群に良い。全然関係ないですが、ブラック・ウィドウでナターシャはダックテイルを観ていましたね。ワンダもソコヴィア時代にダックテイルを見ていればヘックス内でダックテイル制作していたのかな。
ドクター・ストレンジ側の戦いも一つ一つ個性があるし、自分の作風を入れ込みながら、邪魔にならないしストーリーもしっかり作ったサム・ライミ。やっぱり映画を作るのが上手い人は映画を作るのが上手いなという当たり前の感想を抱きました。ただ作風だけを見せられたエターナルズとの大きな違い。
ただ、全てのマルチバース上から消し去るとか安易に使い過ぎて、MCUというマルチバース世界での話で、そのマルチバース内に我々の住む世界は存在しないんだろうなと思ってしまいます。そうなるとスパイダーマンの時の自分は一人じゃない論が効かなくなるので、いよいよマルチバースがどうでも良くなってきました。

ムーンナイト

マルチバースがどうでもよくなってきた中で、他作品と繋がりを持たず、楽しめるものでした。とにかくオスカー・アイザックがすごい。
スティーブンを最初に見せて好きになったところでマークを出し、3人目は最後まで匂わせ続けるのも、愛せるキャラクター作りとしてうまかったです。テンポも、人格が1人から2人、3人と増えて残忍さも増した人格が出てくるに合わせてテンポが早くなっていき心地よかった。
突然精神世界だけで1話使うなど、ワンダヴィジョン以来のドラマとしての構造も上手かったです。

ミズ・マーベル

チャットの文字や空想を表す演出がすごい。
新ヒーローのオリジンを描く物語で、カマラのことを好きになれる内容だったので素晴らしい。
パキスタン独立という漠然とした知識しかなかった歴史を見せられる部分も良かったです。
ニュージャージーに戻ってからがぬるっと終わって少し物足りない感がありましたが、マーベルズでの再登場も確定しているし、毎回楽しく観られました。

ソー:ラブ&サンダー

傑作。MCU史上最高かもしれないレベル。
エンドゲームまでの物語で、王に生まれ王を目指してきながら自分の進む道は王になることではないと「ちいさなプリンセス ソフィア」的展開になっていたソー。
家族や国の強い結びつきで生きていたソーが、縁もゆかりもない寄せ集めのガーディアンズと行動する中で、再び自分を見つけていきます。
ジェーンが再登場。ソーとなぜかハンマーも加わって三角関係になるのは絶妙で面白い。
科学と神話が混ざるジェーンの立ち位置はMCUの中でも面白く、見事なヒーロー像になっていました。
バトルも毎回色使いが変わり、チームの人数も減っていくので飽きません。色のない星シーンのためにドルビーシネマに行って良かった。
人数が減ってきたなかでの最終戦が最高です。
エンドゲームでワカンダやストレンジのモブたちが出てきたところで「アベンジャーズ・アッセンブル」が出たのが、アベンジャーズメンバーに限らないアッセンブルを表していて良かったのですが、その上位。
ソーの仲間となるヒーローが戦いのたびに減っていき、最後に子供たちがヒーローになることで仲間が一気に増えます。
子供たちが誰もがヒーローになれることこそヒーロー映画の存在意義を見せているよう。フェーズ4後ではありますが、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』でも俳優という職業の意義を見せていて、夢を与える映画を見せてくれるメッセージが素晴らしいです。
ラブ&サンダーはディズニープラスで見られるメイキングも面白くて、ここでは子供たちが戦っている相手が、子供の絵を元に作られていることも明かされています。想像力の産物。
そして最後には戦いをせずまさにラブ&サンダーに。あんなに腕力だけで解決し、他とレベルが違うほど強かったソーが、戦わずに勝つ姿は見事でした。
初期アベンジャーズが次々と引退し、身内もほとんど死んだ中で、ソーだけが生き続けなければならないのは辛い状況。あえてソーの物語だけ作られ続ける姿も多様なヒーローとしてあってほしいと思いました。血の繋がっていない弟を失い、それでも生き続けなければならないソーが、新たな自分の姿を探していった中で養子として娘を迎える姿は、誰よりも長く自分の物語を描き続けているソーならではの結果でした。
そして何よりタイトルが素晴らしい。発表されてから鑑賞直前までずっとふざけたタイトルだと思っていたのに泣かされるとは。タイトル部門でもMCUで1位ではないでしょうか。

シー・ハルク:ザ・アトーニー

好きになれずに終わりました。
CGはしょぼいし、話はつまらないし。なぜかスーパー能力を持った人があちこちにいる知らない世界。そんな世界ならシーハルクが能力を持ってしまったからという感情も薄くなるし、MCU見てきて知らない世界観だし。
そして斬新みたいな雰囲気出しながら最低な最終話。結局は第四の壁を突破するという、なぜ獲得したのかもわからない謎能力で全てを解決。ハルクでも弁護士でもない方法なわけで、自分で述べていることとまるで相反しているし、なぜこれでストーリーとして成立すると思うのかわかりません。
デアデビルのこともどうでも良くなった。もう再ドラマ化しなくていいよ。

ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエバー

役者が現実側で亡くなるという喪失で物語が大幅に変わりました。
本人の姿を見せず、ブラックパンサーの継承を描く物語。
ネイモアやロスの話は元々予定されていた展開なのでしょうが、ティ・チャラの死の物語を加えたところで中途半端になってしまった感があります。3時間あって長いし。ネイモアやロスの話も面白そうな気配はあるので、元の脚本も面白かったのでしょう。
新たな世界も出て国ごと失うようなスケールの話なのに、シュリが兄の死を自分なりに受け入れる話に終始していて、非常にMCUらしいミクロとマクロの視点を組み合わせた構造でした。
結果的に、エンドゲーム後を描くフェーズ4のラストにふさわしい物語となりました。

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