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 - 映画 ,  - by poohya

ネタバレ注意:アナと雪の女王感想

11月27日、全米公開と同日にシネマイクスピアリで開催されたプレミアムスクリーミング(試写会)に当選し、参加してきました。

というわけで、アナと雪の女王の感想です。
完全なネタバレを含むため、観ていない方は4ヶ月後に読んでください。
どうして4ヶ月も待たされるんだ…

以下ネタバレ

warning frozen

ディズニー長編53作目としてふさわしい作品でした。
過去のディズニー作品やミュージカル作品など、様々な作品に触れていればいるほどより楽しめ、そしてより騙される作品となっていました。
冒頭から続々と登場する音楽は、これまでにないほどの作品へ引き込む力を持っていました。

オープニングから雪の表現を頑張ったアピール。そしてかっこいいfrozenロゴ。心配になる邦題ロゴ。
ポカホンタスを思わせるような勇ましい曲と、3Dを明らかに意識したノコギリ。歌詞から心配になる邦題。
この一曲で登場キャラクターを紹介していくのかと思いきや、幼少期のアナとエルサに。
Do You Want to Build a Snowmanは幼女に歌わせるなとあれほど言ったのに!
ソフィアを思い出させる名曲です。かわいすぎる。
ノックが一大マイブームを巻き起こしています。
この可愛い一曲の中で両親を亡くし、2人が大人になります。
主人公が歌う最初の曲、美女と野獣の朝の風景や、ラプンツェルのWhen Will My Life Beginのような立ち位置の曲でありながら、アナとエルサの歌詞が交差する、プリンスとプリンセスの想い、愛の芽生えのような曲でもあります。
この交差が続き、より強まるのがFor the First Time。
純粋な男女打ち解け曲はLove is an Open Door。
エルサが魔法をコントロールできなくなり、物語がいよいよ進みだす、そこまでがなかなか長い作品ですが、曲が続き、ずっと観客を引きつけたままでいます。
伏線を入れる時間は普通つまらないものになりがちですが、今作ではそこを上手く繋ぎ止めていました。あまりに張りすぎないのはピクサーと違うところ。
アナの恋は魔法にかけられてを思い出させます。
魔法にかけられて、プリンセスと魔法のキスと続く、プリンセスストーリーの王道と見せかけて裏切る流れがこの時点で分かります。
そして悪役を予感させる人もそれらしく登場。

一方のエルサはいよいよ主題歌を歌います。


Let It Go、なんと公式が全編公開。
というわけで観まくりましたが素晴らしい。
エルサの表情の変化、ラプンツェルのWhen Will My Life Beginリプライズのような開放感、ここで出てくるアナのような無邪気に走る姿。
そして雪の女王として自分の世界を手にした姿。
劇場で観たときはあまりの声量にアニメの絵が追い付いていないような気もしました。
それほど圧倒的。これ褒めているのか自分でもよく分かりませんが、とにかく圧倒的でした。
この圧倒される感覚からは同時にヴィランの空気も感じます。帝王学を身に付けている人が力を自由に操るようになったとき、心が悪に染まっていく。プリンセスというよりヴィランズの持つ迫力でした。

そしてようやくオラフが登場。
米プロモーションのオラフ押しがひどく、鑑賞前からあまり好感を持っていなかったのですが、幼い2人がオラフを作ったシーンを観た後となってはオラフ大好き!
まさか2人の思い出を背負ったキャラクターだったとは。
そしてIn Summerはロバート・ロペスの真骨頂。
どこからどう見ても2011プーのEverything is Honeyです。
まさかあんなしっかり笑わされるとは。

そして2人の再開。
オラフの存在に泣かされるなんて。
そしてFor the First Timeリプライズ。
アナのArendelle is deep deep deep deep snow…の歌い方が好きです。
いよいよエルサが悪になるのか?
脇役たちの陰謀も目立ちはじめます。
Fixer Upperはまたいいキャラ出したなというかピクサーっぽいキャラクターですね。
ハワイアンバケーション思い出しただけな気もします。
これが本編最後の曲なんですね。
普通はこの後プリンスとプリンセスの曲(ふつう主題歌)、そしてもう一回覆ってからやっぱりめでたしめでたし、となるのが王道。
キーワード「真実の愛」を得て舞台はアレンデールのお城に戻ります。
魔法にかけられて、プリンセスと魔法のキスで問題になっている、真実の愛。今回キスなのかどうかが曖昧になっているのはこのシーンの時点で気になっていました。

そしてお城に戻ったアナたち、ハンス王子は案の定?真実の相手ではなかった。
しかしここまではっきりと悪役になるとは。
ハンス王子のアレンデール乗っ取りロジックはなかなか唸りました。
ここでオラフが「真実の愛」の定義を語ります。
魔法にかけられてからの問題であり、プリンセスと魔法のキスでは「プリンセス」の定義が語られましたが、いよいよ「真実の愛」とは何か発表されます。
体を張って真実の愛とは何かを教えるオラフ。溶けるくだりそれで終わりかい!予告編用シーンでしたね。

いよいよクライマックス。
自分より圧倒的に強いエルサに対し、エルサのせいでアナが死んだと教えることで戦闘意欲を削ぐ、ライオンキングのムファサとスカーですね。
そしてアナが凍り、いよいよ真実の愛の出番。
真実の愛は姉妹の愛でした。

悪役はしっかり捕まり、エルサは愛によって魔法をコントロールできるように。
その魔法を利用して、城下町の人々はスケートが出来るようになりました。
リロ&スティッチ・ザ・シリーズみたいですね。
氷業の役に立つくらいのことはしてほしかったです。
最後になってクリストフの存在意義(設定の意味)があやふやに。

あとやっぱりクレジット後のおまけシーンはいりません。
あれはマーベルだけがやっていればいいんだ!

 

というわけですっかり恒例となった最後のもやもやも残しながら終了。
そこを除けば素晴らしい映画でした。
ディズニーアニメーション長編も安心して期待できる時代が戻ってきたようです(といいつつBig Hero 6不安ですが)。
今作は、プリンセスものに見せかけて、普通のプリンセスストーリーとは大きく外れたもの。
ディズニーをはじめいろいろな作品を見ていれば見ているほど楽しめそして騙される作品でした。
魔法にかけられてで真実の愛とは何かという疑問を投げかけ、プリンセスと魔法のキスでそれを繰り返しながら「プリンセス」の定義について語り、いよいよ「真実の愛」の定義を語りました。
そしてその相手が姉だったこともポイント。
いつもの恋愛物語に見せかけながら、実は姉妹の物語。
プリンセスが担当する恋愛と、ミッキーやプー、トイ・ストーリーが担当する友情。その両方に対して「真実の愛」を示したことに感動しました。
2Dアニメの復活と共に始まった、ディズニークラシックス作品の定番に対する問題提起、それが辿り着いた先が、この友情も含めた「真実の愛」だと思います。

貿易をたくらむおじさんや、クリストフが悪役・真実の相手についての騙し役でしかなかったのはちょっと残念。
クリストフとの愛も中途半端な終わり方でしたし。
そしてアナの魔法がどうしてついたのかはやっぱり気になってしまいます。
ディズニーアニメでは、その世界に魔法は存在するのか、動物と人は喋れるのか、などが設定の大きな要素となりますが、今回魔法に関して曖昧だった印象。
石の彼らは自然界の魔法(メリダみたいな)もののように思うのですが、エルサは完全な魔法使い。しかも呪いも存在する世界のようで、ほかに魔法使いがいそうなものですがどうなのでしょう。
前半の伏線があちこち効いていた割には、石の彼らが曲っきり登場しなかったりと残念な部分も。そこら辺はなんとなく続編短編ができそうだなと思いました。

全体としては、素晴らしい名作でした。
ピクサーよりディズニーと気持ちよく言える時代が嬉しいです。

そしてやっぱり・・・
幼女アナのドアノック最高。

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