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 - 映画  - by poohya

ネタバレ感想:『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』

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7/1公開の映画『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』を観てきました。
いつも通り感想を。

ティム・バートンの関与が薄くなった分良くなった。

そもそもティム・バートンが好きじゃないので元も子もないのですが、前作は「ティム・バートンによるふしぎの国のアリスの造形」を楽しむ以上でも以下でもない映画でした。
続編『時間の旅』では前作の要素は残しつつ、進歩をしている、上方置換のような映画。
上方置換とはいえ最高とは言っていないです。決して。

マッドハッターがある日見つけた紙の帽子の欠片。
幼い頃に初めて作った帽子で厳しい父親に捨てられたはずのものが存在するなんて…つまり家族は生きている…
ということを考え病むマッドハッター。周りは諦めさせようとするも、病みを悪化させるだけでついに瀕死状態に。
という時点でなんかよく分からないのですが、まあとにかくアリスはマッドハッターを救うため時間旅行へと出かけます。

アリスが行った先は「タイム」の城。
いかにも悪役っぽい予告を見せられてきましたが、映画を観ていると最初からどう見ても善人。
赤の女王と付き合っている?以外は言っていること至極真っ当だし、どう考えても盗むアリスが悪い。
それでもアリスはとにかく時間旅行をするのです。

過去では赤の女王と白の女王の歴史や、アンダーランドの仲間の幼少期が見られます。
何とか赤の女王誕生を阻止しようとするも、歴史は変えられない。
一方、タイムはクロノスフィアを奪われたせいで死にそうだし時間自体が危険な状態に。
そんな世界に危機をもたらすほどの大冒険の末、ハッターの家族は死んでいないという超凄い大発見をして帰ってきます。

で、みんなで赤の女王と戦い、赤の女王は暴走してまたワンダーランドが危機になり、なんだかんだで平和に終わりました。
白の女王は赤の女王に幼少期の過ちを侘び、アリスは時間は奪われるものつまり敵ではないと気付きます。
おわり。

前作同様、物語の外郭には、現実世界のアリスの人生に起こる問題があり、ワンダーランドでの事件を解決することで、現実世界のアリスの人生が前に進んでいくという構造。
そこに「時間」というキーワードが絡み、アリスらしいTimeの洒落が散りばめられたストーリーが展開されます。
とはいえ、時間を奪われるものだと考えタイムも悪だと考えるアリスにはあまり共感できないまま話が進んでしまい、タイムが不憫でなりません。

デザイン面では、前作のキャラクターはそのままに、その幼少期を描くなどのサービスも。
そしてタイムが加わったことで、機械仕掛けのモチーフがワンダーランドにアクセントをもたらしてくれました。

それ以外は相変わらずやりたいことを順番に入れていった感が強く、『ズートピア』旋風の今こんなに何も伏線回収しない物語もすごいです。
赤の女王が赤の女王になった理由もそれだけ…?というものでいまいち。
何よりストーリーの核となる「時間は奪われるものではなくそこから何かを得るもの」というメッセージに何の意外性もなく、最初から受け入れられるものだったのが、何も入ってこなかったところではないかと思います。
現実世界に戻って同じ決断をという終わり方が前作と同じ(だと誰もが勘付く)分、そのポイントも薄れ…
まあタイムの描写とかよかったし話も前作よりはストーリーあるんじゃない
という感想に落ち着きました。

アニメーションが完全復権し、実写もシンデレラでその表現力を見せつけ、単なる二番煎じの実写化に価値は与えられない時代です。
続々と公開予定が発表されていますが、実写もそれに似合ったラインナップになってほしいものです。
というわけでジャングル・ブックと美女と野獣が非常に楽しみ。

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