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 - 映画 ,  - by poohya

ネタバレ感想:映画『インサイド・ヘッド』を観た

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もうネタバレ感想書いてもいい頃だろうということで。
まだ観ていない方は絶対に読まないでください。
この作品は一切の情報を入れない方が面白いと思います。

というわけでネタバレありの感想を。

さすがピクサー 冒頭数分の説明力

まず、冒頭数分間での説明に驚きました。
この作品は、
「頭の中にいる5人の感情が主人公で、それぞれの感情をつかさどっている。彼らがいるのは頭の司令部で、頭の持ち主ライリーの思い出はボールとして司令部にやってくる。ボールは短期記憶と長期記憶、そしてコア記憶に分類される。長期記憶は別の場所に移動する。コア記憶は性格の島を作りだす。」
という言葉では説明が難しい概念で成り立っています。
昨年の東京国際映画祭でのプレゼンテーション時、ジョン・ラセターはあえて説明せず、映画の冒頭をそのまま見せてくれました。
この難しい設定を、ものの数分で見事に語りきるのは、さすがピクサーとしか言いようがありません。
決して説明的でなく、面白い要素も取り入れながら、そして伏線もしっかり仕込みながら、作品の世界観を教えてくれます。

本当に何も勉強せずに見たので、司令部以外の世界があることから驚きでした。
原題がインサイド・アウトだったことから、司令部と外の世界の繋がりに重きを置くものだと思っていたので、頭の中(インサイド・ヘッド)の世界が広がっていく物語だとは思いませんでした。
国際映画祭から半年以上待たされましたが、その後また情報を特に入れなかったため、司令部の5人以外にキャラクターがいることに驚きました。
つまりビンボンのことなのですが、長くなりそうなので後述します。
と思って書いたら、本当に長くなったので別の記事にしました。
『インサイド・ヘッド』感想:ビンボンが選んだプー「最終章」の道

全てはライリーのために

そして、5つの全く異なる感情たちが、お互いを認め合っていることに驚きました。
全てはライリーがよりよく生きるために、頭の中の全員が協力しているのです。
ライリーの司令部は「チームハッピー」としてヨロコビを中心に回っています。
作品中の振る舞いからも、まさにヨロコビを中心にみんなで協力してライリーが形成されていることが分かります。
そんな愛らしいライリーを観ていれば、司令部の中心はヨロコビだということも自然と受け入れられます。
ピクサーついに愛らしい人間を描けるようになったんだね!
感情たちの輪郭のぼんやりした感じも、ついに3DCGがここまで来たかと感慨深くなります。
しかし、両親の司令部はイカリやカナシミがリーダー。
あまり気にせずに観ていましたが、ヨロコビがリーダーとは限らないこと、カナシミも必要なことは既に示されています。

ヨロコビはライリーの司令部のリーダーであると同時に、ライリーは自分が形成しているという自負があります。
しかし、外界の変化によって、そこに揺らぎが生じます。
ここでカナシミが不思議な動きを始めるのがいまいちしっくりこなかったです。
カナシミが自分の意思で動いているのか、自然とそうなったのか、言葉ではなくカナシミの行動からはいまいち読み取れませんでした。
そんなこんなでヨロコビとカナシミが司令部からいなくなり、残された3つの感情。
5つの感情はお互いを補うことができない、十分な存在であることが分かります。
では必要な存在なのか?ここからいよいよカナシミの必要性が問題になってきます。

カナシミの必要性

全て考えるのも悟るのもヨロコビ。
しかもヨロコビは司令部と遮断されているため、ライリーの行動に関与できません。
ヨロコビはライリーの危機を「タイムリミット」として捉えることしかできません。
本当にライリーのためになることは何か。
トイ・ストーリーでウッディが考えたように、ヨロコビもリーダーとしてライリーのために決断します。
で、雲で飛べるなら最初からそれで帰れたじゃん。

1つの感情は1つの思い出のある1面にしかすぎない。
喜びの裏には悲しみがあることに気付いたヨロコビは、思い出ボールにその両面を入れます。
そしてコア記憶もヨロコビ=黄色だけではなくなり、司令部はより色とりどりに。
感情に色を割り当てたのが、最後になって非常に良く効いてきました。

司令部への帰り方はなかなかずっこけましたが、特に悪役もおらず、ロマンスもなく、少女のほんの数日の出来事だけを記録しただけでこのボリュームと面白さは他でなかなか味わえません。
非常に完成度の高い映画でした。

一番語られているビンボンについてが他記事に分かれたので中途半端な終わり方になってしまいましたが、感想の続きはこちらをご覧ください。
『インサイド・ヘッド』感想:ビンボンが選んだプー「最終章」の道

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