「 くまのプーさん 」 一覧
- くまのプーさん - by poohya
「100エーカーの森の地図」原画、挿絵史上最高額の6,300万円で落札
100エーカーの森の地図を含む「クマのプーさん」「プー横丁にたった家」の原画5枚がロンドンにて競売にかけられ、100エーカーの森の地図が43万ポンドで落札、挿絵としては過去最高額となりました。
「クマのプーさん」の挿絵 6300万円余で落札 | NHKニュース
100エーカーの森の地図(430,000ポンド)
プー棒投げ橋から川を見るプー、ピグレット、ラビット、ルー(112,500ポンド)
川に浮かぶイーヨー(112,500ポンド)
プー棒投げ橋に立つプー、ピグレット、クリストファー・ロビン(175,000ポンド)
魔法の森に行くプーとクリストファー・ロビン(200,000ポンド)
これらはE.H.シェパードが書いたものの50年以上見つかっていなかった原画の一部。
先日までロンドンV&Aで行われた「クマのプーさん展」で公開された原画も含まれています。
この企画展は2019年2月に東京でも開催されます。
地図は10万〜15万ポンドの予想の3倍ほどの43万ポンド(約6,372万円/1ポンド=約148円)となりました。
他はだいたい予想内の額。
魔法の森は予想の2倍以上になりました。
100エーカーの森の地図を含む原画5枚がオークションにかけられる|舞浜横丁
また、「クマのプーさん」などプーもの4冊の第一刷セットは4,750ポンドで落札されました。
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「クマのプーさん展」Bunkamura ザ・ミュージアムで2019年2月〜4月開催決定
渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで2019年2月9日(土)〜4月14日(日)、「クマのプーさん展」の開催が決定しました。
これは、ロンドンのV&A(ヴィクトリア&アルバート)美術館で2017年12月9日〜2018年4月8日まで開催された企画展「Winnie-the-Pooh: Exploring a Classic」が日本に来るもの。
50年以上ぶりに発見されたE.H.シェパードによる原画など、貴重な資料が並びます。
子どもから大人までしっかり楽しめる作りになっており、主催者が伝えようとするプーの本質がバランスよく表現されている企画展でした。
プー企画展「Winnie-the-Pooh: Exploring a Classic」が伝えるプーの本質|舞浜横丁
イギリス版では図録も発売されました。
amazonでも発売中なので、邦訳版にも期待したいです。
開催期間
2019/2/9(土)-4/14(日) <予定>
*休館日未定
開館時間
10:00-18:00(入館は17:30まで)
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
会場
Bunkamura ザ・ミュージアム
主催
Bunkamura、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、朝日新聞社、フジテレビジョン
協賛・協力等
[協力]
ウォルト・ディズニー・ジャパン
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100エーカーの森の地図を含む原画5枚がオークションにかけられる
プーさんの森の地図、競売へ 1926年の原画、ロンドンで – 共同通信
100エーカーの森の地図を含む「クマのプーさん」「プー横丁にたった家」の原画5枚がロンドンにて競売にかけられることが発表されました。
競売大手サザビーズは、地図だけで10万~15万ポンド(約1400万~2200万円)、全体で31万~44万ポンド(約4500万〜6400万円)の値が付くと予測しています。
Sotheby’s
競売にかけられるのは、100エーカーの森の地図(10万〜15万ポンド)
プー棒投げ橋から川を見るプー、ピグレット、ラビット、ルー(8万〜12万ポンド)
川に浮かぶイーヨー(8万〜12万ポンド)
プー棒投げ橋に立つプー、ピグレット、クリストファー・ロビン(6万〜8万ポンド)
魔法の森に行くプーとクリストファー・ロビン(7万〜9万ポンド)
どれも1000万円以上の値が予想されています。
これらはE.H.シェパードが書いたものの50年以上見つかっていなかった原画の一部です。
オークションは7月10日に開催されます。
- くまのプーさん プーと大人になった僕 - by poohya
『プーと大人になった僕』という邦題が素晴らしい
映画『プーと大人になった僕』が9/14に公開されます。
原題は「Christopher Robin」なのですが、邦題は大幅に変えてきました。いつも通り不思議な邦題だなーと思っていたのですが、やっと意味に気付きました。
非常に良くできた邦題です。
『プーと大人になった僕』は、クリストファー・ロビンがプーとお別れしてから何十年かたった後の物語。
大人になり、ロンドンで暮らすクリストファー・ロビン。
結婚し娘も生まれた彼は、仕事で悩みを抱えています。
そこにやってきたプーたちがクリストファー・ロビンを助けるために奮闘するというストーリーです。
実写化の意味
プーの物語構造は意外と複雑で、「クマのプーさん」は、A.A.ミルンが息子クリストファー・ロビンにお話を聞かせる形式で語られ、そのお話の中に100エーカーの森が登場します。
冒頭ではプーはあくまでぬいぐるみとしてクリストファー・ロビンが持って登場しています。
ディズニー映画でも、オープニングはクリストファー・ロビンの子供部屋で、実写セットで撮影されています。
子供部屋に置いてある本に飛び込むとアニメーションの100エーカーの森が広がります。
ざっくり言うと、100エーカーの森は物語(アニメーション)の世界、それ以外は現実(実写)の世界となります(実際には100エーカーの森にも現実世界が重なっていてもっとややこしいのですが)。
『プーと大人になった僕』の舞台は、クリストファー・ロビンが大人になった時代のロンドン。
ロンドンが舞台ですから、実写で描かれるのはプーにとって当然のことなのです。
原作は4作ある
ディズニープー長編のほとんどは原作「クマのプーさん」「プー横丁にたった家」のストーリーを元にしたものです。
しかし、実は原作はこれだけではありません。
一般的に「プーもの」と呼ばれるのは、この2作に詩集2作を加えた、計4作品です。
この詩集の舞台は100エーカーの森ではなく、クリストファー・ロビンの部屋であったり、バッキンガム宮殿であったり、ロンドンを中心としたあちこちで展開されています。
舞台が違い、メインはクリストファー・ロビンでプーが少し登場する程度なので、ディズニー化はされていません。
舞台・時間軸・リスペクトを見事に取り入れた邦題
ここまでが前提で、やっと本題です。
原作の詩集2作品のタイトルは以下の通り。
「クリストファー・ロビンのうた」(When We Were Very Young)
「クマのプーさんとぼく」(Now We Are Six)
「クマのプーさんとぼく」は『プーと大人になった僕』と似ていますね。
さらに詩集の原題を見てみます(この2作品は直訳した邦題が使われることも多い)。
「ぼくたちがとてもちいさかったころ」「ぼくたちは六歳」と、“ぼくたち”+年齢という形になっています。
『プーと大人になった僕』は、詩集2作品の邦題と原題を組み合わせた形になっていることがわかります。
この詩集は舞台が100エーカーの森ではなく、クリストファー・ロビンが住むロンドンです。
そして出版の時間経過に合わせて、プーとクリストファー・ロビン(ぼくたち)の年齢が上がっていっています。
今回の映画の舞台は、クリストファー・ロビンが住むロンドン。
時間軸としてはプーとクリストファー・ロビンが別れた何十年か後、クリストファー・ロビンが大人になった時代です。
これを詩集のタイトルに合わせると『プーと大人になった僕』になります。
より正確には「大人になったプーと僕」が準拠している形ですが、この映画でプーは大人になっているのでしょうか?
年齢的にはプーはクリストファー・ロビンの1歳下ですが、この映画を通してプーが大人なのか子供なのかというのも大きなポイントになると考えると、『プーと大人になった僕』は非常に上手い邦題だと言えます。
ロンドンでのプーとクリストファー・ロビンの交流、大人になったという時間経過という今作の重要なポイント2つを、原作のタイトルに沿った形で表現した、見事な邦題です。
- くまのプーさん - by poohya
「クマのプーさん」石井桃子訳の魅力をTBSラジオ「アフター6ジャンクション」が紹介
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」の4/24(火)「翻訳界の凄い人たち・岸本佐知子と金原瑞人が語る【この翻訳が凄い!】特集」にて、「クマのプーさん」が紹介されました。
この日のゲストは翻訳家の岸本佐知子さんと金原瑞人さん。
凄い翻訳家が凄いと思った本として、岸本さんが紹介したのが石井桃子さんによる「クマのプーさん」でした。
読み聞かせというメタ構造
岸本さんはまだ本が読めない頃に父親からなんども読み聞かせをしてもらったといい、最近になって読み直して石井桃子訳の凄さに気付いたとのこと。
「クマのプーさん」は著者A.A.ミルンが息子のクリストファー・ロビンにプーのお話をする会話形式になっています。
このメタ構造がプーの大きなポイントで、ナレーター役は散文家であったミルン自身であることから、地の文も詩的な流れになっていることが特徴です。
これに対して岸本さんは、石井さんの日本語訳を読んで地の文の生き生きさに驚いたそうです。
「地なのに声が聞こえてくるよう」という石井訳の魅力は、まさに原文の特徴を反映しきっていると言えます。
パーソナリティの宇多丸さんも、前身番組ウィークエンドシャッフルで2011年版プーの映画評を行った際、プーのメタ構造について解説していました。
親が子供に読み聞かせるという形で語られるプーの物語。
実は石井桃子さん自身も読み聞かせという形でプーを訳しました。
子供たちにせがまれて「プー横丁にたった家」を原書を読みながら日本語で読み聞かせ、それをきっかけに「クマのプーさん」まで翻訳することになったのです。
同じようなシチュエーションだったからこそ、石井訳は原書の雰囲気を生かせているのかもしれないと岸本さんは話していました。
プー「さん」という大発明
岸本さんは「クマのプーさん」というタイトルが天才的、大発明だと言います。
この「さん」は「山田さん」といった敬称ものではなく、「おいなりさん」「お豆さん」のような、自然と付けてしまうものだと考えられます。
つまり、みんながなんとなく好ましく思っているものに付けたくなる「さん」です。
この「さん」が付くことによって、ちょっと頭の悪い食いしん坊で愛されキャラの熊というイメージができます。
キャラクターの愛らしさ
最後の特徴は、性格も様々なキャラクターたちを面白く訳し分けていること。
特にイーヨーのセリフが素晴らしいといい、具体的な例を紹介されました。
「イーヨーがお誕生日に、お祝いをふたつもらうお話」でイーヨーがプーに話す一節。
石井訳「浮かれさわぎさ。舞えや歌えさ。もしもしカメよ、カメさんよか。」
原書”Gaiety. Song-and-dance. Here we go round the mulberry bush.”
Gaietyは陽気、お祭り騒ぎの意味。
「Here we go round the mulberry bush」は「桑の木の周りをみんなでまわろう」というイギリスの童謡です。
この童謡を「もしもしカメよ、カメさんよ」に置き換えた巧妙さが、プロの翻訳家からしても凄いそうです。
他にも「I might have none.」を「うっかり坊じゃったわい」と訳すなど、喋り方でイーヨーの陰気で老いたイメージを表しているといいます。
この素晴らしい爺さん感は、コブタ(ピグレット)のことを「コブちゃんや」と呼ぶことでも見事に表現されています。
また、石井訳ではプーはクリストファー・ロビンに対してですます調で話します。
ここも、プーに好感が持てる口調になっており、プーの本人はいたって真面目に生きている感じが現れています。
ディズニー版でプーの声がおじさん声なのもこれに似た効果です。
石井桃子訳の原作を読もう
翻訳界の神から見ても、石井桃子さんの「クマのプーさん」訳は素晴らしいということを教えてもらいました。
昨年ミルンの著作権が失効したことで新たな日本語訳版が出版されていますが、それらもあとがきで石井桃子訳の揺るぎない魅力に触れるほど、圧倒的な名訳です。
ディズニープーを見ていても、日本語版は石井桃子訳が元になっている部分が多々あります。
日本は原書「Winnie-the-Pooh」と石井桃子訳「クマのプーさん」の両方が楽しめる、非常に恵まれた環境です。
イギリス童謡を日本の童謡に置き換えるなど、文化まで反映している石井訳は、イギリス以外の英語圏の人が原書を読むよりも深く自然にプーの世界を体験することができます。
キャラクターの動きが見えるような会話、魔法にかけられるような地の文、文章が織りなす100エーカー森の空気をそのまま感じられる日本語訳をぜひ大人になってもう一度読み返してください。
宇多丸さんはディズニープーも詳しいため、原作に偏らないバランスの取れた放送でした。
TBSラジオはラジオクラウドやradikoタイムフリーで聴き逃し配信されているのでぜひお聞きください。
4/24(火)20時頃からです。