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 - 東京ディズニーリゾート  - by poohya

スペース・マウンテンを「全く新しく建設し直し」 OLC2024中期経営計画を読み解く


東京ディズニーランド®のアトラクション「スペース・マウンテン」および周辺環境の一新について
A New Space Mountain Coming to Tokyo Disneyland in 2027 | Disney Parks Blog(4/28 1:30追記)

スペース・マウンテンの完全リニューアルが発表されました。
現行のスペース・マウンテンを2024年で閉め、2027年にかけて建設し直し、周辺の環境と合わせて整備し直すもの。
リリース内の「全く新しく建設し直し」という文言がすごい。
新スペース・マウンテンは、現在のジェットコースタータイプの屋内型アトラクションという形態を引き継ぎ、宇宙旅行のテーマも継続。
新たな性能や特殊効果が加わります。
イメージイラストを見ると、左側に裾野が伸びており、スロープのように入場していく模様。
トロンの形状に近いです。
流線形でブルーを配色し、周りには木々も生い茂り、1983年当時の「未来」から、現代風の「未来」で持続可能感のあるデザインになっている印象。
アトラクション前には広場が誕生。
新しいライドは現在より後ろ側に作り、今の跡地は広場にすることで、建設期間を短縮するのでしょうか。
周辺に広場を設けるのも、ファンタジースプリングスから続く周辺環境整備を感じさせます。
ショーベースは存続する模様。

スペース・マウンテンは2007年にリニューアルしていますが、さすがにコースターで40年間同じ建物なのは大変なのでしょうか。
海外と同様、スピーカーは搭載するのでしょうが、具体的にどうなるかはまだ不明。
WDWではトロン・ライトサイクル・ランとガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:コズミック・リワインドという、トゥモローランドの新コースターと宇宙屋内コースターがオープンを控えており、そのタイミングでスペース・マウンテンがスペース・マウンテンのまま作られるのはちょっと意外。
音楽や映像を取り入れたコースターになるなら、逆に非IPのコースターとして、スター・ウォーズ(ハイパースペースマウンテン)やマーベルとのコラボの可能性も残ります。
USJでハリウッド・ドリームライドがIPコラボしまくっているように、期間限定アトラクションとして展開しやすいシステムの方が集客面で武器になる側面もあります。
(4/28 1:30追記)Disney Parks Blogがイマジニアのコメントを載せていました。すごくEPCOTっぽい、地球に感謝みたいなストーリーになるようです。

コロナ以降の中期経営計画

2024中期経営計画

同時に2024年中期経営計画も発表されました。
2024年度までの3年度の計画ということで、これが終わる頃にスペース・マウンテンの工事がようやく始まることになります。
内容は、大型コースターの作り替えのイメージとはかなり離れており、スペース・マウンテンとは別で作られた感があります。
コロナ前の計画だったものがコロナの2年分遅れてきたのでしょう。

コロナ後のパーク運営について、かなり方針が変わっています。
・1日当たりの入園者数上限を下げる
・選択肢の提供
・パークの魅力向上
・効率的なパーク運営の確立
の4本柱。
入園者数の上限を下げ、平準化させることで、効率的な運営にし、リスクを下げていく方針です。

どこの人数を減らすのか

入園者数は2024年度で2,600万人程度の想定に。
2018年度が3,200万人でしたから、600万人落とし、25周年〜震災前くらいの水準にします。
ありたい姿2023での「高い満足度を伴った入園者数を恒常的に3,000万人レベルとする」とは大きな方向転換です。
入園者数の水準は、2024年度までトライアルを重ねて、それ以降に向けて調整していく模様。


入園者数を減らすことは、どの日を減らすか、どの層を減らすかに分解できます。
「平日や休日、時期などの繁閑差を年間通じて最小限にすることで平準化を推進」としており、日付側の目標です。
年間の入園者数を少ない日順に並べたイメージのグラフが載っており、上限を減らした上で少ない方を嵩上げし、均衡化を図るとしています。
一方、どの層を減らすかについては、入園者数の上限減少のデメリットとして「来園希望が叶いづらい」が挙げられています。
土日や長期休みに訪れる地方ゲストはもちろん、高頻度層(リピーター)も行きにくくなります。
この施策はコロナ前から行われており、日付指定限定入園日や入園制限の多頻度化が実行されてきました。
さらに、現在は完全前売+一部券種の抽選制、そして価格変動制が行われています。
今回、新規施策例として「時期を絞った高頻度層に向けた施策など」と挙げられており、複数日入園パスポートのトライアルもこの流れでしょう。
高頻度層をターゲットに均衡化を図るなら、平日限定年間パスや、季節限定パスのようなものがこの3年でテストされていく気がします。


アトラクション・ショー収入の計画では、「チケット構成の変化による増」が2021年度より2024年度にかけて(グラフの見た目で半分程度に)減少しており、高頻度層などがそこそこ安めに入れるチケットは想定されているようです。
キャンパスデーのような割引も復活するでしょう。

客単価アップ施策

入園者数を下げた分、1人あたりの売上高を増加させる計画。
価格変動制でチケット料金の値上げをしやすくしましたが、この領域は2024年に向けて増加していきます。
単純に、現在の時間指定パスポートがなくなって全てワンデーになれば増加する領域ではあります。
そして、これまで「チケット収入」とされていた部分が、「アトラクション・ショー収入」となります。
バケーションパッケージの有償コンテンツを含む「体験の収益化」が追加されます。
例として挙げられているのが、従来ディズニーホテル向けの15分前入園だったのが、現在のディズニーホテル向けに別途有料で1時間前入園を販売するもの。
これが「選択肢の提供」です。
キャラクターグリーティングは「体験の収益化」、通常にない特別な体験が「時間帯プログラム」、ホテルでのんびりしながらプラスアルファの体験が「バケーションパッケージ」となっています。
アトラクションに関して、別途収益の話がないので、有料ファストパスのようなものは一旦ないのかもしれません。
現在特別なグリーティングはバケーションパッケージで展開されていますが、これがただチケットに追加課金のコンテンツとして出てくるのかも。
時間帯プログラムは、昨年ハロウィーンの朝に行われた「ハロウィーンモーニング・パスポート」がこれのトライアルにあたり、特別なショーパレを想定しているようです。
商品販売収入は同程度。
飲食販売収入は、入園者数水準が減るため、レストランの混雑も緩和されるということで、増加を見込んでいます。
ちなみに昨年度の飲食収入は、入園者増加でテーブルサービス店舗の利用率が下がったため減少しており、バランスは難しいところです。

入園者均衡化の影響

入園者が均衡化されることで、キャストの人数が少なく対応できます。
キャストはコロナ前の人数より少ないままで運営し、時給増にも対応できるようになります。
一方で厳しいのはホテル。
ファンタジースプリングスに合わせて6軒目のディズニーホテルが誕生しますが、これは入園者数をどんどん増やそうとしていた頃の計画。
想定より1/3くらい低い水準のリゾートになるのではと考えると、なかなか厳しくなります。
これに対しては「パークとの連携やディズニーのコンテンツ活用を強化」することで、ホテル単体で稼げるようにしていく計画。
新浦安周辺ホテルは大変そう…

パークの魅力向上としては、ファンタジースプリングスが2023年度。
スペース・マウンテンは2027年ですが、それまでは「既存アトラクションの魅力向上につながる開発」としかなく、特に大きな開発はなさそう。
ランド「7つのテーマランドの開発」とシー「複数の拡張用地を活用した開発」は記載がなくなっています。

同時に「2030年に目指す姿」も公表されており、今回の計画を踏まえて、コロナ前とは全く異なる、新しいステージを目指していきます。
2024年度までの3年間は、コロナからの復旧を待ちながら、今後の入園者数の水準を探っていくトライアル期間になるようです。

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