*

 - くまのプーさん  - by poohya

『プーと大人になった僕』日本語吹替版が良い

9/14日本公開の映画『プーと大人になった僕』。
字幕版に続き、日本語吹替版の試写も観てきました。
映画自体の感想はこちら
ネタバレ感想『プーと大人になった僕』:プーとの思い出が蘇りクリストファー・ロビンとプーの運命に向き合う名作|舞浜横丁

吹替のクオリティは非常に高く、ある重要なシーンでは吹替の演出が原語版より良い効果を出しているといえるほどです。
日本語吹替版の鑑賞もおすすめします。

プー新声優

原語版ではプーとティガーがおなじみジム・カミングスで、他の100エーカーの森のキャラクターは声優が交代しています。
一方の吹替版はプーたちの声優がほぼ続投しており、いつも通りの安心感は非常に強いです。
大きく変わったのは、プーとイーヨーの声優。
ディズニープー吹替版新声優発表 プーかぬか光明、イーヨー石塚勇|舞浜横丁
これまでの声優、プーの亀山助清さんとイーヨーの石田太郎さんは2013年に亡くなっており、それ以来初の新作である今作は新声優を入れなければならない事情がありました。
新イーヨー役は石塚勇さんはこれまでもイーヨーの歌唱部分を吹替ており、新声優とはいえイーヨーの声は既に慣れています。
新プー役はかぬか光明さん。
38歳と大幅な若返りを果たしており、それに伴ってプーの声もちょっと高めな印象。
しかし、新声優だと意識して聞いているからであって、普通に聞いていれば違和感は全くないクオリティ。
すぐにプーの声として定着するでしょうし、若い声優さんなのでこれから何十年もプーの声を作り上げていってくれるものと期待しています。

訳語も巧い

プーは言葉遊びの多い作品です。
英語の言葉遊びに対応した訳を用意し、さらにこれまでのプー作品の訳語も使用しなければなりません。
例えば、プーたちが恐る想像上の怪物「ズオウとヒイタチ」は原語では「Heffalump」と「Woozle」です。
「Heffalump」と「Woozle」を別の単語と言い間違えたとき、その単語を日本語にして一部言い間違えの形にすると「ズオウ」と「ヒイタチ」から離れてしまいます。
このように訳のバランスが非常に難しいのですが、本作の訳語はそこを見事に訳しきっています。
これまでのプーも訳し飛ばし続けてきた「a bear of very little brain」は今回も上手い訳を諦めていましたが。

以降ネタバレ

ここからは具体的に、原語より吹替の方がよかったあるシーンについて。
ネタバレです。

オープニング、本をめくっていく中で、原語版では「Deep in the Hundred Acre Wood」など本の文字として進行がおこなわれます。
そこから実写パートに入り、クリストファー・ロビンが森を離れて成長していくシーンになると、再び本のページをめくる形式で、章のタイトル「In Which…」が文字で話が進められます。
通常このような場合の日本語吹替版は、文字の日本語訳を字幕で表示していきます。
ピクサーの場合は、適当な日本語フォントで全ての英語を置き換えていきます。
それに対し本作ではこの文字をナレーションで吹替ています。
原語版にはいない声優を1人追加しているのです。
ナレーターの声優はこれまでのディズニープーでナレーターを務めてきた青森伸さん。
一言でナレーターさんだと分かる安心の声です。
ナレーターさんが出てくるとは予想していなかったので一言目で驚きました。

本作のオープニングは、これまでの100エーカーの森の物語をぎゅっとまとめて、クリストファー・ロビンの子供時代が何だったかを示す役割があります。
そこにナレーターの声が入ることで「くまのプーさん」の物語がよりはっきりと思い出されます。
さらに、クリストファー・ロビンが森を離れて寄宿学校に通いだす時、ナレーターの声がフェードアウトしていきます。
子供時代を象徴するナレーターの声がフェードアウトしていくことで、クリストファー・ロビンが子供時代から離れていくことが明確になります。
その後は淡々と章のタイトルを読み上げるだけです。
ナレーターの存在と寄宿学校でのフェードアウトは、日本語吹替版が独自に入れた演出。
その効果は非常によく現れていると思います。
プーは日本語吹替版が本当に巧いです。
文字置き換えるだけのピクサーも少しは真似て欲しいくらいです。

  • Post
  • このエントリーをはてなブックマークに追加