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 - くまのプーさん  - by poohya

リチャード・シャーマン死去

シャーマン兄弟の弟リチャード・シャーマンが2024年5月25日逝去しました。95歳でした。
言わずと知れたディズニー・レジェンドの作曲家。

「2ペンスを鳩に」そして「There’s a Great Big Beautiful Tomorrow」をはじめ、ディズニーを代表する名曲を作ってきました。
手がけた曲を挙げていけば枚挙にいとまがありません。

あえてプーに絞ってみると『プーさんとはちみつ』をはじめ『プーさんと大あらし』『プーさんとティガー』の全ての歌を作りました。
ウォルトは、原作「クマのプーさん」をなるべくそのままアニメーションとしてアメリカに届けようとしました。
ファンタジアがクラシック音楽のアニメーション化なら、絵本のアニメーション化をしようとしたのです。
その中で重大な問題が、プーが原作のあちこちでうたう詩でした。
現在「プーもの」と呼ばれるクリストファー・ロビン関連の作品は4つあり、「クマのプーさん」「プー横丁にたった家」以外の2作品は詩集です。
プーは地の文から詩的で、プーも詩人。全体がリズミカルで読み聞かせのように声に出して読むのが楽しい作品です。
この詩的な要素をアニメーションにしようとしたとき、ウォルトはシャーマン兄弟の音楽に託しました。
ただプーたちが動くアニメーションなのではなく、シャーマン兄弟の音楽を取り入れたミュージカルになったことで、原作の世界観を表現できたのです。
『プーさんとはちみつ』では、主題歌「くまのプーさん」という今もなおプーにとって重要な曲が誕生。プー作品では後にさまざまなアーティストが曲を手がけていきますが、ロペス夫妻含め皆が「くまのプーさん」を作品に取り入れながら自分の曲を作っていくことになる重大な基点となっています。
『プーさんと大あらし』では、ティガーのデビューに合わせるようにテンポの良い曲が入ってきます。「ワンダフル・シング・アバウト・ティガー」や「ズオウとヒイタチ」などが登場しました。

『プーさんとティガー』の頃には、シャーマン兄弟はディズニースタジオを離れていました。
『チキ・チキ・バン・バン』をはじめ、他スタジオの作品を手がけていく中で、テーマパークなどディズニーの楽曲も請け負っていました。
一方、ディズニーはプーの20年ぶりの長編を製作し、プー作品をスタジオに回帰させました。
そして『ベッドかざりとほうき』以来29年ぶりにシャーマン兄弟がディズニーに復帰。『ティガームービー』が製作されました。

『ティガームービー』では、中編映画には入りきらなかった「ワンダフル・シング・アバウト・ティガー」の2番を披露。さらに新曲も6曲を制作しました。
「ウープ・ディー・ドゥーパー」は呪文のように長いジャンプ名をティガーが歌いまくる曲。非常にシャーマン兄弟的な歌詞です。
主題歌となった「Your Heart Will Lead You Home」はケニー・ロギンスと共に制作しました。
そしてこの『ティガームービー』が、シャーマン兄弟として最後の長編映画になりました。

兄ロバート・シャーマンが死去した後も、リチャードは公の舞台にも何度も姿を見せ、精力的に活動していました。
『プーと大人になった僕』では、リチャードが新たに3曲を制作。冒頭の「はなれても いっしょ」で、プーアニメーションらしいテンポのミュージカルを甦らせました。
そしてエンドクレジットの「何もしないは忙しい」では、ピアノを弾きながら映画にカメオ出演。
最後の長編作品となった『プーと大人になった僕』では最後に、原題そのままのタイトル「クリストファー・ロビン」を制作しました。プーがクリストファー・ロビンに語りかけるような歌ですが、映画を観たとき、どこかリチャードがウォルトと音楽制作に勤しんでいた頃を懐かしんでいるように聞こえました。
輝かしい時代に思いを馳せながら世界を愛でるのはプーの根源的な世界観でもあります。ディズニーの「くまのプーさん」を作り上げたシャーマンが最後に自らその世界観に飛び込んでいったようです。

ディズニープーはシャーマン兄弟と共に生まれ、シャーマン兄弟の生涯においても重大な意味を持つ作品であったことが歴史からも伺えます。
もう新作を手がけることがなくなったのは残念ですが、これからも幾多のアーティストが「くまのプーさん」や「ワンダフル・シング・アバウト・ティガー」を取り入れながら、新たなプー音楽を作っていってくれることでしょう。
TTFN

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