- くまのプーさん - by poohya
くまのプーさん展の大人な楽しみ方
銀座松屋で開催されている『くまのプーさん展 WINNIE THE POOH EXHIBITION』
今まで見たこともないような非常に貴重な資料も多数展示されており、大興奮の内容でした。
ひとつ残念だったのは図録が販売されていないこと。
というわけで、図録代わりにプー展のポイントを全て紹介していこうというものをコンフェティにて公開予定。お楽しみに。
こちらでは、「裏くまのプーさん展」として、プー展の大人な楽しみ方を紹介します。
プーの絵や資料を見ても何が貴重なのか分からない、という方にも、プーというキャラクターが作り上げた文化が分かる展覧会の楽しみ方です。
●真のテーマくまのプーさん物販展
ディズニー夢と魔法の90周年展など、展覧会より物販の列が長いというディズニー系展覧会。
プーも毎年「はちみつの日(8/3)」付近にハニーガーデンパーティーなど物販イベントを開催しています。
そんなプーが単独で行う企画展。その中身はプーが築き上げたキャラクターマーチャンダイズ展となっているのです。
●プー≒JASRAC
2000年頃の大ブーム時にはミッキーを超えるグッズ販売量を誇ったプー。
彼が一年間で稼ぐ全世界印税は、JASRACの年間著作権使用料と同じくらいと言われています。
プーがこれほどまでに大きな利益を生み出すまでの歴史を見ていきましょう。
●ディズニー史上最強の原作
恐らくプー以上に原作の存在が大きいディズニー作品はないでしょう。
原作風のプー「クラシックプー」はプー物販の中でも人気シリーズ。
そんなクラシックプーが生まれた原作の世界が紹介されているのが展覧会の序盤です。
プーが作られた同時期同メーカーのテディベアが展示されているほか、現在ニューヨーク市立図書館に展示されているプーたちの写真を紹介。
以前より増したクラシックプーの人気に合わせ、以前の展覧会よりも大きく詳しくなったプー原作の世界を見てみましょう。
また、邦訳者石井桃子の紹介も今回の大きな特徴の一つ。
彼女が訳したミルン自伝などが紹介されています。もちろん物販コーナーで販売中。
また、最近石井桃子訳以外のプーが出版されていることも記憶に新しいニュースです。
●ディズニープーを作った人々
ブームに乗っかれ。今年のディズニーのテーマはこれでしょう。
ウォルト・ディズニーが手掛けたディズニープー、娘ダイアンの愛読書だった英国児童文学をアニメ化。シャーマン兄弟による楽曲。
プーがメリー・ポピンズと非常に関係の深いという事実がこの展示の背景にあります。
さらにプーはナイン・オールド・メンが手掛けました。あちこちに書かれている「舞台裏」を読めば彼らが強調されていることが分かります。
伝説のアニメーターによる仕事は次世代のアニメーターの憧れとなり、2011年のプー激情版へと繋がります。
そしてこの作品で音楽を誕生したのがアナと雪の女王のロペス夫妻でした。
●どの作品を紹介するか?
『完全保存版』(「プーさんの大冒険」ではない!)を成す3短編から順に紹介されていきます。
貴重なセル画やコンセプト・アートが並びますが、今回多いのが「プロモーション用アート」。
実際の作品ではなく、パッケージなど商品化の際に使われるイラストが多く展示されています。
さらに注目は紹介されている作品。
『完全保存版』と『プーさんとイーヨーのいちにち』、さらに『ティガームービー』と『ピグレット・ムービー』のスケッチが展示されています。
今年BD化された『ルーの楽しい春の日』や、『はじめましてランピー』の資料が一切ありません。
ランピーというキャラクターはこの展覧会には存在しないのです。もちろん物販にも。
プーの物販における経歴のみが紹介されている展覧会、どこを見せてどこを見せないのかに注目です。
●やたら多い「コミック」
プー商品が並ぶ部屋、世界各国で発売されたプーグッズが並びますが、特に面積をとっているのがコミック。
さらに、多数のスケッチが並ぶ部屋には数枚だけ、コミックのみに登場するキャラクターのスケッチが展示されています。
実は、最近人気のシリーズに「コミック・プー」というものがあります。
プーがコミックタッチで描かれたグッズが人気なのです。そのシリーズの元となったのがこのコミックたちでした。
●強調されるのは広がるプーの世界
非常に古く貴重なプー商品が並ぶ中、パークで実際に使用されていたプロップス(WDWニューファンタジーランド工事でなくなったもの)やプロモーション用フィギュア、そして各国版のプー商品が紹介されています。
さらに、プー展覧会恒例、様々な著名人がプーをテーマにした作品を披露。
プーが様々な分野へと広がっている様子が伝わってきます。
あらゆる種類のグッズが作られるプー
そんな広い世界がどのようにして生まれたのか、プー商品化のヒントとなったプーの歴史が詰まった展覧会がこのくまのプーさん展です。
そこにはランピーも整形されたクリストファー・ロビンもいません。
ミルン親子の辛い人生も、原作派による問題も、スレンジャー社との裁判もありません。
2014年現在におけるプーの輝かしい歴史だけが集められた企画展、何があって何が無いのか見ていくとプーの影に潜む大人の世界が見えてきます。
プーの本当の世界をみるにはこちらがおすすめ。
ディズニープーの歴史と資料が詰まった
“The Art of Winnie the Pooh” プー展でも展示されている本です。
原作の歴史が分かりやすくまとまった
『クマのプーさん 世界一有名なテディ・ベアのおはなし』