- 東京ディズニーリゾート - by poohya
OLC 2025年3月期 第2四半期決算発表
オリエンタルランドの2025年3月期2Q(2024年6〜9月)の決算が出ました。
過去最⾼の売上⾼の一方、コスト増により減益。
コスト面では、物価高騰による減価率の上昇と、ファンタジースプリングスが増えた分の人件費などの上昇がありました。
まあコストはかさむタイミングだよねと思うものの、営業利益は前年同期比18%減です。期初予想よりも減っています。
そして最大の問題は、入園者数が上半期で1,220万人と、前年同期比2.4%減になったこと。
40周年やリベンジ消費の反動減があるとはいえ、今年度の入園者数予想は前年比5%増の2,900万人です。
下半期での挽回も難しく、通年予想は上半期の減少をそのまま反映し2,800万人に修正されました。
これまでも入園者数が減少することはありましたが、今回の問題は、その原因が「猛暑」にあることです。
震災やコロナ禍と異なり、猛暑が来年以降急になくなることもないでしょうから、この調子だとずっと夏の入園者数は減ったままになってしまいます。
散水の拡大などの施策は打ったものの、昨年の猛暑を受けた対策を取ったため、応急処置的な施策であり、根本的な対策は取られていません。
一方で猛暑対策としてハロウィーンのスタートが10月に後ろ倒しされており、2Qでハロウィーンの効果を取り込めなくなりました。
これらの影響が大きいですが、猛暑への懸念は機関投資家が強く気にしており、決算発表よりも質疑応答で登場してきました。
2024年度の予想を出した際にも質疑応答で猛暑への対応が問われており、そこで「入園者数に関しては保守的な設定としている」と発言しています。
猛暑を踏まえて保守的な入園者数予想にしたのに、それを上回る猛暑で予想より減少してしまったのです。
というわけで、決算説明会では、まだ上半期が終わった段階なのに珍しく「今夏の振り返りと今後の集客の方向性」という章が追加されました。
今夏の状況としては、「来園希望者のうち、実際に来園した割合が前年同期より低下」があり、暑いから行くのやめよう層が響いたことが伺えます。
対策として「夏期のパークは従前より過ごしやすい環境であることの認知向上を図る」とありますが、対策を講じたとしてもあの猛暑では限界はあるしな…と思います。屋内型施設としてはピューロランドに加えて、ハリー・ポッター スタジオツアーやイマーシブ・フォートなども増えており、猛暑下での選択肢に屋外テーマパークを入れるのはなかなか大変そうです。
一方で「特定のターゲット」は低下しなかったため、来年からはその層に来園を喚起していくと。具体的には「若年層や東京ディズニーリゾートに好意を持つ層など」を挙げています。
若年層は暑さにも負けない。「東京ディズニーリゾートに好意を持つ層」はいかにも決算資料っぽい表現ですが、つまりハードリピーターということでしょう。文字面だけでは、好意を持たずにパーク来る人なんてほぼいなさそうですが。
最近になって、従来年パスだったマニア層が減ったとか若者が減ったとかネガティブ報道がいくつかありましたが、結果的にその通りの層に施策を打つことになった感はあります。
また、ウィークナイトパスポートやアーリーイブニングパスポートの夜間券は好調で、やはり暑いから日が落ちてから行きたい人が多かったのでした。
Reach for the Starsを夏の頭から公演しておけば…というたらればは浮かびますが。
下半期はハロウィーンが1ヶ月強に集中している上にクリスマスがあり、年明けのパルパルーザ第3弾もきっと頑張ってくれるでしょう。
期初予想の⼊園者数を維持しました。
その中で「ターゲットを限定した期間限定券種の実施」を挙げており、春のキャンパスデーパスポートなどが出るのかもしれません。
USJは夏に昼と夜で別のショーを公演しており、夜の集客につながっていた感覚です。それでも関西地区向けの割引パスを11月下旬から1月末に発売しており、集客を確保しておきたい姿勢が伺えます。ドンキーコングエリアも待てど暮らせどオープン日発表されませんし。
これも質疑応答で触れられていますが、夜間券や期間限定券種を売ると、ゲスト1人当たり単価は減少します。
今期のゲスト単価はディズニー・バケーションパッケージが牽引していたということで、夜間券や期間限定券種で減少してもバケパでカバーしていくという姿勢。ディズニー・プレミアアクセスも屋内レギュラーショーに拡大するなどしています。
インバウンドやバケーションパッケージなど定価で買ってくれる人からは追加課金も含めて単価を上げてもらう方針は続けつつ、そこまでの金銭的意欲を持たない層にもリーチしていく方向になりそうです。
また、スペースマウンテンやバズ・ライトイヤーのクローズイベントは猛暑でも好調だったそう。あまりそんな感覚ありませんでしたが、良かったようです。とはいえ直近でクローズ予定のアトラクションもなさそうですしね。
その中でスプラッシュマウンテンのびしょ濡れバージョンなどは触れられていないことから、期間限定なら良いというわけではないのかも。イッツ・ア・スモールワールドのマーベルバージョンが下半期からどう影響するのかも気になってきます。
ファンタジースプリングス開業の四半期でこの数字はなかなか厳しいですが、エリアの回転効率が良くなればコストも下がっていくことでしょう。
年度内はファンタジースプリングス・マジックのパスポート販売もあります。
そして、じわじわと下がり続けていた株価ですが、決算発表後は上昇しており、日経によると「目先の悪材料が出尽くしたとして次第に買いが優勢になった」とのこと。
2025年には新たな中期経営計画の発表も予定されています。
コロナ禍以降の入園者数をある程度抑えつつ単価を上昇させる戦略について試行期間を終えて本格的な方針になっていくでしょうし、継続的な猛暑対策の方針も求められます。
そしてクルーズを含めた長期の経営計画も発表すると予告されました。
クルーズは猛暑でも影響が少ないでしょうから、長期的には夏の旅行需要をクルーズが取り込んでくれることに期待しています。