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ファンタジースプリングス開業前に振り返る「北欧エリア」とはなんだったのか

いよいよ2024年6月6日にファンタジースプリングスが開業します。
東京ディズニーシー開業以来初の新テーマポートです。
第8テーマポート計画は発表から10年。
10年前に示された第8テーマポート計画「北欧エリア」とはなんだったのか、振り返ってみましょう。

10年前の拡張計画

10年前の2014年4月、OLCは中期経営計画として「2023ありたい姿」を発表しました。
この中で、ランドはエリア一新、シーは拡張用エリア活用に言及した大規模投資を掲げました。
半年後、10月には、ランドでファンタジーランド拡張、シーで第8テーマポートを作ると具体的な投資計画を明らかに。
当時のファンタジーランド拡張は、イッツ・ア・スモールワールドをスペースマウンテン横に移設し、スモワ跡地にアリスを作るというもの。その後変更され美女と野獣エリアのみが当時の計画を残しています。
シーの第8テーマポートは、ロストリバーデルタ横(南側)の空きスペースに開発を予定していました。
このテーマポートが2015年5月、北欧をテーマにした『アナと雪の女王』を中心としたエリアになると発表されました。
イメージアートまで公開され、北欧エリア計画が明らかになったのでした。

北欧エリアがファンタジースプリングスに進化

しかし、2016年4月に計画が撤回されます。
第8テーマポート中止の代わりに発表されたのがソアリンでした。
北欧エリアの大きさは「アラビアンコーストと同程度」です。
開発中止は、もっと広い用地でアナ雪の展開を目指すためとされました。
これが後のファンタジースプリングスに繋がっています。
2018年6月に場所を動かし、アナ雪にラプンツェルとピーターパンを加えた新たな形で第8テーマポートを発表。
当初は2022年オープンでしたが、遅延し、ついに2024年にオープンします。

アナ雪エリアは香港へ

一方、東京が北欧エリア計画を撤回した半年後、2016年11月に今度は香港ディズニーランドが拡張を発表。
お城の増築やマーベルエリア(結局立ち消え)などが発表されると同時に、アナと雪の女王エリアも発表されました。
当初は2020年オープン予定でしたが、結局2023年11月に「ワールド・オブ・フローズン」としてオープンしました。
香港のアナ雪エリアは、当時からイメージイラストが北欧エリアと類似していると指摘されており、サイズ感もほぼ一緒。
東京の北欧エリアがそのまま香港にスライドしたのではと噂されています。

北欧エリアの模型が明らかに

ようやく香港にアナ雪エリアがオープンし、紆余曲折を経てシーにもアナ雪エリアがオープンしようという中、2023年末に突然、幻の北欧エリアの模型が姿を見せました。
ディズニーのメイク・ア・ウィッシュ活動で、イマジニアリングを訪れる様子を紹介したYouTubeの動画(8秒あたり)。
途中に映っている模型が、東京ディズニーシーの北欧テーマエリア計画のものっぽいぞと話題になりました。
っぽいというか、どこからどう見てもシーです。

北欧と香港 エリア構成の違い

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2015年5月に公開された第8テーマポートのイメージアート

香港のアナ雪テーマランドは、アレンデール城下町と森の大きく2エリアに分かれています。
北欧エリアも同様の2エリア構成です。
森エリアの建物の1つに、水色の看板がかかっており、これがEPCOTのFrozen Ever Afterのようにも見えます。
大きく、アレンデールの街並みを楽しむエリアと、アトラクションエリアに分かれていたようです。
北欧と香港の大きな違いは、アレンデール城とノースマウンテンの位置です。
北欧エリアでは、城-街-ノースマウンテン-森。
香港では、ノースマウンテン-街-城-森。
香港は森エリアにオーケンのアトラクションがあり、本来ならノースマウンテンもオーケン側にあるものでしょう。
北欧エリアでは、その点ノースマウンテンと森が一体となっており、アナ雪のストーリーに沿っています。
なお香港は、計画発表時にはまだ存在しなかったアナ雪2のストーリーが加わったことで、森エリアがうまいこと成立しています。


北欧エリア模型(YouTubeキャプチャ)

ここで北欧エリア模型を見てみると、ノースマウンテンがかなり高い山にそびえていることがわかります。
隣のインディ・ジョーンズよりもはるかに高い。
山の下にボートライドの施設を入れているのでしょう。
そして、山をかさ増しすることで、その奥にあるオフィシャルホテルを目隠しする役割もありそうです。
香港では背後を目隠しする必要がないため、山は低くなり、ボートライドもアレンデール城側に移したようです。
Frozen Ever Afterのストーリーとしては、アレンデール城側にある方が綺麗です。

エレクトリックレールウェイ延伸?

北欧エリア模型でもう一つ注目されたのが、ポートディスカバリー側でした。
開発発表のアート時点で、ポートディスカバリー側(スカイウォッチャー・スーヴェニアのあたり)も北欧っぽくなっていることが伺えていました。
模型ではさらに、エレクトリックレールウェイの線路が延伸されているように見えます。
どうやら、エレクトリックレールウェイを延伸し、北欧エリアの入り口に新たな駅を作ろうとしていたようなのです。
衝撃。
エレクトリックレールウェイの駅ということは、駅舎は最低でも2階建てになります。
これは逆に北欧エリアからポートディスカバリーを見た時の目隠しになりそうです。

香港アレンデールの美しさ 原点は舞浜に?


香港のアナ雪エリアを訪れた時の印象は、景色の美しさでした。
アレンデール城が水に反射する景色や、山との一体感が印象的でした。
香港といえば、パークの後ろにそびえる本物の山が印象的(邪魔)でしたが、眠れる森の美女の城を増築することでその問題を解消。
アナ雪エリアでは、アレンデールの森の後ろに山があることで、一体となっているように感じました。
実際、借景を利用して本物の山とアレンデールの森の景色を作っているそうです。

このことを思い出しながら模型を見てみると、香港の景観作りも元は北欧エリアだったのではと思えてきました。
イメージイラストでも描かれていますが、アレンデール城の後ろには海があります。
北欧エリアでは、手前にスチーマーラインの通る海があり、そして後ろには東京湾があります。
東京湾の借景こそ、シーのお家芸です。
エレクトリックレールウェイの新駅が2階建て以上の高さなら、そこからアレンデール城を見たときに、東京湾を借景とした海に囲まれたお城が見えたのではないでしょうか。

ファンタジースプリングスは、駐車場だった場所に作られており、アナ雪エリアの背景は東京ディズニーランドという立地です。
逆にランドのフォレストシアターの背景がノースマウンテンに溶け込むようデザインされています。
一度は撤回され、香港にその面影をたくし、ついに第8テーマポートとして誕生するアナ雪エリア。
10年かけた大型エリアが、あと2ヶ月でその姿を見せます。

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