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 - 駄話  - by poohya

35周年セレモニー「TDR拡張を正式表明」は新発表だったのか?

東京ディズニーリゾートが35周年を迎え、報道各社から「OLCがTDR拡張を正式表明」というニュースが出回りました。
これに対して「知ってた」という感想ですし、ならこのニュースはニュースではないのでは?という気もします。
というわけで、この検証をしつつ現在のTDR開発計画の状況を見ていこうと思います。

発端は35周年でのかがみんの挨拶

【TDR35周年】35年前と同じ場所でのセレモニー! 35周年オープニングセレモニー速報レポ【写真25枚&あいさつ全文】 – ウレぴあ総研ディズニー特集
シー15周年に続きスピーチ全文書き起こしています。よければ読んでください。

そしてその先もですね、両パークでは様々な開発計画を模索しておりますが、現在パークの拡張について検討しているところでございます。

この35周年のあいさつの中で加賀見会長が拡張について検討していると言及。
各社で報じられることとなりました。
加賀見会長による「東京ディズニーリゾート35周年を迎えて」のコメントにも同じ記述があります。

背景1 既報の2021年以降開発計画

ここに至る背景をおさらいしましょう。
現在東京ディズニーリゾートでは、2019年春のソアリン、2020年春の大規模開発事業(新ファンタジーランド)が建設中です。
問題はそれ以降の計画。
2020中期経営計画では、2021年以降の方針として、

<東京ディズニーランド>
ファンタジーランドを含め、7つのテーマランドすべてを開発対象にエリア規模での刷新を順次おこなうなど、インパクトのある開発をおこなう
<東京ディズニーシー>
飛躍的な進化を遂げるべく、複数の拡張用地を活用した大規模なパーク開発をおこなうことで、質・量ともに体験価値を大幅に向上させる。

としています。
これは、元々の拡張計画(アリスエリアを含めた新ファンタジーランド+シーの北欧エリア)が消え、現行の大規模開発事業が発表された2016年4月に併せて発表されたものです。
東京ディズニーランド/東京ディズニーシー今後の開発計画について(2016/4/27)

背景2 日経・共同・毎日のリーク

もう1つの背景が、2017年11月の日本経済新聞と共同通信による報道。
TDR2023年までに3000億円かけて3割拡張へ、日経・共同が報じる|舞浜横丁
現在のR1,R2駐車場を中心とした用地を利用した拡張事業が報じられました。
日経と共同では建設年などの内容が異なります。
これに続く形で読売なども報じましたが、日経は翌日に加賀見会長が主導で進めておりフロリダ視察も終えていると踏み込んだ記事も出しました。
どちらもランドかシーを拡張(日経はランドとシーに均等配分)し、「日本らしい」エリアを検討している、と報じています。

その後、2018年4月に毎日新聞が「ディズニースカイ」報道。
「空」をテーマにした第3パークを建設すると確定調で報じています。
報じる価値もないとスルーしていましたが、かなり細かく確定事項のように報じたため、広く知れ渡ることに。
小学生向け新聞や、今村記者顔出し解説動画まで出て、どこからこの自信が出てくるのかと一周回って心配になりました。

セレモニーの「拡張」発言

これを踏まえてもう一度4/15に何が起きたのか振り返ってみます。
まず、セレモニーでの加賀見会長の「拡張について検討している」発言。
その後配布された資料(「東京ディズニーリゾート35周年を迎えて」)でも同じ記述。
そして、「加賀見会長から拡張について発言があったことを受けて」宮内執行役員の囲み取材が行われました。
この囲み取材はその場で突然設定されたもので、事前案内はなし。
状況としては、35周年セレモニーで加賀見会長が拡張を発表した、と受け取れるものだと思います。

囲み取材の内容は基本的には「現在検討中で決まり次第発表する」というものでしたが、第3パーク計画などは明確に否定されました。
毎日新聞の報道が全面的に否定されただけで、本当に百害あって一利なしの毎日新聞にはぜひ35周年セレモニーの取材に来ていただきたかったところです。

新発表なのか?

今回「ランドorシーの拡張を検討中」と正式な発言がありました。
背景1で確認した通り、シーの拡張はしっかり経営計画に明記されています。
一方、ランドは7つのテーマランドを順次開発という計画ですから、「ランドの拡張を検討」という部分は新発表という扱いになります。
となると、現行の「ランド開発シー拡張」計画が生きているのか、拡張検討がこれに置き換わったのか、という部分が問題になってくるのですが、そこに関してはどのメディアも聞かず。
突然の囲みで近くにおらずレコーダーで音拾うのが精一杯で質問できなかった自分が不甲斐ない…

というわけで、OLCによるTDR拡張計画は新発表と言っても嘘ではないかな、といったところだと思います。
経済紙なら中期経営計画の内容くらい突っ込めよとは思いますが。

結局どうなるの

一応新発表なのになぜみんな知っていたかと言えば、背景2で見た事前報道があり、毎日はありえないけれど日経・共同はある程度正しいなとみんなが思っていたからです。
最近加賀見会長があちこちで「日本オリジナル」のパークを目指すと発言していることも、この報道を裏付けていました。
今回のセレモニーでも「世界で唯一、東京ディズニーリゾートでしか味わえない」という発言がありました。
また、この発表が加賀見会長から行われたのも、加賀見会長主導のプロジェクトだという日経の報道に合致します。
一方、今回はランドorシーの拡張であり、新エリアをランドとシーで均等配分するという日経の報道とは異なります。
日経・共同の報道から半年近く経ち、当然計画や交渉段階での変化は起きていると思いますが、この辺りの微妙な違いが気になるところです。

また、35周年を題材に、「混雑が課題」という記事が各社で出ました。
日経MJのTDRから離れる理由は、まあ万人から好かれるのは無理だよね、という感じで何が言いたいのかよく分かりませんでしたが。
元々の新ファンタジーランド計画が現在の大規模開発事業に変わったのも、予想以上の入園者数増加ペースで計画を早める必要があったから。
ここで改めて混雑が課題という記事が出回るということは、混雑解消の切り札を出す準備ができた、その発表効果を高めるための事前情報なのではないか、という気がします。
まあどのみち待っていれば分かることでしょう。
東京ディズニーシー開園以来の大開発なら、第2パーク計画発表の時のようにアニバーサリー記者会見で発表すれば良かったのに、とか思いますが、新たな未来を見せてくれることを楽しみにしています。

追記(4/27)

2018年3月期決算発表での中期経営計画進捗資料から「2021以降の方針」が無くなりました。
ランド7つのテーマランド刷新とシー複数拡張エリアの話が上書きされたとみていいでしょう。

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