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 - 映画  - by poohya

ネタバレ感想:映画『シンデレラ』(実写版)を観た

cindy

4月25日に公開される実写映画『シンデレラ』の試写を観てきました。

流石はディズニープリンセスの頂点ともいえるシンデレラ。
現代の映画にアレンジしながらも、元々のストーリーを素直に語ってくれました。
最近実写化映画が多いですが、どれも変化球ばかり。『魔法にかけられて』から10年ほど本当の意味での「真実の愛」について今までのおとぎ話を覆すような映画でした。特に最近ではドラマ『ワンス・アポン・ア・タイム』が変化球すぎて主人公含め誰も応援できないような話になっています。
しかし『シンデレラ』はそのまま。プリンセスの素直な心が周りを動かし、信じる心が夢を叶えるという、ディズニーの本質的な部分を貫いています。
素直な心でシンデレラを応援できる、現代の変化球に食傷気味な人には良いすっきりした作品でした。
アナ雪短編もあることですし、公開されたらまた観に行きます。
『アナと雪の女王/エルサのサプライズ』(原題:Frozen Fever)予告編公開|舞浜横丁

これ以降はネタバレを含む踏み込んだ感想を。
ネタバレなしの紹介記事はこちらです。
『シンデレラ』実写化!見てわかった、映画に込められたディズニーの熱いメッセージ – D*MANIA

シンデレラがなぜプリンセスになれたのか。
それはディズニープリンセスとして大切な要素を持ち続けていたからです。
今作では「勇気」と「優しさ」という言葉で表現されていました。
どんな状況におかれても「勇気」と「優しさ」を持ち諦めない心がプリンセスの心です。

本当に苦しい状況で夢を信じられなくなったとき、それを救うために現れるのが「魔法」。
魔法が最小限に抑えられているのも今作の特徴です。
また、動物の活躍もかなり少なくなり、その代わりに家族愛が描かれていました。
実写らしい転換だと思います。
動物を減らした分、ドレスは母のものが元になっています。フェアリー・ゴッドマザーが魔法をかけようとしたときにも母への愛が示されます。

王子との出会いも描かれており、『眠れる森の美女』のようでしたが、この時点では反対していた王様がシンデレラの姿を見てからはその心を変える様子がディズニープリンセスらしくて良かったです。立場が逆ですがアラジンのよう。
ラプンツェルで強く感じたのは、彼女と出会った誰もが明るさをもらえること。酒場の人たちがその象徴です。
そんなラプンツェルの周りを変える力にも動じない人たちがその作品における悪役。
今作では、シンデレラの心を馬鹿にして利用する人たちが悪役。特に継母はアニメ版よりも悪役要素が強くなりました。さらに共謀する悪役が追加。
そして彼らには原作よりはゆるいですが、アニメ版よりも悪い結末が待っていました。この悪役処理は良くも悪くもディズニーらしい(中途半端さ)。

予告編をみて、シンデレラのストーリーのままじゃん…これどうするんだろう…と思っていました。
この後の話がメインだとすると、『イントゥ・ザ・ウッズ』とダブりますし、アニメと同じ話?と考えていたら、同じ話でした。
それが良かった。
古典を現代に蘇らせるとき、斬新な発想で切り抜くことよりも、そのままの姿を見せることの方が難しいです。
この実写化や愛の意味を問う時代に、シンデレラというディズニーの中でももっとも有名で重要な作品のひとつを正面から取り扱った「勇気」と「優しさ」(作品への愛)を感じます。

細かい部分では、特に前半でちょこちょことアニメーションに似せた映像が作られていました。
ナイチンゲールの歌はそのままですが、シンデレラを呼び出すベルなどもありました。

そして今作でしっかり取り上げられる、シンデレラと王子の舞踏会。
途中でアナとハンスのように抜け出して秘密の庭のブランコに乗ります。
このシーン、シンデレラの家に飾ってあった絵画を再現したようでした。そしてこの絵画を見るとアナ雪の「生まれてはじめて」を思い出します。

さらに細かいところでは、ガラスの靴にいる蝶。唐突感がありましたが、今思えばあれは冒頭で父親がくれたお土産の蝶なのでしょう。
母親のドレスと父親の蝶がついたガラスの靴を身にまとい、シンデレラが舞踏会に行くというシーンに思えます。
シンデレラ城は宮殿ではなくシンデレラ城でいいのではないかと思いますが、この場所での舞踏会が重要なことには変わりありません。
この舞踏会に行けなくなり、夢を信じられなくなったとき魔法が登場しますが、そこでシンデレラを守ってくれるのは父と母の存在なのです。

映像も綺麗で、スクリーンでの見ごたえがあるものでした。
古典を素直に描きながら、王子との出会いや家族愛など現代らしさを加え、その現代らしい部分は実写ならではの要素となっている。
この時代に実写でシンデレラを撮る意味のある映画だったと思います。

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