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 - 映画  - by poohya

ネタバレ感想『ズートピア』:ラプンツェルの良さが活きた動物映画の傑作

いよいよ公開されるディズニー長編アニメーション最新作『ズートピア』。
本国公開は3月4日ということで2ヶ月近く前に鑑賞しましたが、ようやく感想書きます。
例によってネタバレ前提です。

『ズートピア』監督のバイロン・ハワードは『塔の上のラプンツェル』監督ということで安易な比較ですが、『ズートピア』は『ラプンツェル』鑑賞時の気持ち良さがある映画でした。
プリンセス映画が復権し、動物映画もついに復活を遂げた、まさに黄金期真っ只中を示すのにふさわしい作品です。

動物映画らしい風刺構造

『ズートピア』の主人公はウサギのジュディ。
正義感にあふれ、ウサギ初の警察官になるべく、“Anyone can be anything”ズートピアへとやってきます。
しかし、ズートピアでは動物の種類間の差別が垣間見えてきます。
夢が叶わなさそうなジュディ、そこに現れたたった一回のチャンス。
このチャンスを掴むため、詐欺師のキツネ、ニックと半ば強引に手を組み、ズートピアの背後に隠れる闇へと踏み込んでいきます。

物語の本筋は、ズートピアの闇に迫る謎解き。
ズートピアは全ての動物に最適化され、ウサギの世界の“田舎っぽい”安定志向の考えとは逆の“全ての夢が叶う場所”…のように見えます。
しかしその裏には差別意識があり、その重層的な差別意識の問題が観客を何度も騙してきます。
現代社会の問題を意識させるズートピアの社会構造ですが、それと同時に「キツネ=詐欺師」という設定をすんなりと受け入れていた観客そしてジュディの心にある差別意識をも露呈させるのです。
架空の世界を利用して人間社会の問題に切り込む、動物映画らしい構造です。

想像力と心地よさ

本当に騙しているのは誰なのか、その構造を可能にするのは、この動物はどんな仕事・生活をしているのだろう?という想像力です。
ズートピアの街、そこに見える生活はまさにディズニーのイマジネーションの結晶。
映画では描かれないエリアや動物もどんな生活をしているのか想像が広がります。
わくわくしながら世界観を楽しみ、観終わるとほっと心地よくなるこの感覚。
動物映画ならではのたまらないものがあります。
最後は出動シーンで終わり、しっかりバディものとして落とし込んでいます。『ベイマックス』などヒーローものの一番良い終わり方。

ジュディのラプンツェルっぽさ

ズートピアを全ての夢が叶う場所だと信じて突き進むジュディ。
その姿や彼女が持つ優しさに触れた動物たちは、彼女の冒険に手助けをしていきます。
脅されて案内役となり、最初は冒険を諦めるように仕向けるも、結局は相棒として彼女を支えていくニック。
周りから見れば悪人のはずが、彼女の心に触れて良い面が見えてくる仲間たち。
この構造はラプンツェルにとても似ています。
プリンセスストーリーから恋愛要素を抜いて動物で描いたのが『ズートピア』です。
心の底から応援できるヒロイン、周りが笑顔になっていくヒロイン。
プリンセスであるための要素をしっかり持ったジュディは、誰からも愛されるキャラクターになるでしょう。
ラプンツェルで感じたストーリーの無理も感じず、主人公の気持ちの描き方さのうまさはラプンツェルのまま活かされています。

美しいストーリーラインに世界観とキャラクター。
動物映画の心地良さをこれでもかと感じられる映画でした。
綺麗に入ってきすぎて、感想を出すのが逆に難しいほど。
何度も観れば気になる箇所が出てくるのかもしれませんが、1度の段階では全てが美しくさらっと入ってきました。
この心地良さはやみつきになりそうです。
これは間違いなく、ディズニー映画史の中で輝く一時代を象徴する作品となるでしょう。

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