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アナハイム「クリッターカントリー」が「バイユーカントリー」に改名


ティアナのバイユー・アドベンチャーが、フロリダに続きカリフォルニアでもオープンしました。
スプラッシュ・マウンテンの後継で、『プリンセスと魔法のキス』をテーマにしたアトラクションです。
フロリダではマジックキングダムにオープン。乗ってきましたが、「話はよく分からないけれど高いところから落下して楽しかったな」というアトラクションでした。
ティアナには最新のA1000オーディオアニマトロニクスを使っているものの、それで予算が尽きたのか他がスカスカで、ティアナが出てくるまで何も起きない空間をただ進んでいくだけ。
これが同じボートライドでアニマトロニクス物量勝負してきた「アナとエルサのフローズンジャーニー」後なのだからどうしようもありません。
ストーリーも何年も前から説明されてきましたが、Qラインでそれが読み取れる新聞記事などは1箇所に固まっていて通過するだけではとても読み解けず、またもや他は何もない空間が続くだけ。
スプラッシュマウンテン的アトラクションは、なぜかパリに新設でライオン・キングのアトラクションが建設予定です。
マジックキングダムは目の前のアメリカ河がこれからカーズに変わるので、今からライオン・キングに変えた方がいい。まだ間に合う。

そんなことより、カリフォルニアのディズニーランドでは大きな変化が起きました。
バイユーアドベンチャーが立地するテーマランド「クリッターカントリー」が「バイユーカントリー」に改名されました。
安易すぎる。
バイユーとはアメリカ南部の河です。
(in the southern US) a very slow-moving stream or river that flows through flat, wet ground near the coast and is usually shallow (= not deep) with trees growing in and around it:
(Cambridge Advanced Learner’s Dictionary & Thesaurus)
ここに「プーさんの冒険」と「カントリーベア・バーベキュー・ジャンボリー」があります。
プーはイギリスだぞ。あまりにも安易すぎます。
そもそも、ティアナのバイユー・アドベンチャーをニューオーリンズスクエアに組み込めばいいだけです。
ニューオーリンズ・スクエアにティアナのレストランもティアナ母のショップも作ったのだから、アトラクションも同じエリアに入れればいいだけなのに。
ブルーバイユー・レストランというそのままの名前のお店がニューオーリンズ・スクエアにあるのに。
なぜわざわざ別エリアにするのか意味がわかりません。
ニューオーリンズ・スクエアとバイユーカントリーの2エリアに分ける必要が本当にあると考えているのでしょうか。
アトラクションがつまらないのはまだしも、テーマランドすら考えられないのなら絶望的です。

プーさんの冒険とカントリーベア・バーベキュー・ジャンボリーはベアカントリーとして独立すればいい。
プーさんの冒険自体がカントリーベア・ジャンボリーを潰して作ったアトラクションだから気まずいけれど。

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OLC 2025年3月期 第2四半期決算発表

オリエンタルランドの2025年3月期2Q(2024年6〜9月)の決算が出ました。

過去最⾼の売上⾼の一方、コスト増により減益。
コスト面では、物価高騰による減価率の上昇と、ファンタジースプリングスが増えた分の人件費などの上昇がありました。
まあコストはかさむタイミングだよねと思うものの、営業利益は前年同期比18%減です。期初予想よりも減っています。

そして最大の問題は、入園者数が上半期で1,220万人と、前年同期比2.4%減になったこと。
40周年やリベンジ消費の反動減があるとはいえ、今年度の入園者数予想は前年比5%増の2,900万人です。
下半期での挽回も難しく、通年予想は上半期の減少をそのまま反映し2,800万人に修正されました。
これまでも入園者数が減少することはありましたが、今回の問題は、その原因が「猛暑」にあることです。
震災やコロナ禍と異なり、猛暑が来年以降急になくなることもないでしょうから、この調子だとずっと夏の入園者数は減ったままになってしまいます。

散水の拡大などの施策は打ったものの、昨年の猛暑を受けた対策を取ったため、応急処置的な施策であり、根本的な対策は取られていません。
一方で猛暑対策としてハロウィーンのスタートが10月に後ろ倒しされており、2Qでハロウィーンの効果を取り込めなくなりました。
これらの影響が大きいですが、猛暑への懸念は機関投資家が強く気にしており、決算発表よりも質疑応答で登場してきました。
2024年度の予想を出した際にも質疑応答で猛暑への対応が問われており、そこで「入園者数に関しては保守的な設定としている」と発言しています。
猛暑を踏まえて保守的な入園者数予想にしたのに、それを上回る猛暑で予想より減少してしまったのです。
というわけで、決算説明会では、まだ上半期が終わった段階なのに珍しく「今夏の振り返りと今後の集客の方向性」という章が追加されました。

今夏の状況としては、「来園希望者のうち、実際に来園した割合が前年同期より低下」があり、暑いから行くのやめよう層が響いたことが伺えます。
対策として「夏期のパークは従前より過ごしやすい環境であることの認知向上を図る」とありますが、対策を講じたとしてもあの猛暑では限界はあるしな…と思います。屋内型施設としてはピューロランドに加えて、ハリー・ポッター スタジオツアーやイマーシブ・フォートなども増えており、猛暑下での選択肢に屋外テーマパークを入れるのはなかなか大変そうです。
一方で「特定のターゲット」は低下しなかったため、来年からはその層に来園を喚起していくと。具体的には「若年層や東京ディズニーリゾートに好意を持つ層など」を挙げています。
若年層は暑さにも負けない。「東京ディズニーリゾートに好意を持つ層」はいかにも決算資料っぽい表現ですが、つまりハードリピーターということでしょう。文字面だけでは、好意を持たずにパーク来る人なんてほぼいなさそうですが。
最近になって、従来年パスだったマニア層が減ったとか若者が減ったとかネガティブ報道がいくつかありましたが、結果的にその通りの層に施策を打つことになった感はあります。
また、ウィークナイトパスポートやアーリーイブニングパスポートの夜間券は好調で、やはり暑いから日が落ちてから行きたい人が多かったのでした。
Reach for the Starsを夏の頭から公演しておけば…というたらればは浮かびますが。

下半期はハロウィーンが1ヶ月強に集中している上にクリスマスがあり、年明けのパルパルーザ第3弾もきっと頑張ってくれるでしょう。
期初予想の⼊園者数を維持しました。
その中で「ターゲットを限定した期間限定券種の実施」を挙げており、春のキャンパスデーパスポートなどが出るのかもしれません。
USJは夏に昼と夜で別のショーを公演しており、夜の集客につながっていた感覚です。それでも関西地区向けの割引パスを11月下旬から1月末に発売しており、集客を確保しておきたい姿勢が伺えます。ドンキーコングエリアも待てど暮らせどオープン日発表されませんし。

これも質疑応答で触れられていますが、夜間券や期間限定券種を売ると、ゲスト1人当たり単価は減少します。
今期のゲスト単価はディズニー・バケーションパッケージが牽引していたということで、夜間券や期間限定券種で減少してもバケパでカバーしていくという姿勢。ディズニー・プレミアアクセスも屋内レギュラーショーに拡大するなどしています。
インバウンドやバケーションパッケージなど定価で買ってくれる人からは追加課金も含めて単価を上げてもらう方針は続けつつ、そこまでの金銭的意欲を持たない層にもリーチしていく方向になりそうです。

また、スペースマウンテンやバズ・ライトイヤーのクローズイベントは猛暑でも好調だったそう。あまりそんな感覚ありませんでしたが、良かったようです。とはいえ直近でクローズ予定のアトラクションもなさそうですしね。
その中でスプラッシュマウンテンのびしょ濡れバージョンなどは触れられていないことから、期間限定なら良いというわけではないのかも。イッツ・ア・スモールワールドのマーベルバージョンが下半期からどう影響するのかも気になってきます。

ファンタジースプリングス開業の四半期でこの数字はなかなか厳しいですが、エリアの回転効率が良くなればコストも下がっていくことでしょう。
年度内はファンタジースプリングス・マジックのパスポート販売もあります。
そして、じわじわと下がり続けていた株価ですが、決算発表後は上昇しており、日経によると「目先の悪材料が出尽くしたとして次第に買いが優勢になった」とのこと。

2025年には新たな中期経営計画の発表も予定されています。
コロナ禍以降の入園者数をある程度抑えつつ単価を上昇させる戦略について試行期間を終えて本格的な方針になっていくでしょうし、継続的な猛暑対策の方針も求められます。
そしてクルーズを含めた長期の経営計画も発表すると予告されました。
クルーズは猛暑でも影響が少ないでしょうから、長期的には夏の旅行需要をクルーズが取り込んでくれることに期待しています。

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D23: The Ultimate Fan Eventに行った

2ヶ月半前に。

D23 ExpoがD23: The Ultimate Fan Eventと名前を変えた第1回。
大きく変わったのは、体験型のイベントになったことでした。
コンベンションセンター内のブースは特に顕著で、マーベルやルーカスフィルムが体験に振り切っていました。
マーベルはTVAツアーの形式で、ミスミニッツの映像やロケットとのトークを入れつつ、従来の作品衣装展示はタイムドアから見られる形に。
ルーカスフィルムは、巨大スクリーンで背景を作れるVolumeをそのまま展示し、デモンストレーションも実施しました。
ディズニーパークはイマジニアリングのブースとして出展し、中央にミニステージを設置して30分ごとにミニトークを行っていました。
パビリオン内でFuture Imagineerのネームタグ風シールを配っていたり、ミニトークでは締めとして今後イマジニアを目指す人へのメッセージを送ることも多かったり、イマジニアという職業にゲストを巻き込む仕掛けを感じました。

個人的には前日に行われたパークでのD23 DayでDCA側がディズニー・ジュニアのイベントを行い、パレードでプーとソフィアが並んで登場してきた時点でイベントに満足していたため、非常に気が楽に過ごせました。
「いっしょにあそぼう!くまのプーさん」衣装のプーとグリーティングできたし、D23会場でもグリーティングできたし。

わかりやすく大きな変化は、従来のHall D23でのプレゼンテーションがホンダセンターに移動したことです。
プレゼンテーションが夜にある分、全体でのD23の体験時間は長くなっており、時間にゆとりができました。
ただ、時間にゆとりが生まれたのは、コンベンションセンター内の講演にあまり参加しなかったからというのもありました。
フィニアスとファーブなど人気の講演は相変わらずすぐ埋まる一方、パークやアニメーションの講演は少なめでした。
アリーナでの講演は座席が多く快適でよかったです。
他の参加者も時間にゆとりがあるので、ブースの行列がものすごく、マーベルやディズニー・チャンネルID体験などは朝一を狙わないと厳しかったです。

これまでD23 Expoでは東京にほぼ触れないので、何秒東京に触れるかを見るという遊びにすらなっていましたが、今回はファンタジースプリングスという強力コンテンツがあり、それも楽しみにしていました。
わざわざファンタジースプリングスの柄がよく出ているアロハシャツを着て行ったら、ちゃんと現地の人に絡まれて。
アリーナでのファンタジースプリングス、香港アナ雪、上海ズートピア、ティアナの講演も面白かったです。
これが期待していたファンイベント要素だったのですが、今回はそれを圧倒的に上回る体験になりました。

まず、単純に自分が現地で会った方の運でD23側のものではないのですが、D23 Emporiumで出展者と話すこともできました。
D23 Expoは新情報発表会ではなくファンイベントだろうとずっと思ってきていたので、これがExpoだ〜と大満足でした。


そしてホンダセンターのプレゼンテーションも、新情報発表会を超えたショーになっていました。
まずホンダセンターに入ると客入れDJが行われていました。
指定席だし平和な雰囲気の中でDJがあり、客席から中継してゲストにクイズを答えさせてもいました。
これが本当にマニアックなクイズを出しているので、この会場にいるのがマニアックな人たちなんだという雰囲気になります。
最終日なんてゲストの自己紹介時に好きなディズニーレジェンドを聞いていました。
そんな質問聞いたことないし普通に答える会場も異常。
そしてこれまでの全員が正面を向くシアター形式からアリーナ形式に変わったため、ゲスト同士が向かい合う座席が生まれました。
この雰囲気のおかげで、ディズニーマニアが集まってショーを楽しむ空気になったのです。

初日の映画プレゼンは、ピクサーはショーアップするのが上手かったけれど、他はまあまあくらい。
すごかったのは2日目のパーク(Experiences Showcase)でした。
ステージにはオーケストラを用意し、細かな音楽まで生で見せるのはすごかった。
そして新発表会としてみても大満足の超豪華な発表内容。
偉い人やイマジニアがただ説明するのではなく、ゲストも盛り込みながらショーとして発表していく形式です。
発表して関連した音楽という流れかと思いきやどんどん融合していき、歌の中で発表する始末。
ただ予定時間の倍かかるのはいい加減にしろ。

そして最終日のホンダセンターはディズニーレジェンド授賞式。
今までは初日朝のオープニングで行っていて、最後にレジェンド授賞式単体で持つのか心配していましたが杞憂でした。
ゴールドを基調とした照明で、かなり格式高い雰囲気になりました。
これまでは、アイガーなど偉い人が受賞者を呼び、スピーチ、ショーという流れで、ショーで歌わせるために俳優や声優を受賞させているのではという感じすらありました。
今回は、プレゼンターとして受賞者と親交のある著名人などが受賞者を紹介し、スピーチという流れ。
従来のショー部分をプレゼンターが担当することで、誰が受賞してもショーアップされていました。
俳優はもちろん、パークガイドだったマーサ・ブランディングの際はダッパーダンにミッキーも登場。
ショー自体も、プレゼンターが受賞者に届けるという形なので、観客はショーを観る側ではなくプレゼンターと一緒になって受賞者を称える立場だったのも、面白いショーを見せろという姿勢にならずによかったです。
さらに、豪華なプレゼンターが来て会場がスタンディングオベーションになった流れから、全受賞者に対して呼び込みの際にスタンディングオベーションが起きて、敬意を表す形になっていったのも素敵な会場でした。
ジェイミー・リー・カーティスのスピーチ中にThere’s a Great Big Beautiful Tomorrowを歌うことになったときも、歌詞表示なしでみんなが普通に歌えているのもやっぱり異常な会場です。
そしてマイリー・サイラス。
史上最年少のディズニーレジェンドになったそうで、これまで誰が最年少だったのかは知らないけれどマイリーこそ最年少のレジェンドにふさわしいでしょう。
スピーチの中で涙を流し、自分がハンナ・モンタナだったことを誇りに思うと語ったマイリー。
D23はディズニーを裏側からも見るイベントであり、マイリーとハンナの関係とも近いわけで、その空間を体験できてとてもよかったです。
ディズニーレジェンドはどうしてもディズニーから離れた人がほとんどになるわけですが、みんなそれでもディズニーと関わったことを誇りに思っているような人ばかりで(受賞したんだから当然だけれど)、その空気が良かった。というのはその日の昼の影響が大きいわけですが。


最終日の昼はリチャード・シャーマン追悼講演がありました。
その前日に1964ニューヨーク万博の講演をみたのですが、ピート・ドクターが出る予告だったのにゲストとしてケヴィン・ファイギとジョン・ファヴローとマイケル・ジアッチーノまで出てきました。
ピート・ドクターはピクサーのトップですが、WDASも含めてアニメーションを率いる人物になる覚悟を決めたのかなというほど、あちこちのステージに出てきました。
そしてケヴィン・ファイギとジョン・ファヴローはアイアンマン2でのリチャード・シャーマンの楽曲提供の話と映像を披露。
マイケル・ジアッチーノはトゥモローランドの話をしつつ、ファンタスティック・フォーが60年代風になることに関連付けた話も。
ウォルトの精神を体現するようなニューヨーク万博はパークへの大きな影響を与えたのは当然ですが、ピクサーも実写もマーベルも、オプティミズムの精神で繋がっており大きなディズニーなのだと感じました。

そしてシャーマン追悼講演。
唯一出演者として予告されていたのは、司会のジョン・ステイモスでした。
オープニングの映像は、「The Last Verse」という一文から始まり、時代も場所も環境も超えてさまざまな場所でイッツ・ア・スモールワールドが歌われているという、まさにこの歌らしいもの。
ライオン・キングのザズーが歌うシーンなど笑わせるシーンもありつつ、最後には知らない歌詞が。
そしてサプライズでアイガーが登壇し、イッツ・ア・スモールワールドにリチャードが歌詞を付け足したという衝撃的な映像を紹介しました。
おそらく最後の仕事だとわかった上で作ったものでしょう。
既に号泣でしたし、周りをみてもみんな号泣でした。
そこからは、音楽葬のように、シャーマン兄弟の歌と共に各人が思い出を振り返っていきます。
ドン・ハーンの仕切りで、アシュリー・ブラウン、フロイド・ノーマン、トニー・バクスター、ケヴィン・ファイギが話すという、D23ならではの豪華な布陣。
前日のニューヨーク万博講演でのトークも補助線になり、オールディズニーがシャーマン兄弟と関わり、ディズニーらしさを体現していったことを示しているようでした。
最後には登壇者と会場全員でLet’s Go Fly A Kiteを合唱。
会場号泣しながら合唱です。今思えば当たり前のように歌詞表示なかったな。
みんなで歌って偲ぶことで、本当に亡くなったんだなと実感しました。
そして最後にはジョン・ステイモスは号泣しており喋るのに詰まるほど。
スタジオを越えまさにオールディズニーの豪華メンバーが集い、誰もが仕事を超えてディズニーを深く思っていることが伝わってきました。

これまでD23 Expoはネットで体験できる、ネットの方がより多くわかると言ってきましたが、イベント名が変わって今回は現地で体感する価値が大いにあるイベントでした。
もう今後行かない選択肢がなくなるほど。
どんどん拡大していくディズニーですが、その根幹にある部分をクリエイター側と何万人ものファンが共有して、オールディズニーを感じるイベントでした。

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Reach for the Stars感想

東京ディズニーランド「Reach for the Stars」を観ました。
とりあえず1回観た時点での感想です。

ここからネタバレあり

この運営体制でキャッスルプロジェクションが戻ってきたというだけで満点です。
特に、プレミアアクセスに課金するようなゲスト層に対して、ショーの選択肢を増やすことは大きなことだと思います。
そこに向けて良い雰囲気のショーとして完成されていました。

観ていて感じたのは、良い場所から観ることを想定したショーだなということでした。シンデレラ城近く(ただし近すぎず)正面から見るときによく見える作りです。
キャッスルプロジェクションも10年になり、今や東京ディズニーランドが最も狭い範囲で見せるプロジェクションになっていると感じました。
アナハイムは早くからスモールワールドやアメリカ河、そしてメインストリートUSAでも映像を流すことで、幅広いエリアで補完しています。パリは城が大きく、フロリダも拡張されたハブとメインストリートUSAを活用。香港と上海は、マッピング用のお城と、専用に掘られた鑑賞エリアから広がるハブがあります。
それに対して、パイロでない花火を打たない東京は、比較的狭い範囲に向けた演出で良いのです。
『ウィッシュ』のシーンでは、パイロの爆竹音がぴったり曲に合わせられていました。
さらに今回はシンデレラ城の両サイドの木にも投影があり、ミラベルのシーンなどよくできていて、没入感を演出していました。こういった没入感の演出は海外でもありますが、海外は「色」をテーマにして周りの演出を合わせることが多く、ある程度距離があっても成立するようにできています。もっと直接的なアプローチができるのは東京の城前構造ならではだと思いました。

特殊効果としては、ドローンを使いにくい東京で新たな効果としてスモークを出してきたのは面白い。
雲海の上のお城という表現は特に両サイドの池でうまくできていると思います。
近い人の見やすさは別として。
ホール・ニュー・ワールドでもかなり良い演出になっていました。
そしてやっぱり東京ならではの演出なのは炎。Celebrate! Tokyo Disneylandから導入された、設置タイプのフレームキャノンも含めて、良い演出になっています。炎を出すと、映像がかき消されてしまうという副作用があるものの、良い塩梅で映像を飛ばしてもいいシーンに当てはめていました。
レーザーもさすが小慣れていて、オープニングのティンクから完璧です。

今回新しいと思ったのは、むしろマッピングの演出でした。
東京でキャッスルプロジェクションが始まった当時、海外ではプロジェクションマッピングと言いつつもお城の入り口に幕を張って、そこにメインの投影物を出すという手法が多く、結局ただのスクリーン投影になっていることがありました。
それに対してワンス・アポン・ア・タイムは、シンデレラ城の右上にある平面が広めに取れるゾーンを活用して演出することで、綺麗な映像をキャッスルプロジェクションとして映すと同時に、高い位置にあるため遠くからでも見やすい効果を生んでいました。
これはかなり画期的な手法だと思っていて、フロリダではDisney Enchantmentで同様の方式をとり、香港のお城も増築部分はそれを意識した作りで平面が作られていると思います。
そんな東京のシンデレラ城が、今度はまた新しい手法でマッピングを表現していると感じました。
シンデレラ城は、時計がある前面と、高い塔がある後面に分かれています。そしてその間からパイロを打つことが可能になっています。この前面と後面をレイヤーとして分割して描いている部分が出てきました。
フローズン・フォーエバーでは近いことを行なっていて、前面で歌のシーンを描いて後面で回想を流すというすごいことをやっていたのですが、今回はきっちりと前面・後面でレイヤーを分けた映像になっているシーンがありました。その分、後面レイヤーで映るキャラクターが、前面の塔と被るので、横側からの見にくさには繋がっています。
とはいえ、お城を一体として投影するシーンもあり、ヘラクレスやウィッシュなど、レイヤーを分けるシーンと一体で描くシーンの使い分けが綺麗に行われていました。
物理的に前後に分けた表現ができるのは、マッピング用に大きいけれどのっぺりした城である香港や上海ではできない芸当で、元からあるシンデレラ城にわざわざプロジェクションマッピングつ打つという環境のなせる技です。
これは今後もっと化ける表現手法になると思います。

一方で、空を翔けるという表現はいまいちだったように思いました。
末広がりの三角形状であるシンデレラ城は空を飛ぶ表現が難しいですね。
みんな飛ぶといいつつ横に動くシーンが中心で、背景で動きを表現しているシーンが多かったです。カールじいさんの家も、家が大きくて風船が小さいという映像になってしまいます。
結局、ティンクとかスターとか小さいものが動き回らないとお城全体を使った飛行にならず。その点スターは非常に表現がうまくて、それだけで空飛ばないアーシャが入った価値がありました。
高さ51mのスクリーンを活かした没入感の飛行はなかったかなと思います。
ワンス・アポン・ア・タイムのピーターパンのシーンに勝てなかった。

シーン構成はぶつ切り感が否めず、特にヘラクレスがペガサスに合うシーンの切り替えの雑さには笑ってしまいました。
やはりストーリーが弱いので、空を翔けることと全体のテーマがちぐはぐなまま、とにかく映画を詰め込んでいるだけでした。
ホール・ニュー・ワールドが「素晴らしい世界」で終わり「を」がカットされているのはシーンの切り替えとしてはわかるけれどどうしても気持ち悪い。
そこからのプリンセスシーンは、もうストーリーからするとめちゃくちゃですが、こういうシーンが見たいのは確か。そしてプリンセスとプリンスのダンスシーンが、ウォーリーとイヴで締められるのは感動しました。東京ディズニーランドとして、プリンセスとヒロインの垣根を取り払ったと思います。

マーベルは、思ったより長くてたくさん出てきて、「イッツ・ア・スモールワールド with グルート」もきちんと意識されているなと思いました。
そこからベイマックスに行くなら、もう少しマーベル繋がり感を出すくらい攻められなかったのかな。ビッグヒーロー6はいちいち謎の虹カラーが出てきて、直前のソーとダブりました。

ラストは割と普通のことを言っているので、これくらいなら言葉で説明しない方が好きです。
最後のウッディの「無限の彼方へ」も最初の「はるか空の彼方」と呼応していて、ディズニーの中でもかなり有名な名言を生かしていました。その分直前に説明しなくても良かったと思います。

さて、このショーにはプーが登場します。というわけで、ここからはプーの話をします。
空を飛ぶキャラクターをメインとしたマッピングという時点で、イマジニアがプーを入れてくるだろうなとは思っていました。
始まるまで登場キャラクターには一切書かれていませんでしたが、やっぱりプーが風船で浮いてきました。
フィナーレでは、クリストファー・ロビンたちも登場します。全員いっぺんに映すから場面として意味不明になっているけれど。
飛ぶ上でプーは使われがちだし、前述した上方向の動きで見ると、プー単体が風船で浮いていくので、城の上の塔まで使えて表現しやすいわけです。
それは、空を翔けるというショーの括りとしては良いです。ありがとう。
しかし、ショーのメッセージからは明らかにかけ離れています。
夢に向かって進んでいこうという、だいたいの映画はそのシーンあるだろうというテーマを扱うから、だいたいどの映画を使ってもまとまります。
だいたいのと書いたのは、一部には何の夢も追い求めない物語もあるわけで、その代表格が「くまのプーさん」です。
プーが入るだけでテーマがブレます。
これだけで、テーマに沿って映画をセレクトしたのではなく、深く考えずにシーンを詰め込んでいるだけだとわかります。
空を翔ける=夢を追い求めるは全てにおいて等式ではありません。
その両者をそれぞれやりたいように作るから、まとまりのないショーになっているのだと思いました。

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アッシュダウン・フォレスト紀行「プーの故郷を訪ねて」をディズニーファンに寄稿しました

ディズニーファン10月号が発売されました。
プーの不定期連載「プーさんのこと、いろいろ」にまた寄稿しています。
早いもので寄稿し始めてから丸2年になりました。

今回は「プーの故郷を訪ねて」。
イギリスのアッシュダウン・フォレストを、見開きで紹介しています。
描き起こしてもらった地図と、2017年に撮影した写真で、紀行っぽいページになりました。

原作者A.A.ミルンはロンドンで暮らしていましたが、アッシュダウン・フォレストに「コッチフォード・ファーム」という別荘を購入。週末や休暇などをアッシュダウン・フォレストで過ごすようになりました。
息子のクリストファー・ロビン・ミルンは、別荘の前の広大な森で、自分のテディベア、ウィニー・ザ・プーたちと一緒に遊んでいました。
その様子をA.A.ミルンが物語にしたのが、「クマのプーさん」です。
そんなわけでアッシュダウン・フォレストが100エーカーの森のモデルなわけですが、モデルという表現では遠すぎるかなと思うほど、アッシュダウン・フォレストと100エーカーの森は交わっています。
この辺り、『プーと大人になった僕』での表現が上手いのですが、アッシュダウン・フォレストの別次元にあるのが100エーカーの森というイメージです。

偶然ですが、プー連載の前のページには、「アナ雪の故郷ノルウェーを訪ねて」が掲載されています。
アナ雪は建物や衣装のデザインがノルウェーの伝統模様から取り入れられています。
ディズニーではそういった実際の世界を、独自の世界に落とし込んでいます。
一方でプーは、もっと地続きのクリストファーとプーの冒険が、そのまま100エーカーの森になっています。
その違いも聖地紀行の面白いところだなと思います。

風間俊介さんのファンタジースプリングスガイドブックも付録になっているので、そのついでにプーのページも読んでください。

そして「くまのプーさん FAN BOOK」も発売から1年が経ちました。
まだ買っていない方はぜひ。
http://disneyfan.kodansha.co.jp/mook/62115.html

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