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 - 未分類  - by poohya

WDJ、OLC、USJが社長交代

ウォルト・ディズニー・ジャパンと、オリエンタルランドと、ユー・エス・ジェイが、社長交代を発表しました。

ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社は、日色 保(ひいろ たもつ)氏が代表取締役社長兼マネージング・ディレクターに就任します。
現社長のキャロル・チョイ氏は、エグゼクティブ・バイスプレジデントとしてAPACにおけるスタジオ、オリジナルコンテンツ戦略、ネットワーク、インテグレーテッド・マーケティングなどの複数の役割を継続します。
日色氏は、ジョンソン・エンド・ジョンソン社長や日本マクドナルドホールディングス社長CEOを歴任してきた人物。経済同友会で副代表幹事も務めています。
ディズニーでの経験よりも、グローバル企業の日本法人であることを重視した人事のよう。
ポール・キャンドランド、キャロル・チョイと、ウォルト・ディズニー・カンパニーのAPAC人事にWDJ社長が組み込まれていた感がありますが、日本人社長ということもあり、初代の星野康二社長に近い感があります。
ここ5年、WDJがアジアにおける一国という位置付けの感覚があったため、日本独自の経営に期待したいです。
個人的には、あまりにディズニープラスのスターに注力されすぎると、ディズニーコンテンツに予算が回らないので、プラスがうまく軌道に乗らないとどうしようもないものの程々にして欲しいなあとは思っています。

株式会社オリエンタルランドは、高橋 渉(たかはし わたる)氏が、代表取締役社長(兼)COOに4月1日付で就任します。
高橋氏は1981年入社。イクスピアリ社長を経て、経営戦略本部長を務めています。
4月発表の中期経営計画に向けて、クルーズ事業という大きな舵取りのタイミングでの交代ということ。現吉田社長は2021年就任ということで4年での交代となりました。
現社長の吉田謙次氏は、6月の株主総会を持って、取締役からも退任、特別顧問に就任予定です。

合同会社ユー・エス・ジェイは、村山 卓(むらやま たく)氏が、社長に6月1日付で就任します。
村山氏は、現在副社長CMO。米国でユニバーサル・パークス&リゾーツに就職し、ユー・エス・ジェイの立ち上げから参加する、初の生え抜き社長となります。昨年末に「テーマパークが1つの世界観で統一されているほうが息苦しい」とインタビューに答えていて、よく分からないことを言っていました。
現社長のJL ボニエ氏は、ニバーサル・ディスティネーション&エクスペリエンス社長兼COO(環太平洋地域担当)として昇格。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン、ユニバーサル・北京・リゾート、ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドの事業を統括する立場になります。

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 - 映画  - by poohya

実写版『白雪姫』を観た

実写版『白雪姫』を観ました。
吹替版の試写です。

良いシーンはありました。
今この実写化をする必要があるのかなと感じることもできました。
というわけで、2024年度のディズニー劇場映画では最高傑作です。
まあ『ウィキッド』が上映されている中で、わざわざ『白雪姫』を観た方がいいとは全く思いません。タイミングも悪かったね。

『シンデレラ』以降の長編化の系譜にいますが、『白雪姫』が最も改変具合が大きい作品だと思います。
というのも、さすがに90年近く前の『白雪姫』を見る人は非常に少ないでしょうし、キャラクターとして存在し続ける「白雪姫」を今の子どもたちでも参照できるような作品は必要です。
今に合わせたような改変はありだと思います。さすがにそのまま実写化して、小人が手を洗うかどうかに7分もかけるわけにはいきませんし。
「口笛ふいて働こう」はそれに沿ったシーンだったと思います。
シーン再現はなくても「いつか王子様は」はもう少し使わないと、存在し続ける「白雪姫」を今の子どもたちにという意味はありません。ということは、実写化する意義の見立ては間違いなのかも。
新曲は特に印象に残りませんでした。
映像もいまいち。水の表現が90年前の方がすごいってなんなんだ。
あと、日本語吹き替え版は「プレミアム吹替版」のブランドをもっと大事にすべきです。棒読みタレント声優使うならプレミアムを名乗るな。

以下ネタバレ

普通、実写化ではアニメーション版よりリアリティラインが上がります。
今回も、毒リンゴを食べてしまうロジックは良くなっていました。また、動物が皿洗いしないとかはあります。
ただ、他の部分のリアリティが上がらないどころか、むしろ下がってすらいます。
実写化ではこれまでなるべく魔法の使用回数を減らしてきたのに、小人がなぜか魔法を追加で獲得していて、しかもそれが全く何も生かされません。意味がわからない。
あと先生の手術ってなに?

アニメーションでの実態不明な国に対して、王国としてのリアルさは出ていました。
宝石も王国の産物になっているため、天然資源が豊富な王政国家ということになります。
そりゃ攻め込まれるでしょう。王はもっと隣国情勢を把握しておくべきであまりに迂闊すぎます。
リンゴと宝石という、あまりにもバランスの悪い産業体制です。恐らく宝石鉱山は国有で、小人が管理しているのでしょうが、みんなで分け合うにしては王家の取り分が多いし、この統治体制が本当に美しいとはあまり思えません。
そして美しいからという理由でよくわからないけれど国を支配した女王。なぜか唐突にバラを持ち出してバラを下げる謎理論。あんなに宝石を欲しているのに、小人の鉱山への干渉が見られません。意味がわからない。

ジョナサンもなぜジャガイモを盗むのか。ジャガイモ2個すら困窮するような状況なのに、宝石は大した管理もなく取り放題です。全然わからない。
魔法の鏡に対する感情のリアリティを上げてくるものだと勝手に思っていましたが、ただやっただけ。そしてなぜ白雪姫を殺すことだけ狩人に任せたのか。名目上は反逆罪なわけで、軍隊を差し向けることも、堂々と処罰することもできたでしょう。
そして狩人が白雪姫を殺せない理由も、アニメーションでは小鳥への優しさがあったのに無くなっていて、ただの可愛さみたいになっていて残念でした。
心臓の偽装も、リンゴなんて入れたら即バレて白雪姫の身が危ないことくらい想像つくでしょう。女王も箱受け取った瞬間に気付けよ。

森に逃げてから小人の家でのシーンは、アニメーション再現。ここだけ実写版やりますという感じです。
「口笛ふいて働こう」はレイチェル・ゼグラーも雰囲気あるし良かったです。D23でここの映像出したのも分かる。
白雪姫が家事をして小人が仕事に出かけるという構図はさすがになくしましたし、動物たちもあまり手伝いません。
というわけで、勝手に家に入って勝手に寝て、何の謝礼もなく出ていって、帰ってきたら「先生」というだけで外科手術を要求して。先生の手術ってなに?
性格バラバラな小人をまとめる能力を発揮したのは、プリンセスらしくて良かったです。
おとぼけへの寄り添いは良かったですが、これそのうち喋るなと思っていたら案の定喋りました。それは個性の否定ではないのか。
ジョナサンの仲間たちはなんだかよくわからないまま、特に活躍もせずに終わりました。
7人もいるためにキャラクターを出せずに終わるって『ウィッシュ』で見たばかりなのに。

アニメーション版からわからないのが、女王の魔法の効力です。
魔法が使えるのに、なぜか毒リンゴと自身の変身にしか使わないという謎。
ここが実写でも解決されませんでした。
王と結婚できた力、民衆を支配できた力、軍を統率できる力が一体何なのかが、美しさと言うだけでよくわかりません。
ここがないから、白雪姫と対決する際も、女王がどういう力があるのかが不明です。
この後書く良いシーンでも、白雪姫の力は示されるけれど、それに対する女王の力がわからないので、白雪姫の力の強さが伝わってこないという残念さがあります。

「ロイヤル」を示す姿として素晴らしい

白雪姫は生まれた時からプリンセスです。
しかしアニメーション版では、白雪姫がプリンセスである必要がありません。白雪姫が美人で魔法使える継母がいれば王家である必要はないわけです。
今回はそこが変わっていて、幼少期のプリンセスとしての描写がしっかり入り、継母がかなり政治的な動きをするため、王家らしさが出ています。
そして何よりの違いは、ジョナサンが王子ではなく嫁がないので、自らの国に戻ってきます。
帝王学を受けながら育ち、父である王を殺され、真犯人である親戚に王国を乗っ取られ、自分は遠くに逃げて、仲間を見つけて国に戻り、王を追放して自らが王となる。
プリンセスの物語ではありますが、構造としては『ライオン・キング』です。

近年はどんどんプリンセスストーリーとヒーローストーリーの見分けは付かなくなってきています。
そして本作はヒーローストーリーなだけでなく、王としての姿を見せています。
ソフィアとスター・バタフライの時に書きましたが、「プリンセス」ではなく「ロイヤル」としての姿を描く物語です。
参考:プリンセスは「ロイヤル」に変わる。ソフィア最終話が見せた新境地|舞浜横丁
2010年代のディズニー・プリンセス像 「Find Your Happily Ever After」から「Life After Happily Ever After」へ|舞浜横丁
2020年代前半のディズニーが描いてきたテーマだと思います。正確には“描こうとしてきた”テーマですね。

白雪姫は途中まで父親生存を信じていて、父親を見つけ出して真の王に据えることを目指せていました。
しかし、父親の死が判明した時点で、白雪姫にとっては王になる選択肢しかなくなります。
プリンセスではなく、王としての立場を意識することになる状況は、スター・バタフライやアナ雪2のThe Next Right Thingに重なります。
そして国に戻り、態度だけで自らが王だと示すのはとても良かったです。
王の帰還を姿で見せつけ、女王との対話内で白雪姫こそ王であることを示します。
民のことを覚えていたことが勝利の鍵になっていたのは素晴らしかったです。
自分を名乗るのではなく、国の人々の名前を呼ぶというのも良かった。
物理的に戦うわけではなく、どちらが王として相応しいかを示すことで勝てました。
「ロイヤル」の姿を描く中で新しいものだと言えますし、上手く描けていました。
とても素晴らしかったです。

そして、これは生まれた時からプリンセスである白雪姫だからできることでもあります。
他のプリンセスでは描けない、2020年代の白雪姫だから描けるシーンです。
その点で今『白雪姫』を作る理由を感じることはできました。
別に白雪姫ではなく新たな作品として作ればいい気もしますが、伝統的なディズニープリンセスにこのメッセージを込めることが大事なんだろうなとも思います。
もっと途中の話が面白くリアリティもあれば、もっと感動的で語る価値のある内容になったでしょうが、最近のディズニー作品の中ではラストがちゃんと描けているだけで十分なのではないでしょうか。

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