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 - 海外パーク  - by poohya

ZIPAIR直行便でウォルト・ディズニー・ワールドに行った

ZIPAIRによる、東京からオーランドへの直行便に乗って、ウォルト・ディズニー・ワールドに行ってきました。
今回は東京からオーランドへの史上初の直行便ということで、ミッキーネットがウォルト・ディズニー・ワールドへと連れて行ってくれました。

成田空港から出発

成田空港第1ターミナルから出発です。手荷物は7kgまで。預け荷物は有料ですが、1個あたり30kgまでで、普通の国際線(23kg)より多め。今回は5泊7日だし、ミッキーネットで現地で水が24本もらえるので、そこまで重量はかかりませんでした。
ZIPAIRは以前ロサンゼルス行きに乗ったことがありますが、当日になってから買ったため24時間前までしか対応していないサービスが多く、ほとんど空港カウンターでの手続きでした。今回は事前にアプリに航空券情報を読み込ませて、いろいろと快適に手続きできました。しかし、オンラインチェックインは往復ともなぜか使えず。
初航便セレモニーの取材もあったため、早めに到着。3時間の11:30から有人カウンターがオープンしますが、それ以前に空港の自動チェックイン機でチェックインは行えます。預け荷物がなければこのまま出国可能です。預け荷物がある場合でも、自動手荷物預け機(Self Baggage Drop)で預けられます。有人カウンターより早く11:00から自動手荷物預け機がオープンしました。大量のディズニー荷物を預けている人がいてすごかった。ここで手荷物の重量も確認され、7kg以下なら印となるバンドを荷物につけてもらえます。ほとんど並ばずにスムーズにチェックインから荷物預けまで行えました。
祝日でしたが保安検査も混雑しておらず、無事に出国。

ゲートでは装飾と、初航便セレモニーがありました。
ZIPAIRの社長から、予約は埋まっているものの、帰りの飛行機は気流の関係で時間がかかる分、燃料が重くて全席を売り切ることができないということが明らかにされていました。この辺り、発表会見でも現在の機材繰りで定期便は厳しい旨が述べられていましたが、新たに導入予定の機材を使ってフルフラットシートを増やすことで解決できれば定期便も見えてくるのかなと思いました。
搭乗特典の搭乗証明書とバッグとカチューシャをもらって機内へ。おそらく機体の前方はHISやJTBのツアー向けの席になっていたようです。行きも帰りも後部座席でした。

直行便機内

行きのフライトはZIPAIR ZG714便。成田14:30発、オーランド13:40着予定です。およそ13時間のフライトです。
時差対策のため、いつも飛行機内では現地での時間に合わせて寝ることにしています。事前に日本での寝る時間も調整しておきます。今回は現地時間換算で深夜0時に出発する便ということで、飛行機に搭乗したらすぐに寝ます。出発から7時間ほど寝て、後半の6時間は起きているという予定にしました。
ZIPAIRでは機内食は有料です。代わりに持ち込んだものの飲み食いは許可されています。
機内食は選べる上に、オプションによって到着2時間前に提供時間を変えてもらうことができます。成田空港でご飯を食べていたので、到着前に機内食をずらせるのは大変ありがたかったです。あまり美味しくないけれど。機内で軽食の追加注文も可能。カップ麺を購入する(お湯に課金しているようなもの)人が多い印象でした。
当然飲み物も有料。国際線の保安検査では飲み物は禁止なので、出国後に空港内で飲み物を買っておきます。空の水筒を持っていき、空港内のウォーターサーバーでお湯を入れ、紅茶を作っておきました。
機内wifiは無料なのがZIPAIRのポイントですが、今回はまるで使い物になりませんでした。iPadにダウンロードしておいた映画を見つつ到着です。半分寝ていたこともありかなり快適に過ごせました。この程度だとカリフォルニア〜東京の帰国便くらいの時間なので問題はありません。wifiがあるという過信は禁物です。

オーランド国際空港

無事にオーランドに到着。2月なのに東京よりフロリダの方が寒いという異常気象。フロリダについたのに上着を着込みます。
オーランド国際空港では初めてターミナルCに到着です。そもそも昼間に着くことがあまりないので珍しい体験でした。ターミナルCの国際線は、入国審査の前に荷物を受け取ります。政府閉鎖の影響でグローバルエントリーが使えなかったので、荷物預け荷物を待っている間にMPCに登録しました。入国審査はかなり長く並んでいたので、MPCは快適です。
アメリカに入国すると、初便を出迎えるためのセレモニーが行われていました。そしてウォルト・ディズニー・ワールドへ。

WDW到着日Disney After Hours

ちょうど15時のチェックイン時間ごろにホテルにつけて非常に便利な時間帯です。
部屋に荷物を置き、EPCOTへ。この日はインターナショナル・フェスティバル・オブ・アーツの最終日だったので、イベントのパークを見て回りました。そしてブロードウェイ・コンサートも最終日ということで美女と野獣ミュージカル版のキャストが歌ってくれる、かなり豪華なバージョンになっています。とはいえ、スタンバイでも1時間程度並べば結構良い場所で見ることができました。2回見ました。

その後は19時からマジックキングダムへ移動し、閉園後のパークの特別営業ディズニー・アフターワーズに参加しました。22時までは通常のパークが運営されていますが、19時からミックスインの形で入園できます。
入園したら新しい夜のパレードDisney Starlightを鑑賞。マジックキングダムパークに夜のパレードがあるのはやはりとても良いですね。しばらくパレードがないパークに慣れていましたが、やはりやっているとやっていないのでは大違いというほど体験価値が違いました。
そして21時からHappily Ever Afterを鑑賞。さらにイベント貸切時間になると23時からDisney Enchantmentが公演されます。パレード、花火2つが見られてかなりの充実感。
特別営業は25時まで続くので、アトラクションを乗り回します。かなり空いているので、トロンもマイントレインも何度も乗り放題。夜景で乗れるのもポイントが高いです。
さらにポップコーンとドリンクとアイスも食べ放題です。押し売りのように配っていました。寒かったのでアイスをあまり食べられず残念。

Disney Enchantmentが見られるだけでもかなり価値が高いイベントで、よく考えられているなと思っていましたが、数時間で主要アトラクションを回りきれるという本来の価値も高いイベントでした。
特に今回は滞在日数が短く、初日夜にマジックキングダムの主要コンテンツを一通り押さえられるのは、翌日以降非常に大きな価値をうみます。
普通、東京からオーランドへ行こうとすると、夜9時にオーランド着などになるので、その日は遊べません。ZIPAIRでは乗り換えがない分、午後早い時間帯にフロリダに到着するので実現できるスケジュールです。
今回はEPCOTのイベントが最終日だったのでそちらにも行きましたが、普通の旅程ならホテルに到着し一休みして19時から入園という形で十分でしょう。これだけで丸一日分遊んだ満足感があり、ZIPAIRが数時間早く到着するおかげで遊べる日が1日増えた感覚です。
到着日に、アフターアワーズや、季節によってはハロウィーンやクリスマスの特別営業を入れるのはかなり良いプランになるのではないかと思いました。
チェックイン日のウォーターパーク無料キャンペーンで遊んでもいいですし、ユニバーサル・エピック・ユニバースにエクスプレスパスをつければ到着日でも周りきれそうですし、選択肢は広がります。

チャーター便特典

初日夜にマジックキングダムを一通り回れたので、2日目(普通ならここが初日)以降は他パークを中心に、新要素を巡りつつ、昨年にも訪れているのでそこまで新要素も多くなく、かなりゆったりと回ることができました。
2日目の夜は、ZIPAIRチャーター便の特典としてグリーティングとルミナスの鑑賞がありました。グリーティングでは前室で飲み物と軽食の提供もあり、快適。ルミナスは中央の旧ファストパスエリアを貸し切って、これまた飲み物とアイスの提供あり。2日連続でアイスがあるのに寒いという悲しい事態。フロリダで日本人だらけの中でショーを見るという稀有な体験ができました。

最終日もゆったり滞在

最終日。帰国便はZG713、オーランド15:40発、成田20:35+1着です。
また普段のスケジュールの話をすると、オーランドからの帰国便は早朝発が多く、ホテル空のバスは深夜3時に迎えにくるといったことが多いです。パーク最終日の後はパッキングをするだけで眠らずに深夜チェックアウトになりがち。
今回は、午前中いっぱいワールドに滞在できるスケジュールです。せっかくなので、朝からキャラクターダイニングを予約しました。人気の高いトッポリーノテラスですが、ホテル予約がある場合はチェックイン60日前の時点でチェックアウト日までの分が予約できます。最終日の予約は通常より滞在日数分早く予約できるので、余裕で予約ができました。
ホテルバスでハリウッドスタジオへ行き、Skylinerでレストランがあるリビエラリゾートへ。最終日までミッキーに会えてゆったり食事もできて、非常に満足です。その後はバスでディズニー・スプリングスへ行き、最後の買い物。そしてホテルに戻ってピックアップ車で空港へと行きました。
13時までワールド内にいることができ、最後までゆったり満足度の高い体験になりました。朝からパークに行ってもそこそこ回れるスケジュールだと思います。

再びオーランド国際空港

オーランド国際空港は再びターミナルC。チャーター便のため臨時カウンターが設けられていました。こちらは自動チェックイン機や自動荷物預け機はないので、全員が有人カウンターに並びます。ツアー乗客の方が先に着いていたので結構後ろの方になり、30分くらい並んだかな。そこから保安検査もかなり並んでいました。オーランド国際空港は結構並ぶのでMCO Reserveを取っておきたいところ。今回はグローバルエントリーの特典であるTSA PreCheckが付いているのでかなりスムーズに入ることができました。グローバルエントリーの登録は事前にアプリで行っています。
ターミナルCは制限区域内にディズニーショップがあります。とはいえ、さっきまでディズニー・スプリングスにいたので、あまりディズニーショップには用がありません。横にあるユニバーサル・スタジオのショップを楽しみました。

帰国便

飛行機は1時間ほど出発遅延。機内Wifiはスターリンクが搭載されていましたが、最初の3時間くらいはシステムトラブルでつながらず、後半になってようやくスターリンクがつながるようになりました。
帰国便は15時間のフライト。15時間飛んで夜21時に成田に着きます。ということは、日本時間では朝6時に飛行機が出発しているわけです。帰国翌朝から予定があったため、飛行機では15時間一睡もできません。しんどかった。帰国翌朝に予定を入れるのはやめましょう。
ZIPAIRは個人モニターがついていません。その代わり、通常のテーブルとスマホスタンドが別で設置されています。これが非常に便利で、普通の飛行機よりも快適でした。というのも、スタンド側にiPadを置き、ダウンロードしておいた映画を見ながら、下のテーブルでパソコンを開いて仕事ができるのです。
日本でダウンロードしておいたアニメを見ながら過ごしていたのですが、気づいたらアメリカ滞在中に配信された最新エピソードも再生していました。ダウンロードしている動画とストリーミングで見ている動画の差がわからないくらいの通信速度で驚きました。
15時間のフライトは長かったものの、乗り継ぎがないのはやっぱり快適です。また、オーランドから全部日本語アナウンスで行けるのもこれまでにない体験で、これが定期になればかなり安心感のあるオーランド旅行が実現できるのではないかと思いました。
個人的にはもう少し早い時間帯に出発して、成田から国内線乗り継ぎができて地方にも当日中に帰れるくらいのスケジュールでも良いのではないかなと思いました。

直行便はやっぱり便利

世界のディズニーリゾートで唯一、東京から直行便で行けなかったウォルト・ディズニー・ワールドにとって、これまでの常識を打ち破る直行便の就航でした。
乗り継ぎの時間を削る分、初日と最終日も、ただの移動日ではなくリゾートステイが楽しめます。
また、乗り継ぎ便はどうしても日系航空会社にはならないため、行程で日本語対応している飛行機で、預け荷物も安心というのも大きいでしょう。乗り継ぎの面倒さや遅延トラブルもありません。
定期便になったらまさにゲームチェンジャー。ZIPAIRはLCCなので直前になっても価格が高騰せず、急にフロリダに行きたくなった際に行けてしまうという衝動買いの危険が常にある世界がやってきます。

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「クマのプーさん」誕生物語を読んだ

2026年、「クマのプーさん」は100周年を迎えます。
なぜ100年も愛され続けているのか、そもそも100年前になぜ大ヒットを果たしたのか。
原作・ディズニー問わずプーが好きな人はもちろん、ディズニーが100周年を迎えミッキーも100周年を迎えようとしている中でディズニーファン全体が持っておきたい視点ではないでしょうか。

著者A.A.ミルンの人生から読み解く資料は幾多もあります。『「クマのプーさん」誕生物語―A・A・ミルンとE・H・シェパードの生涯とその世界』(ジェームズ・キャンベル著/富原まさ江訳/原書房)は、プー原作の背景の解説書の中でも最新のものです。

本書では、その背景を知るだけでなく、新たな刺激を与えてくれます。
プー以外ではほぼ交わらない2人の人生を紡ぎ合わせることで時代背景を読み解く体験を通じて、100エーカーの森の思想的な背景だけでなく、当時の社会でプーが受け入れられた背景が見えてきます。
実際の挿絵やプーのスケッチなど、未公開の貴重な図版もカラーで掲載されているのも特徴。絵の解説としても理解しやすく、資料集として見ても楽しい本になっています。

プー解説本を読み漁ってきた人にはもちろん、原作「クマのプーさん」の背景を知らない人への入門書としても、丁寧に時代を追いながら理解ができる一冊です。

ミルンとシェパード2人の視点から「クマのプーさん」を読み解く

著者のジェームズ・キャンベルは、E.H.シェパードの孫娘と結婚し、現在シェパードの遺産監督を行っています。
これまでの著書に「The Art of Winnie-the-Pooh: How E. H. Shepard Illustrated an Icon」と「Shepard’s War」があり、そんなキャンベル氏の新刊が本書(原題「The Men Who Created Winnie-the-Pooh: The Lives of A. A. Milne and E. H. Shepard」)です。
2025年9月に発売されたものが、早くも邦訳されました。
これまでの2冊はイラスト集の色合いが強かったのに対し、今回は文章を中心としつつ、フルカラーで貴重な資料も挿入されています。

本書の最大の特徴は、A.A.ミルンとE.H.シェパードの2人の伝記という初の試みを行っていること。
「クマのプーさん」成立の背景は、A.A.ミルンの人生に照らす資料が当然ながら多いですが、著者はシェパード側の人物のため、シェパードのエピソードも分厚く取り扱うことができるのです。
2人の人生を同時に追うことで、「クマのプーさん」が生まれる背景を浮かび上がらせていきます。

前提として重要なのは、「クマのプーさん」が当時としては異例の協業体制で製作されたことです。
作者のA.A.ミルンは、挿絵画家のE.H.シェパードと密に連絡をとりながら、「クマのプーさん」を製作していきました。
当時の出版業界では、作者は挿絵に関知せず、挿絵を入れるかどうかすら出版社が独自に判断して適当なページに挿入するというものでした。
これを覆し、シェパードがミルン家の様子や森をスケッチした上で挿絵に活かしたほか、ミルンの文章も挿絵に合わせたレイアウトが組まれました。
プーの世界観を成立させているのは、ミルンの言葉であり、シェパードの絵です。この両者が各々の立場で当時の社会を生きていたからこそ、幅広い層に読まれる大ヒットを果たしたのです。

本書では、2人の生い立ちから「クマのプーさん」誕生、そしてプー完結後の関わりと進んでいきます。
第1章は学生時代までをたどり、それからプー誕生までは、「パンチ」と「第一次世界大戦」をテーマにした2つの章を通じて語られていきます。

「パンチ」を通じて浮かび上がる2人の立場

特にパンチを通じた2人の人生観は、これまでにない視点を与えてくれます。
パンチ編集部との各々の関係、そしてそれを取り巻く名誉と階級が、当時の社会への理解を深める大きな視点となりました。

パンチは、当時かなり人気だった風刺雑誌。ミルンは作家として、シェパードは画家として仕事をしました。
2人はパンチで直接的な仕事をしたわけではありませんが、後にプー作品をつくるにあたり、パンチが2人を繋ぐことになります。
そのような表面上の歴史や、シェパードのパンチでの挿絵をミルンが評価していなかったというエピソードはよく語られますが、本書はそこにとどまりません。
パンチで成功することがどういう意味を持つのか。当時のロンドンの社会背景が描かれることで、2人の人生が浮かび上がっていきます。
ミルンはパンチ編集長の紹介で妻ダフネと出会いました。上流階級に属しミルン家とは格差のあったダフネは夫に対し、後のパンチ編集長という社会的肩書を期待していました。
シェパードはパンチ創刊者のひ孫で、妻パイも別の創設者の孫でした。
プーに関わる登場人物のほとんどが、パンチ関係者と言えるわけです。
パンチとの関わりによって、エドワード朝の社会で各々がどこに価値を置き生きていたのかが見えてきます。
これは後のプー作品の成立と、その後のプーへの関わり方を理解する大きな補助線となります。

プーは平和主義を体現しているのか

パンチの次は、第一次世界大戦への従軍経験から2人の生き方が見えてきます。
当然ながら2人の人生で同時に発生した一大事なわけですが、戦争への向き合い方は大きく異なります。
ミルンが当時一般的ではないほどの平和主義者だったという側面が強いですが、戦前の思想、戦時中の行動、戦後から第二次世界大戦に向かう考えと、2人には大きな隔たりがありました。
プーにおいて、ミルンの平和主義を見る捉え方もありますが、当時は一般的ともいえるシェパードの視点が加わることで、単純化せずに捉えることができます。

プーにおける異例の協業体制

ミルン家にクリストファーが生まれたこと、そして従軍という仕事を離れた期間があったことから、時代は一気にプー成立へと流れていきます。
パンチでの仕事を離れ、劇作家として成功したミルン。パンチを巡る背景を踏まえた上では、ミルン家でプーの物語が生まれるに至る空気がより分かりやすくなっています。
そしていよいよミルンとシェパードが出会い、プー製作へと進んでいきます。

2人がどのようなスタイルでプーを製作していったのか、まさに本書の真骨頂となる、2人の関わりが詳しく見えてきます。
プー製作過程の新たな分かりやすい資料として、繰り返し参照されることでしょう。
これまでの章で描かれてきた2人の人生を踏まえれば、当時として異例の協業スタイルを取りながらも2人が決して親密な付き合いにはならなかったことも自然です。

「たのしい川べ」から2人の視点を得る

本書は、プー成立後も、2人の人生を追い続けます。
プーが大ヒットし「プー横丁にたった家」で幕を下ろした後、本書にケネス・グレアムの「たのしい川べ」が登場します。ディズニー映画『イカボードとトード氏』のトード氏部分の原作です。
ミルンはプー誕生より前から「たのしい川べ」を愛しており、100エーカーの森の世界観に対して非常に大きな影響を与えていると指摘されています。このことから、プーの背景をミルンから読もうとすると、「たのしい川べ」はプー以前に登場しがちです。
しかしミルンは、「プー横丁にたった家」をもって子ども向け作品を終えた後に、「たのしい川べ」の戯曲化「ヒキガエル館のヒキガエル」を手がけます。
本書では、ミルンの紹介によりシェパードが「たのしい川べ」の新たな挿絵を担当することになった経緯から、プーを終えたこのタイミングで「たのしい川べ」を扱います。
戯曲化と挿絵、同じ原作を2人それぞれの視点で捉えた「たのしい川べ」を通じて、2人の仕事や価値観が浮かび上がってきます。
前章に立ち戻れば、いかにしてプーが2つの視点を取り入れて作り上げられたかが見える構成です。

ディズニーへ繋がるその後の人生

そして再び戦争へ。2人の人生はまた離れていきます。
第二次世界大戦をきっかけに、ミルン親子の仲は決定的に悪化。
A.A.ミルンとクリストファー・ミルンは悪化した親子関係から共にプーとの距離を取ります。
一方、名声や社交を愛するA.A.ミルンの妻ダフネ、そしてプー海外版の表紙や彩色などの仕事が来続けているE.H.シェパードは、プーと関わり続けます。
この時代の関わりは、もはや「クマのプーさん」成立の背景にはなり得ません。
しかし、ディズニー化における商業的背景において、意味をなしてきます。

「名誉ある平和」

戦争のあたりから、現代の日本人の感覚からすると、著者がシェパード側への気持ちが強い感覚を持ちます。
これはミルンの平和主義との対比によっても強調されてしまっているのですが、プー研究におけるシェパード側からの視点の少なさを痛感させられます。
この点で、2月末に発売予定の「名誉ある平和」(小鳥遊書房)を踏まえて再び読み直したいと思います。
これはミルンが第一次世界大戦にあたっての平和主張であり、同書には第二次世界大戦時の「名誉ある戦争」も収録するそう。
訳者は、佐賀大学教育学部准教授の吉村圭氏。既に「名誉ある平和」邦訳を発表しており、ミルンの戦争描写に関する論文も出している先生で、ミルンと戦争との関わりにより深い認識を与えてくれると期待しています。

プー研究に新たな視点を与える一冊

このように、プーが生まれた背景を、ミルンとシェパードという2人の人物と彼らが生きたロンドン社会から見ることで、より重層的に捉え直すことができます。
振り返れば、A.A.ミルンとE.H.シェパードは、同時代のロンドン出版界の非常に近い場所にいながら、その階級社会を異なる過ごし方で生き、奇跡的に「クマのプーさん」で人生が交錯しました。
これは第一次世界大戦から第二次世界大戦まで、激動の時代の象徴的な出来事でした。
当時の人々が何を求めてプーの本を購入し何を得たのか、そして100周年を迎える現代まで続く魅力とはなんなのか、その一端が見えてきます。
本国での出版は昨年であり邦訳が100周年と重なっただけですが、100周年の記念碑的とも言える一冊です。
これからもプーを研究する上で、すぐ手に届く場所に置いておきたい大事な本になりました。

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ディズニー新CEOはジョシュ・ダマーロ


ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニーの新CEOに、ジョシュ・ダマーロ(Josh D’Amaro)が正式に指名されました。
また、新たな役職として、ダナ・ウォールデン(Dana Walden)がプレジデント兼CCOに指名されました。

ロバート・アイガーCEOの後継者は、再びパーク部門のトップから選ばれました。
CEOになるも結果的に電撃解任されたボブ・チャペックを選んだのもアイガーだったという責任が論じられないまま再びの後継指名に至ったのは、今回はだいぶ外部委員会に委ねたとはいえモヤモヤするところですが、ボブ・チャペックをCEOに選んで失敗してその後継者を再び指名した形になります。


ジョシュ・ダマーロも、パーク部門をエクスペリエンスに再編し、さらにEpic Gamesとの協業を指導するなど他分野の統括を進めてはいましたが、パーク部門をメインにしてきた人物です。
その点で、ダナ・ウォールデンの配置が新体制における重要なポイントになるのかなと思います。
ダナ・ウォールデンはFOX出身で、ABC出身で買収された後に買収元のCEOになったアイガーと経歴が重なる人物です。
被買収側のやや第三者的な視点を持っているのが総合エンターテイメント企業の舵取りに重要かもしれません。
ディズニープラスなどの事業を主に率いるのでしょうが、CCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)となるほど映画(特にアニメーション)に明るいのかは、よくわかりません。
とにかくよくわかりません。

その中で、ルーカスフィルムはデイヴ・フィローニを中心としたこちらも2人体制に、マーベルは来年のアベンジャーズ/シークレット・ウォーズで一応の一区切りを迎えます。
3月18日の総会で正式に任命される新体制。
ウォルト・ディズニーからのディズニー社の歴史を通観しても、重要なポイントになることは間違いなさそうです。

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くまのプーさん新作映画を制作中とジム・カミングスが投稿


プーとティガーの声優、ジム・カミングスが自身のInstagramにて、プーの新作を制作中だと投稿しました。

ディズニーが「くまのプーさん」の長編映画を制作中だといいます。
公開時期や、アニメーションか実写か、劇場向けかディズニープラス向けかなどは不明です。

映画媒体などもジム・カミングスの投稿以外からの情報は報じていません。
普通こういったニュースは噂程度に受け流すものですが、言っているのが長年プーとティガーの声優をしているジム・カミングスなのですから、気になります。

ちょうどプー100周年が始まるタイミングでの投稿で、100周年記念の短編程度なら2026年に公開されてもおかしくないとは思いますが、今後の公開スケジュールにしっかり組み込んでくるとなると、あまり現実感がないのが実際のところ。
とはいえ、ディズニーは思っていたよりプー100周年をきちんとやる気なのではという雰囲気が漂ってきました。

良いお年を。

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くまのプーさん100周年が開幕

2026年はくまのプーさん原作デビュー100周年を迎えます。
100周年ロゴも登場し、100周年関連グッズにロゴが載るようです。


日本と海外で同じロゴになっており、グローバルなキャンペーンとして展開されるみたい。
例年、日本では8月3日の「はちみつの日」をメインにプーのキャンペーンが行われており、2025年は「プー活」がテーマでした。
100周年がグローバル展開なら、例年とずれて10月メインで米国主導のコンテンツになるのかもしれません。
何はともあれ、100周年がきちんとディズニーで展開されるようで楽しみです。

ところで、プーの物語が初めて世に出たのはクリスマスです。
クリスマスイヴの「イブニング・ニュース」夕刊に、初めてのプーの物語が掲載されました。
イブニング・ニュースから子ども向けの物語を依頼されたA.A.ミルンが、息子クリストファーに聞かせていたテディベアの物語を使うことにして書いたのが、後に「クマのプーさん」第1章の原型となる、はちみつを採りに行く話です。

1925年12月24日のイブニング・ニュース夕刊7ページに、プーの物語が掲載。
一面見出しにも「A CHILDREN’S STORY BY A.A. MILNE.」と大きく載せられています。
そして、翌12月25日19:45から、ラジオのクリスマス番組内で、ドナルド・コルスロッププーの物語を朗読しました。

というわけでプーの100周年が幕を開けました。
いろいろな場所でプー100周年を祝う忙しい一年になるといいな。

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