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Goodbye Christopher Robin予告編公開


Goodbye Christopher Robinの予告編が公開されました。

フォックス・サーチライト・ピクチャーズ製作の映画。
イギリスで2017年9/29
アメリカで2017年10/13公開予定です。

「クマのプーさん」著者A.A.ミルンと息子のクリストファー・ロビン・ミルンの関係を描く作品で、第一次世界大戦から第二次世界大戦あたりのイギリスを舞台に描かれる史実を基にした実写映画です。

史実と予告編

1918年まで続いた第一次世界大戦。
ミルンは通信兵として働いたと言われていますが、最近ではプロパガンディストだったという資料も出てきています。
ともかく、自伝で彼は戦争の4年間を無視したいと語っており、「1919年ふたたび一般人に戻った」とだけ強調しておきたいと記しています。
このWW1での負傷をきっかけにミルンは劇作家、児童向け作家への道が始まります。
予告編はWW1から始まり、戦後の暗い世の中を生きるミルンと妻ダフネが描かれています。
ちなみにダフネと結婚したのは1913年なので、映画では最初から夫婦のようです。

翌1920年、妻ダフネとの間にクリストファー・ロビン・ミルンが誕生。
暗い世の中での希望のように生まれたクリストファー。
彼は自分の名前がうまく言えず、ビリー・ムーンと言っていました。このことから、愛称としてビリーと呼ばれるようになります。
予告編では愛称がつくタイミングがかなり早い気がしますが、しっかり「ビリー」という愛称が提示されており、「C.R.ミルン」という正しい呼ばれ方も乾杯の際に行われています。
ここは青年期にクリストファー・ロビンという名前の重荷を背負うこと、まさにタイトルの「Goodbye Christopher Robin」を表す部分に大きく影響してきます。

1924年「クリストファー・ロビンのうた」(When We Were Very Young)が発売。
ミルン初の児童向け詩集であり、大ヒットを記録します。
これがきっかけでアッシュダウン・フォレストに別荘コッチフォード・ファームを購入。
アッシュダウン・フォレストで親子の遊びが行われるようになります。
このアッシュダウン・フォレストが100エーカーの森のモデル。
プーは1921年のクリストファー1歳の誕生日プレゼントとしてもらい、イーヨーはクリスマスプレゼント、ピグレットは隣人からのプレゼントとして仲間に加わりました。
予告編ではアッシュダウン・フォレストで遊ぶ親子の描写に多くが割かれています。
プーを連れて一緒に遊んでいるシーンがほとんどです。
その中では、親子で「プー棒投げ」をしている描写、ミルンがクリストファーの肩に枝を置いて騎士に任命しているような描写など、「クマのプーさん」の物語を連想させるシーンが配置されています。
ミルンが「クマのプーさん」を執筆するシーンでは、クリストファーが窓辺でプーと座り、有名な写真を再現しているようです。
アッシュダウン・フォレストの風景や「クマのプーさん」のシーン、実際の写真など、史実の雰囲気にかなり寄せようとしている部分が各所で見られます。

1926年に発売された「クマのプーさん」は驚異的なベストセラーとなり、ミルン家は一躍有名人に。
翌々年の「プー横丁にたった家」でプーの物語は完結し、クリストファーの楽しい生活もしばらくは続きますが、後に「クリストファー・ロビン」という物語上の誰もが知っている子供という自分の存在が重荷になってきます。
このせいで親子の関係はWW2あたりで決定的に崩壊し、ミルンが死ぬまで関係が戻ることはありませんでした。
予告編ではこの青年期は描かれていませんが、青年期の俳優もキャスティングされています。
タイトルの「Goodbye Christopher Robin」を表すこの部分がどうなるのかは、まだわかりません。

原作やアッシュダウン・フォレストの雰囲気がよく再現されていると感じる予告編。
もちろん史実との細かな違いはありますが、原作ファンに向けてもかなりしっかりと作られるのではないかと思います。
日本での公開は未定ですが、とても楽しみな作品です。

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