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お嬢様はドロッセルなのか?『ゲボイデ=ボイデ』特報時点での謎

ファイアボール第4期『ゲボイデ=ボイデ』の放送日発表に合わせて特報も公開されました。

ポスター時点では「ファイアボール ユーモラス」のドロッセルが何かのユニットをつけた姿のようでしたが、どうやらこれが今作のデフォルトの形のようです。
元々一つ目っぽい。
さらに占星術のポーズや、ゲボイデ=ボイデの頭部に乗り込む姿、さらにレンタルビデオのようなものなど、これまでの「ファイアボール」に出てきたモチーフのようなものも。
何かすごく違和感があります。
同時に公式サイトを見ていくと、違和感が増していきます。

あらすじ

“『ファイアボール』シリーズの時空を超えたサーガがついに完結。機械仕掛けのお屋敷で紡がれる、執事と幼い主人とのたわいない会話劇。やがて世界を救うことになる謎の執事・ゲボイデ=ボイデを主人公に、いちばん優雅で感傷的な“終わり”がやってくる。”

“いかにも遠い未来、ありふれた惑星にて――。惑星の中心には、いつの頃からか巨大な機械仕掛けのお屋敷が存在していました。そこには、赤い作業用機械である執事ゲボイデ=ボイデと、彼が仕える幼い主人が住んでいます。彼は、部屋に閉じこもりがちな主人を、あの手この手で外の世界へ誘い出そうと奮闘しますが、きまって奇想天外な出来事に巻き込まれます。彼らは、ふたたび世界を発見することができるのでしょうか。”

公式サイトに書かれているストーリーは2つ。
ファイアボールシリーズが「完結」、そして「いちばん優雅で感傷的な“終わり”がやってくる」と。
完結…
ただこのストーリーはファイアボールのストーリーとして強烈な違和感があります。
「彼(ゲボイデ=ボイデ)は、部屋に閉じこもりがちな主人を、あの手この手で外の世界へ誘い出そうと奮闘しますが」の部分。
これまでは、ドロッセルは常に外の世界を夢見ており、文通、電車、遠足と様々な手段で外に出ようと試み、それをゲデヒトニスが止めようとしています。
これまでと構図が逆転しているのです。
逆に、今作は主人公がゲボイデ=ボイデなので、主人公が外に出たがるという意味では同じともいえます。

ドロッセルなの?

『ゲボイデ=ボイデ』の情報が出て最初に抱く疑問が「ゲデヒトニスは出ないの?」でしょう。
出演者情報にも「声の出演:神谷浩史、川庄美雪、ほか」となっており、ゲデヒトニス役の大川透さんの名前がありません。
神谷浩史さんは「ワンダーの方へ」でゲボイデ=ボイデを演じました。
川庄美雪さんはドロッセル役ですが、そういえば今回ドロッセル役とは書いていない。
そう思って見ると、今回の告知のどこにも「ドロッセル」という単語がありません。
主人公がゲボイデ=ボイデで、幼い主人に仕えているだけで、その相手がドロッセルだとはどこにも書いてありません。

「ワンダーの方へ」でゲボイデ=ボイデが初登場したとき、ドロッセルはゲボイデ=ボイデの存在を知りませんでした。
一方、その未来にタイムトラベルしたゲボイデ=ボイデは、ヴィントシュトレ卿を見て「これは過去ではない、未来だ」と発言しています。
つまりゲボイデ=ボイデの認識上は過去にヴィントシュトレ卿はいない。
そして、あらすじでは「彼が仕える幼い主人」となっています。
ヴィントシュトレ卿が生きている時代(ユーモラスとそれ以前)は主人はドロッセルではないはず。

特報に登場するお嬢様はドロッセルではないと考えた方が説明がついてしまいます。

時空を超える?

さらに、舞台も「巨大な機械仕掛けのお屋敷」であり、テンペストの塔だとは言っていません。
「ファイアボール外伝 ワンダーの方へ」では、ゲボイデ=ボイデが世界を救います。
しかし、彼は時間を超えただけ。
ファイアボールシリーズも時系列は逆順ですが、舞台は同じテンペストの塔です。
つまり、「『ファイアボール』シリーズの時空を超えたサーガ」と言っていますが、まだ空間は超えていないはずなのです。
どうも『ゲボイデ=ボイデ』は、ドロッセルとゲデヒトニスが住む世界とは別の世界が舞台な気がしてきます。

『ファイアボール チャーミング』でドロッセルとゲデヒトニスが大幅に姿を変えたのは、主人公2人が声はそのまま姿を変えても同じキャラクターと認識できるのかを試したと監督は語っています。
であれば『ゲボイデ=ボイデ』は、ドロッセルとゲデヒトニスっぽい別の存在を主人公にするのも十分にあり得そうです。

本当に完結するのであれば、最後にはドロッセルとゲデヒトニスが出てきてくれるでしょう(願望)。
そうなると第1〜5話が連続放送なのに第6〜10話まで1ヶ月空く放送スケジュールも、第5話と第6話の間に何かがありそうな気がしてきます。

と、色々書いてきましたが、こんな話がまるで見当違いになるのが「ファイアボール」のいつものパターン。
僕が思う「ファイアボール」が本来描いている世界と「ワンダーの方へ」のネタバレのない紹介は
『ファイアボール』に魅了されたライターが振り返るファイアボール10周年と、「ファイアボール10周年記念盤『ファイアボール オーディオ・オモシロニクス』」最速レビュー。 -Disney Music
に書いているので、この想像よりは有益だと思います。

コーヒーは常に2種類存在する。

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ファイアボール最終章『ゲボイデ=ボイデ』は全10話。11/8〜ディズニー・チャンネル、11/13〜ディズニープラスで配信開始


ファイアボール第4期『ゲボイデ=ボイデ』の放送スケジュールが決定しました。

ディズニー・チャンネルで最速放送

ディズニー・チャンネルで先行放送、その後ディズニープラスで配信されます。
『ゲボイデ=ボイデ』は全10話で、1週ずつではなく、前後半に分けディズニー・チャンネルでは連日放送。
ディズニープラスでは一挙配信となります。
・ディズニーチャンネル
第1話から第5話:11月8日(日)~12日(木) 21:57 再放送あり
第6話から第10話:12月6日(日)~10日(木) 21:57 再放送あり
・ディズニープラス
第1話から第5話:11月13日(金)
第6話から第10話:12月11日(金)

放送時間が57分からのため、1話2分でしょう。

主人公はゲボイデ=ボイデ。ゲデヒトニスは?

新たに公開されたポスターには、「いじましく、ありふれた、はれぼったい未来」の一文。
ドロッセルとゲボイデ=ボイデがあります。
リリースではゲボイデ=ボイデが「最新作の主人公」とされています。
背景には謎の飛行物体も。
ドローンのような飛行物体には「PECHIVOGEL EXPRESS」のロゴが描かれています。
Pechvogelは不運な鳥という意味。

そして、クレジットにはゲボイデ=ボイデの声優KAMIYA HIROSHIと、ドロッセルの声優KAWASHO MIYUKIの名前が。
ゲデヒトニスの大川さんの名前がありません。

「ファイアボール外伝 ワンダーの方へ」デジタル配信


第4期『ゲボイデ=ボイデ』のタイトルは、10周年記念盤『ファイアボール オーディオ・オモシロニクス』のオーディオドラマ「ファイアボール外伝 ワンダーの方へ」に登場したキャラクターの名前。
オーディオ・オモシロニクスは現在入手困難となっていますが、第4期にとって重要な作品であることは確実。
CD音源が11月4日(水)より、デジタル配信で再リリースされます。
ダウンロード価格2,343円(税込)

#ファイアボール最終章 「ゲボイデ=ボイデ」11月配信開始 | 舞浜横丁
ファイアボール オーディオ・オモシロニクス「ファイアボール外伝 ワンダーの方へ」 | 舞浜横丁
『ファイアボール』に魅了されたライターが振り返るファイアボール10周年と、「ファイアボール10周年記念盤『ファイアボール オーディオ・オモシロニクス』」最速レビュー。 -Disney Music

(c)Disney

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#ファイアボール最終章 「ゲボイデ=ボイデ」11月配信開始

恒例の突然Twitterでティザー公開。

ファイアボール公式Twitterに出された内容を総合すると、新作「ゲボイデ=ボイデ」が11月からディズニー・チャンネルとディズニープラスで配信開始。
ハッシュタグが#ファイアボール最終章のようです。

ゲボイデ=ボイデは「ファイアボール ユーモラス」の事実上のBDセットとして発売された10周年記念盤のメインコンテンツであるオーディオドラマ「ファイアボール外伝 ワンダーの方へ」に登場した、ドロッセルの呼び方では「アカヒトニス」(赤いゲデヒトニスだから)。
「ワンダーの方へ」はユーモラスの時代を起点とする話。
ドロッセルも何かのユニットを装着していますが、ユーモラスの姿です。
ユーモラスはファイアボール3作品の中で時代設定が一番前(ドロッセルとゲデヒトニスが若い)ため、シリーズの時系列としては「最終章」は当たりませんが、ゲボイデ=ボイデが登場する「ワンダーの方へ」は全時代を行き来するため、時系列はどこに置くことも可能。
一方、ユーモラス自体が3話しかなく、3話目も「暫定的最終話」とされていたため、ユーモラスの最終章と捉えることもできます。
まあ結局「最終章」じゃないパターンも十分にあり得るのでいったんそこは忘れよう。そもそも「ファイアボール」のシリーズタイトルついてないし。

ドロッセルはユーモラスの姿で、背景もユーモラス時代のテンペストの塔のよう。
ドロッセルがつけているユニットには「ISOLDE」とあり、「永遠にお互いを愛するという惚れ薬を間違えて飲んだ後、王の甥(トリスタン)と恋に落ちた(伝説による)コーンウォールの王の花嫁」とのこと
ユニットを装着した結果、ドロッセル恒例の一つ目になっています。
また、ユーモラスでは左足に金の輪が付いていますが、今回はそれがなくなっています。
ゲボイデ=ボイデは型番がBAU28で、ユーモラスに登場するゲデヒトニスの1型番古いもの。
ゲデヒトニスの付属ユニットとしてハラヅモリ3000があり、ユーモラス第1話でベローっと絨毯を出していましたが、第3話の色違いハラヅモリ1000がゲボイデ=ボイデの付属ユニット。
しかしドロッセルはゲボイデ=ボイデの存在を認知していなかった模様。
「ワンダーの方へ」では、ゲボイデ=ボイデが未来(チャーミングや無印の時代)へと、濁点から生じた並行世界を直しに向かいます。

目下の気になる点は、果たして何分の作品なのかということ。
あと海外版Disney+でもうっかり配信始まってほしい。

追記
「ファイアボール」シリーズ最終章『ゲボイデ=ボイデ』11月配信&放送決定|テレビ|ディズニー公式
Disney.jpにニュースが出ていました。
「シリーズの最新作にして最終章となる『ゲボイデ=ボイデ』」
「2020年11月より、ディズニープラスでの配信とディズニー・チャンネルでの放送がスタートします」
と、シリーズ最終章であることも明言されています。

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2020年8月のディズニークリップ

舞浜駅利用者が6割減

JRのお盆の利用客 TDRの舞浜駅は6割減:日本経済新聞(20日)
お盆期間(8月7~17日)のJR舞浜駅の近距離切符(ICカード利用含む)の販売枚数が、前年同期比59%減の22万7000枚だった。

実写版『ムーラン』日本でもDisney+公開に

映画『ムーラン』ディズニープラス配信についてのお知らせ|企業情報|ディズニー公式(24日)
実写版『ムーラン』が日本でも劇場公開をやめ、Disney+での配信に。
9/4より2,980円のプレミアアクセスとして、提供開始時は独占配信。

TDRハンドソープ転売で逮捕者

ハンドソープ転売容疑で男逮捕 アルコール消毒製品転売で逮捕は全国初 ディズニー限定商品|社会|地域のニュース|京都新聞(24日)
東京ディズニーリゾートのハンドソープを転売した容疑でネットショップ経営の男を逮捕。
1個1,300~2,428円で購入したハンドソープをネットショップで3,000~3,980円で転売した疑い。
アルコール消毒製品の転売容疑の逮捕は全国初という。

ケビン・メイヤーがTikTokを辞任

TikTok、米社CEOが辞任 売却命令受け決断:日本経済新聞(27日)
Disney+立ち上げなどディズニー社幹部として6月にTikTokのCEOに転職したケビン・メイヤーが辞任。
米国事業の売却命令を受け「ここ数週間の政治環境の大きな変化」が理由。

Raya声優がスター・ウォーズのローズ役女優に

Disney – Twitter(28日)
2021年3月21日公開予定のディズニー長編アニメーション新作『Raya and the Last Dragon』の主人公Raya役の声優がケリー・マリー・トランに変更。
スター・ウォーズ/最後のジェダイ、スカイウォーカーの夜明けのローズ役のアジア系女優。

チャドウィック・ボーズマン死去

Chadwick Boseman – Twitter(29日)

MCUブラックパンサー役のチャドウィック・ボーズマンが現地時間28日、大腸がんのため43歳で死去。
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でティ・チャラが初登場した2016年にステージ3の癌と診断され、闘病しながら撮影していた。
ディズニーは追悼コメントを発表したほか、追悼動画も公開。

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クリストファー・ロビン・ミルン生誕100周年 「僕が100歳になっても」の日を迎える

クリストファー・ロビン・ミルンは1920年8月21日にロンドンで生まれました。
今日で生誕100周年です。

クリストファーは1歳の誕生日プレゼントとしてテディベアをもらい、後にウィニー・ザ・プーと名付けました。
「クマのプーさん」の物語と実際のクリストファー・ミルンの生活は一部で重なっており、100エーカーの森はミルン家の別荘があった周りの森であり、クリストファー・ロビンとプーの年齢差が1歳なのもプーが1歳の誕生日プレゼントとして生まれたことを連想させます。

「プー横丁にたった家」の最終章の最後に、クリストファー・ロビンとプーはこんな会話をしています。

「プー、僕のこと忘れないって約束して。僕が100歳になっても。」
プーは少し考えました。
「そうすると僕は何歳?」
「99歳」

クリストファー・ロビンが100歳になり、プーが99歳になり、約束の日がやってきました。
「100エーカーの森」が実際には500エーカーの森であったように、「100」は非常に大きいという概念に過ぎません。
それと同時に、クリストファー・ロビンが100歳になってもこの物語が愛され続けていることは、ミルン親子が想像もしていなかったことであるでしょう。

最終章でプーの物語を完結させた後、クリストファー・ミルンが大人になると、ミルン親子はそれぞれにプーとクリストファー・ロビンという存在から逃れられない人生を送ることになります。
父アランは後にどんな作品を書いても「クリストファー・ロビンが大人になっただけ」と評され、子ども向け作家のレッテルが貼られたまま。
クリストファーはクリストファー・ロビンとしての世間の目に耐えかねられず、親の七光りとの誤解も受けながら父を越えられない境遇に恨みを抱きます。
2人とも自伝を書くことで自分自身を整理し、呪縛から解放されようとしました。

プーの物語は、クリストファーの幼少期の何気ない遊びから生まれました。
それは父アランが自分の少年時代の思い出も重ね合わせながら描いた物語でもあります。
「僕のこと忘れないって約束して。僕が100歳になっても」という台詞は、少年時代の思い出がいつまでも輝き続けることを語ると同時に、忘れたくても忘れられない呪縛となって親子の一生にもたれかかることになるとは想像もしていないことを表しているかのようです。

著者の想像を遥かに超え、クリストファーが100歳になってもプーは愛され続けています。
プーというクマだけでなく、いまだに『クリストファー・ロビン』というタイトルの映画(邦題は『プーと大人になった僕』)が作られるほど、クリストファー・ロビンのことも全く忘れられていません。

クリストファー生誕100周年を迎え、彼の人生と「僕が100歳になっても」の言葉を考えると、彼が「100歳」になったことでクリストファー・ロビンとクリストファー・ミルンが切り離されたように思えます。
プーもクリストファー・ロビンも、さらに100年たっても200年たっても愛され続けることでしょう。
100エーカーの森でのできごとと実際のミルン親子のできごと絶妙に重なりあっていますが、その重なりの揺らぎこそプーの醍醐味であり、クリストファーが生誕100周年を迎えた今、そこに新たな揺らぎが加わったと思います。
それはミルン親子がプーの物語と向き合わざるを得なかった人生の深みが加わったとも言えるでしょう。

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