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ネタバレ感想「ファンタジースプリングス」4アトラクション

東京ディズニーシー第8テーマポート「ファンタジースプリングス」が6/6オープン。
プレスプレビューで一通り体験してきました。

4つのアトラクションの感想を、ネタバレがっつりある内容で書きます。

以降、アトラクション体験者前提、ネタバレありの内容です。





ネタバレ感想ここから

4つのアトラクションが4つとも絶賛レベルでした。
こんな褒めることになるなんて想像していませんでした。
なんだったんだよ魔法のものがたり。

フェアリー・ティンカーベルのビジーバギー

ダークライドかと思ったら屋外で、しかもライドの動力部分はレールに乗って動き座席部分は回転するという機構。
こんな機構のライドを屋外に作るとは。
昼と夜で美しさが変わるのも良かったです。
このアトラクションだけネバーランドのおまけ程度だろうと舐めていました。

ラプンツェルのランタンフェスティバル

ランタンを飛ばすシーンを本気でアトラクションにするためだけに存在するエリア。
そしてこのランタンが美しいんだから満点です。
空間作りは素晴らしくて、大量のランタンの中から一部は実際に上下し、さらに背景は映像でランタンが上がるという上手い組み合わせ。
音響もとても良くて、ラプンツェルとフリンの歌声が事前に響いていました。
ボートライドでキャラクターが歌うものだと、スモールワールドやカリブはその空間にいるみんなが歌うので部屋全体に歌が響きます。一方シンドバッドは1人で歌うので、スピーカーが1箇所になり部屋全体で歌を聞く感じにならないなと思っていました。
今回、ラプンツェルとフリンのボートにあるスピーカーからは歌声を多めに、他方向のスピーカーはBGMメインにしつつ歌声も流しているようでした。
ラプンツェルとフリンの方向から歌声が聞こえるように感じさせつつ、部屋全体に響き渡るという、非常に上手い音響でした。

ランタンシーンだけで良いと言いつつ、このアトラクションも屋外がすごい。
塔を建てて、そこにラプンツェルのアニマトロニクスを設置しています。
ボートに乗ってすぐから見えるので、長尺で歌ってもずっと見ていられるのが塔の上にいる良いところ。
あの高さにいるのに、瞬きして体まで揺れるというしっかりした作りです。
これを海風のくる舞浜に置くなんて、どんなメンテナンス考えているのか。
そう驚いていたら、さらに屋外にフリンとマキシマスのアニマトロニクスまで現れて度肝を抜かれました。

ピーターパンのネバーランドアドベンチャー

「第8テーマポート」と呼ばれていた頃からの大本命アトラクション。
当初は上海カリブ方式かと思っていましたが、どうやら3Dライドだぞとなり、結局スパイダーマンなのではとなっていました。
スパイダーマンはユニバーサルのアトラクションで、ディズニーがここまでライド左右に壁を作って視界を制限することはありませんでした。
これがスパイダーマンやハリーポッターのように作用するのかと思いきや、上海カリブの180°円形スクリーンに応用してきました。
まず3D映像が非常に精細でグラスをかけても明るいのが特徴です。
ライドはトラックを通るタイプで、土台の上で座席が揺れるのは最近よくあるパターン。
技巧的だったのは、座席の揺れ方を、最初に川に流れるボートとしての揺れを見せて、後に妖精の粉で浮かんだ浮遊感に揺れ方を変えたこと。
ライドの揺らし方だけでこの違いを感じさせるのはすごかったです。
映像と実物のシンクロもそつなくこなしていて、タイガーリリーの太鼓やロンドンの屋根など非常にシームレスでした。
とはいえこれだけなら最近よくあるライドをしっかり作った程度ですが、ここにピーター・パンという題材の妙が出てきます。
最初にピーターパンアトラクションの概要を読んだときに思った、上海カリブの浮遊感でピーターパンの海賊船をやれば完璧だという考えを、ちょっと違ったアプローチでやってきたのです。
上海カリブの浮遊感は、180°の円形スクリーンを見ながらライドが動いていくことで与えています。
ピーターパンも円形スクリーンを使うのですが、ライドの壁で左右の視界を制限することで、実際にはスクリーンの全てを見せない状態で円形スクリーンを移動していきます。
さらにライドの動きが繊細に設定されており、しっかりと浮遊感を与えていました。
実際のライド速度は結構ゆっくりで、スクリーンも低速で進んでいるのですが、もっとスピーディーに飛んでいるよう感じさせ、円形スクリーン体験時間を長く思わせています。
場所によっては、1つの円形スクリーンで2台のライド向けに2つの映像をながしている時間もあります。
さらに円形スクリーンのサイズも上海カリブに比べてかなり小さいため、何度もスクリーンを使えます。
上海カリブのような1回にかけた大スペクタクルもありですが、このように何度も浮遊感を与え続けるのもまた面白いし、土地のなさを別の角度から解決してきたなと思います。
また、アトラクションがそもそもネバーランドにあるため、ルートとしてはネバーランドから始まりロンドンへ行く形になります。
ハイライトであるYou Can Fly!のシーンを後半に持ってこれるのは強い。
そこからさらにピーターとティンクはネバーランドに戻るのですから、2段フィナーレのような豪華さがあります。
右から2番目の星が大きく輝きネバーランドが広がっていく様子は思わず感動の声が出てしまいました。
アバターに初めて乗ったときのようなピュアな歓声が出ました。
ラプンツェルのランタンといい、圧倒的なインパクトを残すシーンがあるアトラクションは素晴らしいです。

プレショーも良かったです。
透過スクリーンにピーターパンを映し、その背後にある壁には別途ピーターの影を投影。
奥行き感でリアルさを出すと同時に、ピーター自身と影が違う動きをすることでピーターパンらしさを演出しています。
ライドには入れきれなかったピーターパンの定番要素をここでしっかり出しています。

アナとエルサのフローズンアドベンチャー

どうせFrozen Ever Afterだろうと思い続けて数年。違った。
第8テーマポートのアトラクション概要を読んで最初に思った印象ほどれもまるで外れでした。
このアトラクションはまずQラインが豪華。
映像を使ってオラフが現れるタイミングがあるのは、海外版のオーケンのよう。
小道具も凝っていて、オルゴールの部屋などBGMも見事。
この辺り香港アナ雪エリアもですが、アナ雪が設定と音楽が豊富なことが効いています。
特にフローズンキングダムは、時代設定を曖昧にしつつ、映画2で登場した親時代のアレンデールやノーサンドラをうまく取り入れています。
これだけで1アトラクションの満足度があります。

そしてライド。
香港のFrozen Ever Afterに乗った時点で、ファンタジースプリングスを評価する基準は「日本語リップシンクするA1000アニマトロニクスがあるか」でした。
本当は4年前にベルのアニマトロニクスで日本にやってくるものだと信じていたのですが。魔法のものがたりショックによりファンタジースプリングスの評価基準は非常に低くなっていました。
そして無事、日本語リップシンクのA1000アニマトロニクスが登場したので、新エリアは大満足です。
もうラプンツェルだけで十分満足なのです。
それどころか、世界にあるA1000のうち半分はここにあるんじゃないかとという物量です。

Frozen Ever Afterと同じトロールのパピーによる回想から入ったと思ったら、いきなりマッピング映像が登場し、アナエルサ幼少期へ。
そして幼少期アニマトロニクスが現れてドアが回り、ライドも方向転換します。
まず、ライドが部屋に侵入するとアナに光が当たる演出が上手い。
とにかくこのライドは、ボートライドとはとても思えないタイミング管理がものすごいです。
そしてボート方向転換。Frozen Ever AfterのハイライトとしてLet it Go落下シーンに使われているもの。
その機構をいきなり投入したかと思ったら、その後も使いまくります。
箱根登山鉄道のようなジグザグ水路のボートライドです。
まず、ボート回転シーンは、ボートライドながら1シーンを長く見せる効果があります。Ever AfterはこれをLet it Goを聞かせるために使っていました。
この回転を多用することで、切れ目の少ない展開にできます。
さらに、前向きに進むシーンだけでなく後ろ向きに進むシーンが増えることで、シーンの見方も変わってきます。
従来のボートライドは、部屋で分割することでシーン展開を作っていました。
フローズンアドベンチャーでは、後ろ向きに進みながら前の部屋も見える前提で展開を作っていることがあります。
「生まれてはじめて」でアナの部屋を通ったあとにエルサが歌い継いで、アナの部屋もまだ見えるという状態。
幼少期の「雪だるま作ろう」でドアを回転させる演出も重なり、2人の関係を上手に表現しています。
映画を知っている人が再現を楽しむというだけでなく、ストーリーだけでなくキャラクター心情までしっかり伝えようという演出です。
どうやらボートを回転させるとその後に落下が必要という機構のようで、毎回ちょっと落ちます。
ここでは落下にシーンを一気に転換する役目を与え、「とびら開けて」に。
歌声の聞こえ方を使って、時計台から帆のシルエットに上手く視線誘導していました。
映像シーンになったと思ったら今度はアニマトロニクス多めで、エルサの魔法が暴発するシーンも登場。
地面から氷が出てきたり、噴水が氷になったり。プロジェクションも良い効果を出していて、現代技術が詰まっています。
1シーン内にしっかり展開があって、これがボートライドだということを忘れそうです。
そして、ボートライドで最も時間をかけられる巻き上げでLet it Goを投入。ボートが上がっていく間、じっくりエルサの歌を楽しめます。
落とすためではなく歌の尺を稼ぐために巻き上げのタイミングを使うという頭の良い設計です。
そこからさらにエルサ2体目。
氷の階段が伸びていく演出はよかったし、プロジェクションの効果がよく出ています。
さらにさらにエルサ3体目。
巻き上げ、カーブ、方向転換という3つの形で尺を稼ぎまくり、Let it Goをたっぷり歌唱します。
1曲をたっぷり聞かせたいなら、最新鋭のアニマトロニクスを3体置くくらい気合い入れないといけないんだよ。愛の芽生え、分かったか。
そして扉が閉まるタイミングも完璧。
曲に合わせてぴったり扉が閉まるのは気持ち良いですし、これが次のシーンにも良い影響を与えています。
Let it Goのシーンが、エルサがいる部屋の扉が閉まることで終わるということは、シーン終了時点で既にボートは次の部屋を進み始めているということです。
次の部屋の進行が早いため、アナが喋り始めた頃には既に横辺りを通過しています。
このことで、アナと会話しているエルサの声が聞こえる頃には、エルサがいるはずの位置からはボートが離れており、エルサの姿を作る必要がなくなっています。Let it Goに3体も使ったから節約大事。
さらにアナの胸に氷が刺さるシーンも、エルサを見せない方が効果的に演出できていました。
アナにプロジェクションで氷が刺さったことを表現するのはすごい。アニマトロニクスにプロジェクションを当てるなんて。
さらにアナが凍った姿を、アニマトロニクス全身へのプロジェクションで表現。
すごい。
映像の使い勝手の良さvsアニマトロニクスのリアルさはここ20年ほどの大きなアトラクションの動きだと思ってきましたが、どちらも取り入れたハイブリッド型をさらに超え、2つを直接繋げてしまうというすごさです。
リアルな動きにプロジェクションでの自在な展開が組み合わさり、アニメーションならではのフィナーレをアトラクションに実現させています。
これだけの乱れ打ちを受けたあとに、たくさんキャラクターが出て大団円を見せられたら、何に感動しているのかもうわからないような涙が出ました。

4つのアトラクション全てが、体験したことのないシステムを見られ、それが同時にオープンするというのは信じられません。
オーディオアニマトロニクスのレベルで言えば、間違いなく世界トップ。ティアナのバイユーアドベンチャーが太刀打ちできるのか心配になるレベルです。
ピーターパンも、理解できないほどのライドシステムではないものの、上手く取り入れて非常に感動的な体験を生み出していました。
そしてアナ雪は、物量勝負でも技術を活用した演出面でも圧巻です。
これまで世界最高ライドはStar Wars: Rise of the Resistanceでした。どれも知っているライドシステムなのに、組み合わせだけでここまでの体験に引き上げられるかという衝撃がありました。
アナ雪もそんな驚きがあり、それをストーリーの演出に繋げているという点では、RotRに引けを取りません。
パイレーツ・オブ・カリビアンに対するピーターパンも、スター・ウォーズに対するアナ雪も、結局個人的にディズニーアニメーション作品の方が好きなので、それをストーリー演出に繋げてこられたらその方が好きになりそうです。
スリルやアドベンチャーの海外パーク、ストーリーやエモーショナルな東京パークと考えれば、東京らしいアトラクションになったのではないかと思います。
世界最高ライドの座を堂々と争えるアトラクションだと思います。

とりあえず、体験した日のファーストインプレッションはこんな感じです。

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